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星野リゾート、2027年は福井・嬉野・飛鳥と新規開業続く。「旅客税の値上げで増えた予算は国内観光にも充てるべき」と星野代表

2026年10月21日 実施
「星野リゾート オンラインプレス発表会 2026秋」発表会映像より。2026年6月25日に開業した「星のや奈良監獄」について語る株式会社星野リゾート 代表 星野佳路氏(右)と星のや奈良監獄 総支配人 掛川暢矢氏(左)

 星野リゾートは「星野リゾート オンラインプレス発表会 2026秋」を開催し、2027年にかけて開業する新規施設の紹介や、現在取り組んでいる施策についてなどのプレゼンを行なった。代表の星野佳路氏も登壇し、開業したばかりの奈良監獄ミュージアムの魅力について改めて語るとともに、独自の宿泊予約システム「FleBOL(フレボル)」について説明したほか、2027年に向けての観光業界動向についても語った。

 発表会冒頭では、10月15日に開業したばかりの「界 蔵王」と生中継をつなぎ、火口湖「御釜」をモチーフにしたルーフトップテラスから絶景映像が届けられた。

開業から1週間の「界 蔵王」ルーフトップテラスから生中継

 2027年の新規開業としては、福井県へ初進出し、リゾートホテルブランド・リゾナーレとして「リゾナーレ福井」が2027年9月10日に開業する。「かつやま恐竜の森」にあり、新種恐竜恐竜化石が眠る地に「恐竜の森のデザイナーズホテル」が誕生。デザインアーキテクトは、「トマム ザ・タワー by 星野リゾート」も手掛けたクライン・ダイサム・アーキテクツ(Klein Dytham architecture)。

「リゾナーレ福井」が2027年9月10日に開業
森を独占した360度のビュー
最上階にパノラマ・ウェルネスフロア

 また、佐賀県にも初進出、温泉旅館ブランド「界」として「界 嬉野」2027年夏開業を予定する。中心にはスパトリートメント施設「美肌小舎(びはだごや)」を併設。美肌の湯に特化した温泉旅館となる。

「界 嬉野」2027年夏開業予定
28室の全室に坪庭のある露天風呂付き
部屋の内装例。モダンな和室だ

 7月に奈良県の飛鳥時代を中心とした遺跡群「飛鳥・藤原の宮都」の世界文化遺産登録が決定したばかりだが、その地に2027年7月22日、「星のや飛鳥」が開業する。

 コンセプトは「気に満ちた丘の辺」で、庭に水田や畑、散策路を設け、日本の原風景を堪能することができる。明日香法にならった客室は、全室瓦屋根の平屋作り、70~350m2の4タイプからなる広い客室は、35室すべてがスイートルームになる。「星のや」は「その瞬間の特等席へ」をコンセプトに非日常空間を届けるブランド。

「星のや飛鳥」が2027年7月22日に開業
全室日本瓦の屋根で平屋作り
35室すべてがスイートルーム
70から350m2の広い客室。明日香の巨石デザインを取り入れたソファ
石室風呂

「旅客税の値上げで増えた予算1800億円の一部は国内観光にも充てるべき」と星野代表

 発表会では、星野リゾート 代表の星野佳路氏が、まず2026年6月25日に開業したばかりの「星のや奈良監獄」と、敷地内に併設する「奈良監獄ミュージアム by 星野リゾート」の魅力について改めて語った。

株式会社星野リゾート代表 星野佳路氏

 奈良市内中心部の広大な敷地内に、過去に監獄として作られたことと、当時の明治政府が世界に日本の国力を誇示するため圧倒的に素晴らしい建物を建築したこと、この2つの偶然が重なったことで、「星のや」が大切にしている要素の圧倒的非日常性が備わっていることが、奈良監獄を選んだ一番大きな理由だという。

 全体が重要文化財の建物に宿泊できるというのは、世界的に見てもめずらしい。ナショナルジオグラフィックが、2026年に世界で行くべき20のホテルの1つに「星のや奈良監獄」を選出したことにも触れ、世界中で今注目されている施設だと紹介した。

奈良監獄には圧倒的非日常性が備わっている
「星のや奈良監獄」は、ナショナルジオグラフィックの2026年に世界で行くべき20のホテルに選出された

 同時に登壇した、星のや奈良監獄 総支配人の掛川暢矢氏は、「奈良監獄ミュージアム by 星野リゾートも、4月27日に『自由って何だろう』をテーマに開館しましたが、星のや奈良監獄と同じ敷地のなかにありながら、まったく異なる世界があるというのが特徴です。星のや奈良監獄には唯一無二の明治期の建築を使ったラグジュアリー空間があります」という。これに星野代表も「ヨーロッパで古城巡りをしたときの感覚に似ている。すごく似た気持ちになれるというのが、この施設の特徴だと思っている。明治期の建築をラグジュアリーホテルとして、生まれ変わらせたことはすごく重要です」と応えていた。

星のや奈良監獄 総支配人 掛川暢矢氏
星のや奈良監獄

 続いて業界動向を紹介した。インバウンド数増加については、コロナ禍からの回復が反映されているため、長期で見ると鈍化傾向にあるとしていた。とはいえ、年間4300万人という数は、ほぼ空路でしか来ない国としては、かなり大きな数字で、日本は世界トップ5に入ってきているという。この鈍化傾向は、わるいことではなく、4300万人は本来の実力以上の数字と見ていて、実力と実態を合わせていく、そのギャップを埋めていく努力ができるよいチャンスと捉えているとしていた。

 また、旅客税の値上げ分が、今後日本の観光関係のプロモーション予算に流入してくることにも言及。国が使える2027年の観光関連予算が、一気に1800億円に膨らみ、使い道を議論している状況とのこと。

 ここで星野代表が懸念するのは税の使い道で、現状では法律でインバウンドとアウトバウンドのプロモーションまたはその整備に限られていること。少し国内とのバランスをとった方がいいのではないかと意見を述べていた。観光庁の一般財源も大半がインバウンド関係に使われる予定になっていて、国内に回すべきと考えているとしていた。日本人による日本国内観光は30兆円規模になる予定で、大半の需要は、日本人による日本国内のデスティネーションへの旅であるのが現状と語った。

インバウンド数増加は長期で見ると踊り場
インバウンドはやや鈍化傾向にある
観光庁の税収が大幅に上がる
現状では法律で使い道が縛られている
2027年の観光税の使い道
市場規模からして国内比率が高い

 また、独自の宿泊予約システム「FleBOL(フレボル)」についても解説があった。これは、フレキシブル・ブッキング・オンラインから取った名称で、今日まで10年間、かなり力を入れて導入を進めてきたという。

FleBOLは今年一気に導入が広がった

 星野代表は、「旅前体験の充実が、これからの旅行の質を決めるうえでとても重要だと考えています。体験したいものを、事前にスマートフォンでお客さまが自由に選択でき、自由に変更でき、自由にキャンセルでき、自由に延期もできる。 こういった世界を、私たちは目指しています。このシステムは外注ではなく、60名ほどのエンジニアが自社内に在籍し開発していますので、昨今心配されているセキュリティも堅牢になっていると信じています」と語っていた。

 すでに2025年から導入が始まっていて、現時点で客室タイプ変更、宿泊プラン変更、日程変更、人数変更がスマートフォンから簡単にできるようになっている。今は食事の選択を可能にするよう取りかかっているとのこと。連泊時に 同じレストランのメニューが続くときに、2泊目だけ食事を外したり、違うレストランを予約するということができるようになる。これを今年から来年の2027年にかけて導入を進めていく。2027年には全施設で利用可能にするという。

客室タイプ変更、宿泊プラン変更、日程変更、人数変更に加え、食の選択も可能に
来年には全施設で利用可能に。FleBOLの詳細はQRコードから

 さらにこのFleBOLの便利さを、一般向けに分かりやすく解説するマンガの紹介もあった。

FleBOLの便利さを、分かりやすく解説するマンガ「さよなら!? キャンセル料」

「旅行業界として、まだ実現できていないことが多いのです。予約変更には電話をしなきゃいけないとか、一旦キャンセルして取り直さなきゃならないということが起こっています。長年取り組んできた、この独自のオンライン予約システムのFleBOLが、これからの旅前体験を、大きく変えていくと思っています」と期待感を込めた。

 最後には、星野代表自身としては発表のメイントピックという意気込みの、スキーリゾート関連の話題にも触れた。星野代表は年間80日間、スキーを滑ることを目標にしているとのことで、今年も達成。すでに7月から新シーズンが始まったそうだ。ニュージーランドでのヘリスキーを楽しむ様子を紹介していた。

年間80日間スキー滑走達成。7~8月にニュージーランドでスキーを楽しむ様子を紹介

「トマム ザ・タワー by 星野リゾート」には、大きなタワーが4棟あるが、そのなかの2つの前にアドベンチャーベースが登場する。そのお披露目を12月1日に、星野代表も参加して開催する。「これまでは、レンタルとロッカーからリフトへ乗るまでのアクセスが、世界中を巡って滑っている人から見ると、広さや機能、建物から出たあとのリフトとの高低差にフラストレーションがありました。これを大幅に改善する素晴らしい施設になります」とスキーヤー目線で改善を語った。

トマム ザ・タワー by 星野リゾートにアクセスを快適にするアドベンチャーベースが登場

 また「Ikon Pass」と呼ばれるアメリカ発の世界共通シーズンリフト券に、「星野リゾート ネコマ マウンテン」「Mt.T by 星野リゾート(旧谷川岳天神平)」が加わったことを報告。蔵王温泉スキー場もIkon Passに加わり、ここはリフトから徒歩40秒の場所に「界 蔵王」があり、クルマで約2時間で移動できる星野リゾート ネコマ マウンテンのある磐梯エリアとも連携し、回遊してスキーを楽しんでもらうことを目指すとしていた。

世界共通シーズンリフト券のIkon Passに星野リゾート ネコマ マウンテンとMt.T by 星野リゾートが加わった
磐梯と蔵王は、思っているよりも近い
今後も、ぞくそくと開業準備中!!