【イベントレポート】ツーリズムEXPOジャパン2015
古来から伝わる各地の伝統工芸品を数多く展示
工芸品の販売や小物の製作体験も盛況
(2015/10/5 08:45)
- 2015年9月24日~27日 開催
ツーリズムEXPO2015で伝統的工芸品産業振興協会は、各地の伝統工芸を紹介していた。通りの両側に、各工芸品が並ぶという構成。工芸品の販売や制作体験を行なっているブースも多い。ピックアップして順不同で紹介する。
「彦根仏壇」―滋賀県彦根市、米原市
17世紀中頃から、彦根藩の保護のもと発展した、檜、杉、ケヤキ、センノキを素材して制作される仏壇。仏壇全面の木目を浮き出させる木目出し塗り、蒔絵を多用する。
「樺(かば)細工」―秋田県仙北市
18世紀後半に下級武士の副業として始まった、樹皮特有の美しさを表現する細工。山桜の樹皮を木地に貼ったもの、貼り重ねて彫刻したものなどがある。実用的な堅牢さも兼ね備えている。
「近江上布(おうみじょうふ)」―滋賀県愛荘町ほか
室町時代から続く代表的な麻織物産地の近江で、17世紀に彦根藩の振興により発展した織物。着尺や甚平といった夏用の上質な着物の地物として、近江商人によって全国に広がる。
絣織(かすりおり)と、高宮布の織機と同じもので織る生平(きびら)がある。生平は手績(う)みの糸を使う。苧麻(ちょま、ラミー)や大麻(おおあさ、ヘンプ)の糸を使用する。
「川連(かわつら)漆器」―秋田県湯沢市
12世紀からはじまり、19世紀ごろには沈金、蒔絵による装飾が始まった。栗駒山麓は豊富な原木に恵まれる。渋下地、蒔地下地による堅牢で実用的な漆器。
「甲州手彫印章」―山梨県甲府市
江戸時代末期からはじまる、水晶や水牛、ツゲなどを印材にした印章。特に水晶印は、ほかにはない華やかな趣きが特徴。
「阿波和紙」―徳島県吉野川市ほか
平安時代以前から始まる手作業で生産される和紙。コウゾ、ミツマタ、ガンピを原料にして、流し漉(す)きで作られる。特に藍染め和紙は知名度が高い。
「高岡銅器」―富山県高岡市
16世紀末から前田藩の育成のもとに始まった銅製造技法。主原料の唐金は、銅、亜鉛、鉛、すずの合金。唐金の配合割合、鋳型制作、押紋様、型焼き、彫金、着色といった技法で制作する。
「波佐見焼(はさみやき)」―長崎県波佐見町ほか
16世紀末大村藩主が朝鮮出兵の際に連れ帰った陶工により開窯。大村藩の保護を受けて栄えた。良質の天草陶石にコバルト色の呉須下絵を染め付けた磁器。