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トルコ大使館、世界3位の観光都市や“天空のローマ遺跡”を持つ西地中海地方を紹介

鳩山由紀夫 元首相「できるだけ早くトルコに行きたい」と挨拶

2015年5月12日 実施

トルコから寄贈されたバラを植樹し、鳩山会館をバックに記念撮影をする(左から)元首相で鳩山会館 館長の鳩山由紀夫夫妻、駐東京トルコ共和国大使のアフメット・ビュレント・メリチ夫妻、東京都文京区長の成澤廣修夫妻

 トルコ共和国大使館 西地中海開発機構(WMDA)は5月12日、バラのふるさとでもあるトルコ西地中海地方に関するセミナーを、東京都文京区の鳩山会館で実施した。

 同セミナーに先立って、バラの庭園でも知られる鳩山会館へ、トルコ共和国からバラが寄贈され、アフメット・ビュレント・メリチ駐東京トルコ共和国大使や、鳩山会館の館長として参列した鳩山由紀夫 元首相、東京都文京区の成澤廣修区長が植樹を行なった。

スコップを手に取り、ビュレント・メリチ駐東京トルコ共和国大使、鳩山由紀夫 元首相、成澤廣修 文京区長が、トルコから贈られたバラの植樹を行なった
植樹を終え、バラのゲートを前に記念撮影
鳩山由紀夫 元首相がケータイを使って、「マダム ミユキ」と幸夫人を撮影する一幕も
会場となった鳩山会館。庭園のバラは見頃を迎えている

 ビュレント・メリチ大使は、「バラとはトルコで平和と愛を表わす象徴。トルコの人はバラを愛し、愛する人にバラを贈る。トルコから日本へ贈られたバラは、トルコと日本の友情のシンボルであり、両国の友好125周年の今年、トルコ国民の日本に対する愛情が、このバラを通じて日本の皆さんに届くよう祈念する」と挨拶。

 鳩山会館の“大家さん”として挨拶した鳩山由紀夫氏は、「我が家の庭にもバラが美しく咲く頃に、トルコと文京区の協力のシンボルとしてのバラを植樹いただいてうれしく思う。大使の話では、来年には美しい花を咲かせるのではないかとの話だったので楽しみ」とコメント。

 加えて、「私もバラが好きだし、首相時代にファーストレディだった女房の“幸”の名前を付けた“マダム ミユキ”も庭園には咲いている。そこでお願いがある。私ども鳩山会館でしか買えないような香水などを作っていただけないものかと思っている。あとは商談(笑)。鳩山会館でしか売っていないコスメがあるぞ!、というようなことを頭に思い浮かべており、実現できればよいと思っている。そのようなことで、トルコと私どもとの距離がどんどん縮まることを期待したい」と、トルコにリクエストを出しつつ、両国の友情が深まることを切望した。

 また、同氏自身は乗り継ぎの空港以外ではトルコに行ったことがないそうで、「まだトルコにも地中海にもうかがったことがなく、トルコの綺麗な映像を見て、“飛んでイスタンブール”と、できるだけ早くお邪魔したいと思っている」とコメントし、場を和ませた。

 東京都文京区の成澤廣修区長は、「文京区とトルコの関係は? と思う方もいるかも知れないが、文京区とトルコ イスタンブール市ベイオウル区との間で、友好交流の話が進んでいる」と、その関係を紹介。

 「ベイオウル区との間で現在、JICA(国際協力機構)の草の根ネットワーク交流事業を活用して、ともに地震国として防災教育の協定を組んで、お互いに市民がどう災害に備えればよいかを学び合うということを2014年から開始した。今日植樹したバラが咲く頃には、お互いに成果を出せるよう努力していきたい」とした。

アフメット・ビュレント・メリチ駐東京トルコ共和国大使
鳩山会館 館長の鳩山由紀夫 元首相
東京都文京区の成澤廣修区長

 また、トルコにおけるバラの文化的背景について、トルコ共和国大使館 文化広報参事官室のアリ・カラクシュ参事が紹介。

 同氏は、「ツーリズムのプロモーションでは、歴史的背景や美しい自然遺産をフックにして紹介することが多いが、西地中海地方の特徴にはバラのような文化的要素の豊かさが特徴」とし、人類最古のバラの栽培がチグリス川・ユーフラテス川に囲まれたメソポタミア地方で始まり、そこから伝播していったことなど、トルコとバラにまつわるさまざまなエピソードを紹介した。

トルコ共和国大使館 文化広報参事官室のアリ・カラクシュ参事(写真左上)がバラにまつわるエピソードを紹介。会場内にはトルコで製造されたバラを使ったコスメやせっけんなどが展示された

“屈指のリゾート”、“バラのふるさと”、“天空のローマ遺跡”を持つトルコ西地中海地方

トルコ共和国大使館 文化広報参事官室の大森正光氏

 本セミナーの主題であるトルコ西地中海地方についての説明は、トルコ共和国大使館 文化広報参事官室の大森正光氏が行なった。大森氏は「トルコの西地中海地方と聞いてもイメージが沸かないと思うが、屈指のリゾート都市“アンタルヤ”、バラのふるさとである“ウスパルタ”、天空のローマ遺跡を持つ“ブルドュル”がある」と紹介。

 トルコのインバウンド(訪問外国人数)は2014年に約3700万人で、世界6位にランクインしているという。そのうちの32~33%が西地中海地方のアンタルヤを訪問。アンタルヤは都市別のインバウンドランキングでは世界3位に付けるという屈指の観光都市だ。

 日本人訪問者は約20万人前後で、2013年から2014年にかけてやや落ち込んだが、今年はエルトゥールル号の映画「海難1890」(http://www.toei.co.jp/movie/details/1204606_951.html)の公開や、軍楽隊の来日が予定されていることから、2015年は注目が高まると同大使館では見ている。

 アンタルヤは、5つ星のホテルや、美しいビーチに対してEUが認定している「ブルーフラッグビーチ」も200カ所あるなどリゾート地として知られる。一方、古代劇場などで知られる「アスペンドス遺跡」や、サンタクロースのふるさととして聖ニコラウスが司教を努めた教会跡がある「ミュラ」など42カ所の古代都市遺跡があるほか、アンタルヤの76%を占めるトロス山脈への日帰り小旅行プラン、ゴルフ場、MICEツーリズム需要など、さまざまな魅力があるという。

 また、地中海から一気に森林限界線を越える「オリンポス・ロープウェイ」は日本にはないファシリティを備えた希有な体験が出来るとアピール。アンタルヤ空港には395の航空会社が乗り入れ、欧州を中心に60カ国/300カ所への路線が運航されており、交通アクセスについての利便性も同地の魅力の1つとして挙げられた。

 このほか、2016年4月23日~10月30日には、「花と子供」をテーマにした“花博”こと「国際園芸博覧会」がアンタルヤで行なわれる。会期中は600万人の来訪者を見込んでいる。

トルコ西地中海地方と西地中海開発機構の紹介スライド
アンタルヤの紹介スライド

 続いて、アンタルヤからクルマで1時間30分ほどでアクセスできる「ウスパルタ」は、世界のローズオイルの生産量の6割を占める“バラのふるさと”として紹介。

 同地はバラ以外にも、透明度の高い湖や、アマカツから取ったエッセンシャルオイルや野生のオリーブから取ったテレビン油を採取する国立公園、初期キリスト教の理論家であった聖パウロが伝道の旅をした足跡を残す「ピシディア・アンティオキア」といった観光地がある。大森氏は「自然遺産の美しさだけでなく、文化的な背景も一緒に味わうことができる地なので、歴史ファン、文化ファンには一度訪れて欲しい」とPRした。

 また、西地中海地方のもう1つの県である「ブルドュル」は、「ブルドュルベージュ」という大理石セクターでは有名なブランドを持つ都市と紹介。古くは遊牧民が定着した、遊牧文化のふるさとでもあるという。

 現在、この地で注目を集めているのが、標高1450~1700mに立つことから“天空のローマ遺跡”と呼ばれる「サガラッソス遺跡」で、ユネスコの世界文化遺産の候補リストに入っている観光地だ。最近でもマルクス・アウレリウス帝の大理石像が発見されるなど、まだ発掘が続けられており、「皆さんにもっともっと紹介する機会が増えると思われる遺跡」(大森氏)としている。

 このほかブルドュルには、交易の交差路として栄えたキビリア遺跡や、美しい湖水なども魅力として紹介した。

ウスパルタの紹介スライド

日本でのトルコPR

 こうしたトルコの魅力を日本へ伝える役割は、日本の国際交流基金に相当する、トルコの公的機関「ユヌス・エムレ財団」が担当している。世界40カ国に窓口を開設して、トルコの言語や文化、伝統工芸や食事といったトルコ地方の特色などを紹介する活動を行なっている。

 2015年に日本で行なわれる大きなイベントとしては、秋に予定されている「メヴラーナ旋回舞踊」の公演のほか、6月にはエルトゥールル号事件から125周年を迎えるのを機にトルコから軍艦と軍楽隊が来日。具体的なスケジュールは調整中とのことだが、同事件の地である和歌山県串本町ほかで軍楽隊の公演が行なわれる予定だ。

「メヴラーナ旋回舞踊」
エルトゥールル号事件から125周年を記念して、軍楽隊が来日公演を行なう

編集部:多和田新也