旅レポ
さらに広がった華やかすぎるマカオの巨大統合型リゾート「ギャラクシー・マカオ」(第1回)
ギャラクシー・マカオの全貌と日本人にお勧め日系ホテル「ホテル・オークラ・マカオ」
2016年8月24日 00:00
IRが増殖中のマカオはカジノ抜きでも楽しめる
マカオ(澳門)は、香港にほど近く日本からは4時間30分ほどのフライトで行ける位置にある。16世紀からポルトガルが統治し、1970年代からポルトガルの特別領だったが、1999年に中華人民共和国へ返還され、中華人民共和国 マカオ特別行政区となっている。中国本土とつながっている「マカオ半島」と、離島だった「タイパ」と「コロアン」との間を埋め立てた島との間を3本の橋でつながるという、ちょっと変わった形状をしていて、全体でも31.3km2ととてもコンパクトなため観光でまわりやすい。
この中間の埋め立て地帯は「コタイ」地区と呼ばれ、近年、「IR」施設がいくつも建築されている。IR(Integrated Resort)とは統合型リゾートのことで、ホテル、ショッピングモール、レストラン、コンベンションセンター、劇場、カジノなどが一体となった巨大観光施設で、いわば新しい楽しみ方のできるリゾート地域となっている。日本では、カジノ合法化法案の際にしか使われない用語なので、あまり一般的ではないかもしれないが、世界的に見ると各地に巨大なIRが続々と生まれている。
そのマカオのIRのなかで、2011年5月に開業した「ギャラクシー・マカオ(Galaxy Macau/澳門銀河)」に、2015年5月、「JWマリオット・ホテル・マカオ」と「ザ・リッツ・カールトン・マカオ」が加わり、約2倍の広さの110万m2まで拡張された。ホテルはほかに「ホテル・オークラ・マカオ」「バンヤン・ツリー・マカオ」「ギャラクシー・ホテル」「ブロードウェイ・ホテル」の6つがあり、約4000室を擁している。このIRの詳細を取材できたので、今回から複数回に分けてレポートする。
マカオへの行き方と通貨、コンセント……
マカオへは、日本から直行便も出ているが、香港へ飛行機で飛び、フェリーでマカオへ向かうルートも一般的。この場合、香港では入国せず乗り継ぎで直接マカオに行く方法と、香港でいったん入国し、その後フェリーでマカオに入国する方法もある。今回は後者の方法でマカオに渡った。
特別行政区には大幅な自治権が認められていて、国同様の出入境審査がある。香港に立ち寄るケースでは香港(香港も特別行政区)とマカオで審査を行なうことになる。手続きはやや煩雑だが、香港観光も併せて楽しむこともできるので、余裕のある旅程が組めるならお勧めしたい。
ちなみに、香港とマカオの間には、50kmにおよぶ自動車用の海上橋と海底トンネルが建設中で完成間近の状態(2016年夏現在)。これが開通すると30分ほどで行き来できるようになり、さらに利便性が増す。出入境審査も簡略されるようだ。
なお、フェリー乗り継ぎで直接マカオに向かう際に受託手荷物があるケースでは、日本から飛行機にチェックインする時点で利用フェリー会社を告げて荷物を転送してもらう必要があるのでちょっと注意しておこう。飛行機の乗り継ぎ同様の扱いになる。
マカオで使われている言語は、ギャラクシー・マカオなどIR内や大きなレストランではほぼ英語が通用し、ホテル・オークラ・マカオであればフロントでは日本語でもやりとりができる。街中では英語が通じるところもあるが、表記なども含め基本は中国語(広東語)とポルトガル語になる。
通貨は香港ドル(HK$)かマカオのみで流通するマカオパタカ(MOP)。この2種類がほぼ等価で流通している。外貨両替はカジノ内で手軽にできるほか、ATMも多数設置されているのでクレジットカードが手元にあればまず困ることはない(カジノ利用では限度額に注意)。マカオパタカはマカオ以外で両替できないので、なるべく香港ドル主体にしておいた方が便利だ。
電源コンセントは電圧220Vで、形状はA、B、B3、C、BFタイプなどが混在している。香港がBFなので、こちらが多いようだ。ホテルではマルチタイプで日本形状のまま差し込めるようになっている場合が多い。ただしその場合でも電圧は220V。スマートフォンやノートPC、充電器などのACアダプタは対応電圧が広いことが多いので、そのまま使えることが多いが、必ず対応電圧は確認しておきたい。
マカオというと、まずカジノをイメージしてしまうかも知れないが、ギャラクシー・マカオを含めIR内にはショッピングやレストラン、劇場、プールやスパ、アミューズメント施設などや、要所ではアトラクションで突発的に楽しませてくれる工夫もあり、カジノ抜きで滞在しても通常の観光地以上に楽しめるので、ファミリーのバカンスにはもってこいだと思われる。またカジノがあることで、いわゆる“お一人さま”での滞在客も多いようで、まったく違和感なく溶け込めてしまう。一人旅にもお勧めだ。賭け事が苦手な人も、ぜひバカンスの候補に入れてみてほしい。半島側で30ほどある世界遺産を観光するのも楽しい。
なおカジノは、保護者同伴であっても21歳以下は入場ができないことと、入場後の写真撮影は一切できない(もちろんスマートフォンでも)ので注意しておこう。
ビーチリゾートにショッピング、食事とすべてを楽しめる「ギャラクシー・マカオ」
ギャラクシー・マカオは、先に挙げた6つのワールドクラスホテルが入る3棟の高層建築で囲まれるように建っている。
地下階(GF)と1階がプロムナードと呼ばれるショッピングとレストランが入るモールになっていて、ホテル棟3棟を回遊できるような通路としてつながっている。ここにハイブランドブティックからドラッグストア、レストランやカフェ、映画館などがすべてまとまっていて、10万m2に約200店のショップと120店以上の飲食店が入っている。
店舗のなかにはCHANEL、Diorといった有名高級ブランドはもとより、あまり見かけることのないBreguetやFRANCK MULLER、IWCなど超高級時計ブティックがあるかと思えば、日本でもお馴染みのH&Mもあったり、豚骨ラーメン店で行列があったり、レストランもミシュランの星付きからフードコートまで、実にいろいろと楽しめる。マカオ初出店のアップルストアも入っている。
このプロムナード中央部分がカジノになっていて、通路から要所で入れるようエントランスが設けられている。中央にカジノがあることで、ホテルをはじめ各所にカジノを通過することなくアクセスできる設計だ。カジノを目的としない滞在でも楽しめる作りになっている。
3棟のホテル棟がデザインが似た建物なので、慣れるまでは方向感覚を掴みにくい。また、プロムナードからホテルへのエントランスは宿泊客以外は少し分かりにくいので、プロムナードにいくつかあるロビーで場所を把握するとよい。ロビー毎に特徴があるので把握しやすい。
さらに通りを隔ててブロードウェイ・マカオ(旧グランド・ワイド・コンプレックスを改修)が併設されていて、ギャラクシー・マカオからは専用の通路でアクセスできるようになっている。ローカルなショップを含んだ親しみやすいブランドが多く、中のストリートでは屋台も多数出店している。また、こちらにはザ・ブロードウェイというショーパフォーマンスが行なわれるステージがある。
プロムナードにあるロビーの中でも、エントランスホールにあたる「ダイヤモンド・ロビー」にある「フォーチュン・ダイヤモンド」では、30分毎にショータイムがある。孔雀をモチーフにしたド派手な噴水から、巨大なダイアモンドが現われる。滞在中ぜひ一度は見ておきたい。
ホテル棟に囲まれた中央部分は、グランドリゾートデッキと呼ばれる本格的なリゾートプールが広がっている。この部分は2階にあたり、7万5000m2の広さもある。すべて人工なのだが、長さ150mにおよぶ白い砂浜や波のプールは、ビーチリゾートにいるのと勘違いしそうな完成度。世界一の長さを誇るという川下り、ウォータースライダー、子供向け水遊びエリアなど、あらゆる水遊び施設が充実している。これらは6つのホテルの宿泊者は自由に利用できる。なお、ホテルによってはプライベートプールが用意されている。プールに関して詳しくは、次回記事でも紹介する。
日本人には快適すぎる「ホテル・オークラ・マカオ」
日本人としてギャラクシー・マカオを見た場合、見逃せないポイントとして6つのワールドワイドホテルの中に「ホテル・オークラ・マカオ」が入っているということが挙げられる。
日本語が分かるスタッフが常駐していて、要所に配置されている。ロビーには日本人専用のカスタマーサービスカウンターが設けられている。細かな案内やトラブル時の対応を日本語で頼むことができるのは、大きな安心といえる。ロビーに入ったときからホテル内装には日本が感じられるデザインで、サービスも日本式のきめ細かさが感じられる。部屋に入ると日本語の案内パンフレットや日本の新聞が用意されていて、一瞬マカオにいることを忘れてしまうほど。初めてのマカオ観光では、まず候補に入れてほしいホテルだ。客室は、60のスイートルームを含む300室が提供されている。
まず、今回の旅程で宿泊した「デラックスルーム(リゾートビュー)」を詳しく紹介する。「デラックスルーム」は46m2のもっとも一般的なタイプの客室で、その中で中庭側に窓がありグランドリゾートデッキが見下ろせる部屋が「リゾートビュー」と名付けられている。カップルや家族利用でも余裕のある広さがあり、ゆったりくつろげるはずだ。
ホテル・オークラ・マカオが持つ客室のなかでも「インペリアルスイート」は、201m2を誇るとてもゴージャスな貴賓室。部屋の4倍にあたる800m2と広大な屋外プライベート・テラスや巨大なワインセラーを持っていて、そこかしこに日本的なデザインが取り入れられている。キッチンも備えていて、部屋内で調理もできる。
マカオ観光では外せないポルトガル料理が楽しめるレストラン「GOSTO」
最後にギャラクシー・マカオ内で伝統的ポルトガル料理が食べられるレストラン「GOSTO(葡軒)」を紹介しよう。メニューはもちろん、内装から食器もポルトガル植民地時代のマカオを表現しているのが特徴。「ミシュランガイド香港&マカオ2016」でリコメンド(推奨)レストランに選ばれている。プロムナード内「G011」にあるので、場所は分かりやすい。
ポルトガル料理は、シーフードが多く使われ(もちろん肉料理もある)、リゾットやピラフ、フライ、スープなどオーソドックスなメニューが多い。味付けは素朴な味が多く、多少スパイシーなものがあることとハーブやコリアンダー(香草)が苦手でなければ日本人の口に合いやすいと感じた。マカオを訪れたら、ぜひ一度はチャレンジしてみてほしい。
次回以降、ほかのホテルやプール詳細、レストラン、マカオ半島の観光などを紹介していく予定だ。