【イベントレポート】ツーリズムEXPOジャパン2016

副首相も来日したタイブース、伝統芸能やグルメのレシピ伝授などのステージイベントを用意

大相撲タイ場所が2018年までに実現の可能性

2016年9月22日~25日 開催

 ツーリズムEXPOジャパン2016のタイ王国ブースでは、「ローカルの体験」をしてもらうことをテーマに、観光情報カウンターや関連業者の情報提供スペースを用意。週末には伝統料理「ソムタム」を作る体験や、タイ式健康法「ルー・シー・ダットン」の体験レッスンなどをステージで実施した。

 2016年のツーリズムEXPOジャパンにあたって、タイからは副首相のタナサック・パティマプラゴーン氏も来日。併せて、タイ 観光・スポーツ大臣のコープカーン・ワッタナワラーンクーン氏、観光庁総裁のユッタサック・スパソーン氏といったキーマンも来日している。

 パティマプラゴーン副首相は、「来年2017年は、日本とタイの外交関係が樹立してから130周年の記念の年。タイにとって、日本の観光市場は非常に重要性が高い。今後ともその基本政策は変わりなく、日本を重要視して政策を進めていくつもりだ。私たちが日本に来るときには、日本の皆さまに温かく歓迎してもらえる。9月22日のJAPAN NIGHTでも歓迎していただいた。タイもよきホスピタリティを持って、より多くの魅力的な観光地を紹介しつつ、よきホストとして微笑みと温かさを持って、タイの自然、文化といった魅力を日本の皆さまに伝えたい。数、質ともによりアピールしていきたいと考えている」とコメント。

 また、「タイと日本の双方向交流も大事だと考えている。日本は2020年までに訪日外国人を4000万人にするという目標を聞いているが、それを達成できるようにタイ政府も、より多くのタイ人が日本に来るように、私たちも協力したい」とも述べ、日本とタイの関係、交流人口増に取り組む姿勢を見せた。

タイブース
各地のツーリズム関連業者が集まりPR
一般日のステージではタイのローカルグルメ、文化を感じられるイベントを実施
タイ式健康法「ルー・シー・ダットン」の体験レッスン
9月23日のパティマプラゴーン副首相が太鼓を叩いてブースオープンを告げるセレモニーを実施
中央が副首相のタナサック・パティマプラゴーン氏。左は観光・スポーツ大臣のコープカーン・ワッタナワラーンクーン氏、右は在京タイ王国大使 バンサーン・ブンナーク氏
ブースオープン時には、UNWTO(国連世界観光機関)のタレブ・リファイ事務局長も表敬訪問

タイの観光事情についてインタビュー

 会期中、上記キーマンらに対して、メディアによるインタビューの時間が設けられた。その主要な内容を紹介しておく。なお、インタビューには複数のメディアが参加しており、下記の質問は他社を含む複数の記者からのものが混ざっていることをお断わりしておく。

タイ副首相 タナサック・パティマプラゴーン氏
タイ 観光・スポーツ大臣のコープカーン・ワッタナワラーンクーン氏

――2016年の日本からタイへの渡航者数は? 来年以降の目標は?

パティマプラゴーン副首相:1年間でおよそ140万人の日本からのお客さまをお迎えしている。2020年の具体的な数値目標は出していないが、日本を訪れる外国人が増え、日本から出国するお客さまも増えることで、日本人にもさらにタイに来ていただけると期待している。

――女子旅や地方誘客を進めているが、日本市場にどのようにアピールしていくか?

パティマプラゴーン副首相:タイ文化はもちろん、美容、健康などのたくさんの商品を用意している。女性が楽しめる、元気になれる商品をたくさん紹介していく。ただ、人数よりも、いかにタイを好きになってもらえるか。1回では満喫しきれないので、何度もリピーターとして訪れてもらうことが重要。

――2016年のタイを取り巻く環境はどのようなものだったか? 課題は?

パティマプラゴーン副首相:2015年1月~12月は2930万人ほどのお客さまを全世界から迎えた。2016年は順調にいけばおそらく3300万人ほどを迎えられると考えている。収入ベースでは2015年は約2.23兆バーツ、2016年は約2.4兆バーツにまで成長が見込まれる。順調に成長しているが、やはりタイのイメージを損なってしまうこともある。こういったものを厳しく取り締まって、安全に安心して旅をできるタイを作っていきたい。

 目指しているのは数値そのものではなく、日本市場に関しては日本とタイとの長年の交流を大切にしていくことが大きなテーマ。来年は外交樹立130周年。タイ国政府観光庁はもちろん、大使館や省庁、関係機関と連携して、さまざまな記念イベントを用意している。そういったものも楽しんでいただければ。

――8月に起きたバンコクでの連続爆破事件について、ツーリズムにどのような影響があったか? また政府の対策は?

パティマプラゴーン副首相:このような予想し得ない事態は世界中どこにでも起こりえる。バンコクでの爆発騒ぎについては、やはり一定数の観光客の減少が見られたが、3週間以内には復帰して、順調に伸びている。観光客そのものだけでなく、バンコク市民の安全を守る観点からも、政府として2度と起こらないように安全対策を徹底していきたい。

 また、政府以外にも、周辺地域のホテルや警備員やボランティア、およそ2000人が安全対策チームとして、今まで以上の倍以上のチームが地域の安全を守るために務めている。よきホストとして、タイに安全にお迎えできるようにと、考えている。

――2017年以降の観光プロモーションはどのような方向性で検討しているか?

パティマプラゴーン副首相:女子旅や「タイ12の秘宝」といったプロモーションを実施しているが、これから出てくるであろうと考えられるプロモーションも同じような路線を踏襲していく。すなわちタイの文化、自然、こういったものから、よりタイらしさについてコンテンツを深く掘り下げて、知識体験をしっかりして情報として届けていきたい。

 女子旅に関しても、今までのように美しくなるタイ、美味しいタイ、といったこと。これらが重要なのはリピーターを作る素材になるからだ。リピーターを作るであろう素材を重要視してプロモーションしていきたい。ちなみに、女子旅をプロモーションしているが、決して男性に来ていただかなくてもよいというわけではない(笑)。実際日本からタイへの渡航者は8割が男性。たくさん来てもらっているので、女性にもより多く来ていただきたいという主旨だ。

――チェンマイのTTM+(Thai Travel Mart Plus)でスポーツツーリズムの話があった。日本のイベントとしてSuper GTのタイ開催が10月に控えているが来場者の見込みは?

ワッタナワラーンクーン大臣:日本市場でもスポーツツーリズムを重視したい。モータースポーツでは、2015年にブリラムのチャン・インターナショナル・サーキットで行なわれたSuper GTは13万人を集めた。

 また、日本市場ではマラソンに力を入れていきたい。2017年は外交樹立130周年記念として2月26日に、世界遺産のアユタヤ駅伝を予定している。

パティマプラゴーン副首相:もう一つ付け加えると、昨日、相撲協会の方と会って、このなかで2017年に、間に合わなければ2018年までに相撲のバンコク場所を実現しようと話をした。招致を進めたい。

――バンコク~チェンマイの高速鉄道についてコメントを。

パティマプラゴーン副首相:バンコク~チェンマイ間の高速鉄道に日本に新幹線が導入されると報道されて久しいが、タイ政府として日本政府にも感謝したい。順調に大きな進展を迎えており、計画どおり契約を進めて、日本の新幹線のタイでの実現を推し進めたい。開通したら、より効率のよいトランスポーテーションを実現して、より多くの日本、世界の人たちに、安全に効率的にタイを旅行してもらえると期待している。