旅レポ

もう一つのホノルルのマラソン「ホノルルハーフマラソン・ハパルア」に行ってきた

ハワイでハーフマラソン、時間制限なし、自分のペースで走れる

2016年4月10日 開催

2016年大会のスタート

「ハワイ」「マラソン」。この2つのキーワードを提示され、多くの人がそこから思いつくのは「ホノルルマラソン」だろう。1973年から始まったこの大会は例年12月に開催され、すでに日本でもお馴染み。オアフ島・アラモアナを起点にワイキキビーチやダイヤモンド・ヘッドといった観光名所を巡る風光明媚なコースが特長で、昨年2015年に開催された第43回大会には3万人以上がエントリーしており、そのうち日本人ランナーが1万2000人あまりと4割ほどを占めている。「海外のマラソン大会」となるとハードルが高く感じられてしまうが、大会の特別協賛を務めるJAL(日本航空)をはじめとした日本企業のスポンサードとともに、日本語でのサポート体制も充実しているため、日本人ランナーにとっては意外なほど身近な大会なのだ。

 とはいえ、フルマラソンの42.195kmを走るとなると、気後れしてしまう人が多いはず。やはり日頃からある程度のトレーニングをしていないと完走はおぼつかないだろう。いくらサポート体制がしっかりしているとはいえ、そこは「海外」であるということを考えると、「遊び感覚ではなかなかチャレンジしづらい」というのが普通の感覚だ。

 でも! 実はハワイにはもう一つ、そんな観光気分の人にもオススメできるマラソン大会があるのだ。それはホノルルマラソンと同じオアフ島で開催されている「ホノルルハーフマラソン・ハパルア」だ。ホノルルマラソンと違い例年4月に開催されているこの大会は、2012年にスタートしたばかり。「ハパルア(ハワイ語で半分)」の名が冠されているとおり、コースは21kmとフルマラソンの半分。ホノルルマラソン同様、時間制限が設けられていないから自分のペースで走ることが可能となっている。最悪、全コース歩いたとしても5時間プラスαで完走できると考えれば、こっちはなんとなくイケそうな感じがするでしょ!?

 と、編集部が思ったのかどうかは分からないけれど、「ちょっと行って走ってきて!」とカナリ軽めにオーダーが。「イケそうな感じがする」なんて人ごとのように書いたけれども、日頃不摂生しまくりのアラフィフにそれは無謀な注文。「英語もできないしムリです」と即答したものの、「え~(不満そう)、じゃあ走れるところまででよいから」「イヤです」……、「1kmでもいいから」「ダメです」と、押し問答の末、「それじゃレポートだけでいいから」と押し切られてしまった。というワケで、2016年の4月10日に行なわれた第5回大会の様子をレポートしよう。

よりファンランナー向きのコース設定

スタート地点はワイキキビーチにあるデューク・カハナモク像のすぐ脇

 ハパルアのスタート地点はワイキキビーチのデューク・カハナモク像前。ここから「カラカウア通り」を西側に向かってスタート。アラモアナ・ショッピングセンター(約3km地点)がある「アラモアナ通り」へ入り、アロハタワー(約6km地点)を横目にダウンタウンを周回して折り返し。

カラカウア通りからアラモアナ・ブルーバードへ
しばらく進むとアラモアナ・ショッピングセンターが見えてくる。ここで2.5kmぐらい
アラモアナ・ショッピングセンターの横を走る(約3km地点)
正面にピア2クルーズターミナルが見える(約5km地点)
アロハタワー前を通過(約6km地点)

 このあたりはホノルルマラソンとほぼ同じコース。カメハメハ大王像を過ぎたら「パンチボール通り」を経由して再度アラモアナ通りへ入り、先ほど走ったコースを逆走して東を目指す。2度目のアラモアナ・ショッピングセンターで約10~11km地点といったところ。スタート地点(約13km地点)を過ぎホノルル動物園の横へ。ホノルルマラソンではここから海側に向きを変えるが、ハパルアはダイヤモンド・ヘッドを時計回りに一周する。実はこの9マイル、約14.5km地点からがこのコース一番の難所。

アラモアナ・ブルーバードを右折してスミス通りへ(約6.4km地点)
ノースキング通りへ右折。ウォルマート前で約7km
イオラニ・パレス
カメハメハ大王像前
右折してパンチボール通りへ(約7.5km地点)
パンチボール通り。ここでも正面にピア2クルーズターミナルが見える
パンチボール通りを左折してアラモアナ・ブルーバードへ
再度アラモアナ・ショッピングセンターの前を通過(約11km地点)
カラカウア通りを東へ(約12.5km地点)
ホノルル動物園前(約14.5km地点)

 緩やかな上り坂が1.6kmほど続き、疲れが見えてきたランナー達の体力を奪っていく。頂上を過ぎるとダイヤモンド・ヘッドを右手に見ながらしばらくは快適な下り。「カハラ通り」との交差点を過ぎると再度上り勾配となるものの、登り切った19km地点付近は大海原が左手に広がる一番の絶景ポイント。ホノルルマラソンと同じカピオラニ公園がゴールとなる。

緩やかな上り坂が続く
右手にはダイヤモンド・ヘッド
16kmを過ぎてやっと下りに
ずっとダイヤモンド・ヘッドが間近に見える
カハラ通りとの交差点を過ぎると少し上り坂に
海が見えてくる
駐車場からは絶景を望むことができる(約19km地点)
ここからはずっと下り
右手がカピオラニ公園。この右手側がゴール

パケット・ピックアップ

ハワイ・コンベンションセンター

 ハパルアに出場するためには、なんといってもまず事前の申し込みが必要。記事の後ろの方で詳しく書くが、2017年の申し込み受け付けはすでに始まっている。出場しようと思うならこれが最初の一歩。現地までの航空券や宿泊の予約も必要。日程的にはレース前にナンバーカードの受け取りをする必要があるので2日、レース後に1日で計4日はほしいところ。観光もするならプラスαが必要だ。参加申し込みや各種予約まで済ませておけば、あとは日程に沿って行動するのみだ。

ピックアップ会場入口
ゼッケン番号順にカウンターが分かれている

 ハワイに着いてまず、やっておかなければならないのが、パケット・ピックアップ(ナンバーカードの受け取り)だ。ナンバーカードなんて書くとクレジットカードみたいなモノを連想するかもしれないけれど、カンタンに言えばゼッケンのこと。レースは朝6時にスタートするため当日の受け取りは不可能で、かつ郵送などによる引き渡しも不可。なので、前日または前々日にピックアップ会場となっているハワイ・コンベンションセンターまで出向く必要がある。

日本人エントラント向けの受付もある
ナンバーカード
裏に計測用のタグが付いている
記念撮影コーナーもある

 引き換えコーナーではゼッケンに加え、記念品としてTシャツとバッグが配布される。これで事前の準備は終了となるけれど、会場には記念写真が可能なスペースやオリジナルグッズの販売コーナー、企業ブースの出展などもあってちょっとしたお祭り気分。レース前の高ぶった気持ちを落ち着けることができそうだ。

 パケット・ピックアップ自体はものの数分で終わってしまうので、あとは観光するなりホテルに戻って体を休めるなりの自由時間だ。

カウアイコーヒーの試飲ブース
JALテントの受付。搭乗券を見せるとJALテントの入場に必要なステッカーがもらえる
記念グッズも販売

レースは朝6時スタート

5時前のスタート地点
まだ準備中

 レースは朝6時、ワイキキビーチにある「デューク・カハナモク像」のすぐ前からスタートする。5時少し前に現地へ行ってみると、まだ真っ暗で人影もまばら。昼間は世界中からの観光客でにぎわうところだけれども、さすがにこの時間だと閑散としている。スタート周辺で準備が進んでいるものの、のんびりした雰囲気だ。4月初めといえば日本ではまだ肌寒い季節だけれども、さすがにハワイ。Tシャツ姿で暑くもなく寒くもなくと、ちょうどイイと言えるぐらいの気温だ。

デューク・カハナモク像

 5時を過ぎるとちらほらと選手が集まりはじめ、5時半になると先行して車椅子競技部門がスタート。次いで招待選手が地元の選手を追いかける「ザ・チェイス」が始まる、と徐々に本番が迫ってくる。

レースを先導する警官達
徐々にランナーが集まってくる

 この頃になると続々と参加ランナーが集まってくる。今年、2016年のハパルアはエントリー7655名(うち日本人が1697名)と、2015年大会より1000名あまり増えているものの、本家ホノルルマラソンと比べれば1/4程度。集まってきたランナー達はカハナモク像の前で記念写真を撮るなど、どこか和やかなムードが漂っている。とはいえ、スタート地点の幅はわずかに3車線程度。そこに7000名以上が陣取るのだから、長い列が形成されるのは必至。スタート位置を確保するために本気ランナー達の戦いはすでに始まっているようで、スタートラインをアタマにじわじわと人数が増え続けていた。

とはいうもののあまり緊迫したムードはない
まず車椅子のランナーがスタート
ザ・チェイスのランナーが時間差でスタートしていく
スタート直前

 6時ちょうどにレースがスタート。ランナーがカラカウア通りを西に向かって駆けだしていく。ラッシュ時のホームみたいな人混みのカタマリが眼前を通り過ぎていくものの、なかなか列は途切れない。結局、最後のランナーがスタート地点を通過したのは、レース開始から約10分経ってから。「これはスタート位置でスゴく有利不利があるなぁ」なんて思っていたら、トップランナー以外のタイム計測は実際にスタートラインを通過した時点からとのこと。順位ではなく自身のタイムアップを目指すランナーも安心だ。

7000人あまりのランナーが駆け抜けていく
最後のランナーがスタート地点を通過したのはおよそ10分後
6時30分前、スタート地点に車椅子のランナーが戻ってきた
さらに5分ほどするとザ・チェイスのランナーも
ワイキキビーチ前を駆け抜けていく

 そうこうしているうちに逆方向からランナーが戻ってくる。スタート地点は折り返してきたコースの13km地点をちょっと過ぎたところ。速いランナーなら40分と掛からずに戻ってきてしまうわけで、スタート時間が早かったザ・チェイスの出場選手は、それこそもうあっという間ってワケだ。

ビーチの外れが14km地点

 カラカウア通りを抜けたランナーはダイヤモンド・ヘッドを時計回りに一周する。コース紹介のところで書いたようにここから難所を迎えるとあって、給水所や救護所が設けられており多くのランナーがひと息入れている姿が見られた。しかし、このハパルア。走っているランナーを見ていると本気モードの人がいるかと思えば、アメリカンヒーローのコスプレをしている人、ベビーカーを押している人など、まぁ、ホントにさまざま。見ているだけでも走っている楽しさが伝わってくる。

ハパルアを楽しんでいるランナー達
14km過ぎにあるエイドステーションにはドリンクなどが用意されている

 ランナー達がダイヤモンド・ヘッドを回ってくる間に、こちらはゴールのカピオラニ公園に。スタートから1時間を過ぎた頃、トップで戻ってきたのはザ・チェイスのイザベラ選手(ケニア)。1分ほど遅れて日本の大谷遼太郎選手が続き、そこからは続々とランナー達がゴールしていく。

こちらはゴール
完走したランナーに渡されるメダル
最初にゴールしたのはケニアのイザベラ選手
大谷遼太郎選手が2位
続々とゴールに
完走者にはメダルが贈られる

 カピオラニ公園にはランナーのためにサポートブースや企業ブースが設けられており、マラサダドーナツやシェイブドアイス(かき氷)、コーヒー、ドリンクなどが振る舞われていた。なかでもプレゼンティングスポンサーとなるJALは、JAL便の利用者のみが入場できる「JALテント」を用意。ハワイの強い日差しを遮る大きなテント内にはテーブルとイスが用意され、マラサダドーナツをはじめフルーツや軽食、ドリンク類を楽しむことができたほか、走ったあとの体をほぐすストレッチ教室なども開かれていた。走ったあとの疲れを癒やすには十分過ぎるサービスだ。

ゴール横に設けられたホスピタリティエリア
ステージではライブを開催
カウアイコーヒーのブース
マラサダドーナツなども
シェイブドアイス
協賛企業のブース
JALテント
テント内はリラックスできるスペース
ドリンクや軽食を用意
ストレッチコーナーも人気だった

 9時30分からは上位入賞者のための表彰式を開催。その傍らでは、ゴールしてひと息入れたランナー達が、これからゴールを目指すランナー達に声援を送る場面も。最終結果を見てみれば男性は85歳以上、女性は75歳以上の完走者が日本人を含めて複数。それでも最も遅いグループで5時間と少しでゴールしていたようだ。

 表彰式でプレゼンターを務めた日本航空 ホノルル支店長(当時)の村山貞司氏は「(JALは)12月のホノルルマラソンのお手伝いもしているが、やはりフルマラソンはエントリーのハードルが高い。ハワイで走りたいというお客さまが多いので、このハーフマラソンをステップとして、さらにホノルルマラソンにも参加していただけるとありがたい。フルマラソンとは違う走る楽しさを感じてほしい」と、コメントしていた。

スタートから2時間経過。14km地点ではまだまだランナーの列が続く
ゴール直前
走り終えたランナーが応援に回る
3時間前後で走りきるランナーが多かったようだ
結果がすぐに張り出されていた
ゴールしたランナーは皆笑顔
優勝したイザベラ選手
上位入賞者の表彰式
プレゼンターを務めた日本航空 ホノルル支店長(当時) 村山貞司氏
今年で3回目という日本航空株式会社 執行役員 加藤淳氏。「ハパルアはホノルルを楽しむ一環として定着しつつある」という
日本航空株式会社 執行役員 柏頼之氏は「景色がよいコースを参加した皆さんが和気あいあいとして楽しんでいる。沿道の皆さんの応援も元気が出る」とコメント

 国際的なマラソン大会と言うと本気モードの選手が多いように感じられるけれど、このハパルアはそんなムードとはまったく無縁。参加人数からみれば大きな大会ではあるものの、どことなくおおらかな感じがするのもハワイならではの光景かもしれない。

2017年にホノルルハーフマラソン・ハパルアに出場するには?

 来年の開催となる「ホノルルハーフマラソン・ハパルア2017」は2017年4月9日。エントリーの受付は2016年10月14日からスタートしている。ハワイまでの交通機関は個人で手配してもよいし、JALパックや旅行代理店でもツアーの募集が行なわれるから面倒ならそれを利用するのもよし。単なる観光だけでは味わうことのできない、特別なハワイを楽しんでみてはいかがだろうか。

参加費用

第1期:2016年10月14日~2017年1月13日
一般エントリー料:1万3000円

第2期:2017年1月14日~2017年3月24日
一般エントリー料:1万6000円

※JAL便利用者は特典利用料金(2000円引き)にてエントリー可能。詳細はWebサイトにて
※参加は大会当日の年齢が7歳以上
※7歳から14歳の参加する場合、保護者と常に一緒に行動する必要がある
※未成年者は2017年3月22日締切

安田 剛