【イベントレポート】ツーリズムEXPOジャパン2015

古来から伝わる各地の伝統工芸品を数多く展示

工芸品の販売や小物の製作体験も盛況

2015年9月24日~27日 開催

伝統的工芸品産業振興協会の「伝統的工芸品」ブース

 ツーリズムEXPO2015で伝統的工芸品産業振興協会は、各地の伝統工芸を紹介していた。通りの両側に、各工芸品が並ぶという構成。工芸品の販売や制作体験を行なっているブースも多い。ピックアップして順不同で紹介する。

「彦根仏壇」―滋賀県彦根市、米原市

 17世紀中頃から、彦根藩の保護のもと発展した、檜、杉、ケヤキ、センノキを素材して制作される仏壇。仏壇全面の木目を浮き出させる木目出し塗り、蒔絵を多用する。

彦根仏壇。最近ではモダンなデザインの仏壇ある
桐の下駄制作体験を行なっていた

「樺(かば)細工」―秋田県仙北市

 18世紀後半に下級武士の副業として始まった、樹皮特有の美しさを表現する細工。山桜の樹皮を木地に貼ったもの、貼り重ねて彫刻したものなどがある。実用的な堅牢さも兼ね備えている。

樺細工の製品。さまざまな小物に加工が施されている
樺細工のバックや茶筒など
樺細工のハシ
樺細工に使われる樹皮の展示

「近江上布(おうみじょうふ)」―滋賀県愛荘町ほか

 室町時代から続く代表的な麻織物産地の近江で、17世紀に彦根藩の振興により発展した織物。着尺や甚平といった夏用の上質な着物の地物として、近江商人によって全国に広がる。

 絣織(かすりおり)と、高宮布の織機と同じもので織る生平(きびら)がある。生平は手績(う)みの糸を使う。苧麻(ちょま、ラミー)や大麻(おおあさ、ヘンプ)の糸を使用する。

近江上布織り実演
近江上布の反物を展示
原料となる大麻や反物。大麻の手績み体験を実施していた

「川連(かわつら)漆器」―秋田県湯沢市

 12世紀からはじまり、19世紀ごろには沈金、蒔絵による装飾が始まった。栗駒山麓は豊富な原木に恵まれる。渋下地、蒔地下地による堅牢で実用的な漆器。

川連漆器。とても美しい金の装飾
川連漆器の急須置き
とても豪華な装飾のものもある

「甲州手彫印章」―山梨県甲府市

 江戸時代末期からはじまる、水晶や水牛、ツゲなどを印材にした印章。特に水晶印は、ほかにはない華やかな趣きが特徴。

甲州手彫印章の制作実演
印章の販売や制作体験が行なわれていた

「阿波和紙」―徳島県吉野川市ほか

 平安時代以前から始まる手作業で生産される和紙。コウゾ、ミツマタ、ガンピを原料にして、流し漉(す)きで作られる。特に藍染め和紙は知名度が高い。

阿波和紙。とても味わいのある和紙
和紙の漉き作業制作体験
和紙の原料となるコウゾ、ミツマタ、ガンピ

「高岡銅器」―富山県高岡市

 16世紀末から前田藩の育成のもとに始まった銅製造技法。主原料の唐金は、銅、亜鉛、鉛、すずの合金。唐金の配合割合、鋳型制作、押紋様、型焼き、彫金、着色といった技法で制作する。

高岡銅器の鐘
高岡銅器の小物製作中
ブースでは「高岡万葉大使」が案内していた

「波佐見焼(はさみやき)」―長崎県波佐見町ほか

 16世紀末大村藩主が朝鮮出兵の際に連れ帰った陶工により開窯。大村藩の保護を受けて栄えた。良質の天草陶石にコバルト色の呉須下絵を染め付けた磁器。

波佐見焼の染め付け実演
波佐見焼の食器。カラフルな色合い

「山鹿灯籠(やまがとうろう)」―熊本県山鹿市

 和紙と糊だけで立体構造に組み上げる室町時代からあるとされる工芸品。置物、お土産、インテリアなどに利用されている。山鹿灯籠を女性踊り手の頭上に乗せ踊る灯籠まつり(8月15日~16日開催)は有名。

山鹿灯籠。和紙でできているので、大きさの割にとても軽い
このように薄い和紙からできている
ミニ山鹿灯籠の制作体験
灯籠まつりのように山鹿灯籠を頭上に乗せたスタッフもいた
(村上俊一)