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国内初の大型EVバスも! バステクフォーラムで最新バスや安全技術を見てきた
2025年5月27日 00:00
- 2025年5月23日 開催
最新のバス車両や運行管理システム・安全システムなど、バス業界の最新技術・トレンドが集結する「2025 バステクフォーラム」が、5月23日に兵庫県神戸市で開催された。
会場となった「神戸総合運動公園」(P18駐車場・特設会場)で、現在の業界トレンドである「EVバス」「運行システムのDX化」「安全確保」などに関する展示・ブースを見てきたので紹介しよう。
2025年バステクの目玉は「国内初の大型EVバス」
市場が成熟の時代に入ってきたEVバス(電気バス)は、EVモーターズ・ジャパン、BYD、いすゞ自動車など各社の最新車種を展示していた。
EVモーターズ・ジャパン
V8-Coach Bus(全長12m、定員51名)
全長12mという大型のEV観光バスは国内初。大容量の貫通式トランクルームがあり、「航続距離350km」(満載・時速70~80kmでも250km程度)、「定員51名、最高速度100km」など、通常の大型バスと遜色ない。
ただ、機器のスペースの関係でトイレ増設などができず、運転に関しても少し癖があるなど、まだ課題があるという。
BYD(ビーワイディージャパン)
2005年から日本で商用車を販売しているBYD(比亜迪汽車工業)は、独自の「ブレードバッテリー」を搭載。安定した航続距離を実現している。今回のバステクでは、普及版EVバス「K8」、中型EV「J7」などを展示した。
乗って楽しい! おもしろバス&関連部品
会場では、バスファンが楽しめる希少な車両や普段目にできない部品などの展示も行なっていた。
オノエン観光バス「パーティーバス」
アメリカ・フレイトライナーのボンネットトラックシャーシ(ディーゼルエンジン、リジッド併用エアサス)をベースに、アメリカで架装したパーティバス。
車内では色とりどりのLEDが点滅、27名乗りの内部はきらびやかなパーティフロアになっている。貸し切りなどで使用されているという。
中京車体工業「インバウンド向け特別仕様の小型バス」
創業から79年の歴史を持つ中京車体工業の強みは「二次架装」。需要に応じて、さまざまなバスを作り変えているという。
今回は、古い日野リエッセ2の車内を大幅リニューアル。幅広い独立シートにUSB電源搭載、後部に荷室を配置した「インバウンド向け特別仕様の小型バス」を出品。貸し切りバス会社がもてあましがちな、仕様の古いローザ・メルファのリニューアルもできるという。
芸陽バス「みどり坂タウンバス」
2024年に廃止になった鉄道「スカイレールみどり坂線」の後継を担う「みどり坂タウンバス」は、263‰(パーミル、約15度)という極端な急こう配を上っていた鉄道に変わり、団地内をこまめに大回りして運行している。地元紙(中国新聞)によると、バス転換後も乗客の減少はなく、利用状況は好調のようだ。
神戸市交通局「日産スペースランナーRA」
今回のバステク会場である神戸の市営バス・神戸市交通局は、2006年式のノンステップ車「日産スペースランナーRA」を展示した。市バスとしては古参車両であり、いまはなき西日本車体工業(西工)としては末期の車体だ。
このほか、オージはバス降車ボタンや各種LED製品、クラリオンライフサイクルソリューションズは路線バス向けLED表示機、ジェイ・バスは既存バスのトランクケース置き場換装の提案(マルチパーパス荷物棚)などを行なっていた。
気になる「バスの安全」各社の装置をチェック!
ナブテスコサービス「EDSS(ドライバー異常時対応システム)」
近年は、バス運転手の健康やトラブルによる事故も多発している。各社とも既存の中古バスに安全装置を乗せる必要に駆られており、150万円ほどで搭載できるナブテスコサービスのEDSS(ドライバー異常時対応システム)を後付けする会社も多い。
ただ最近は、新車にEDSSが搭載されている場合も多く、新設するのは新車購入をためらう地方のメーカーが多いという。いずれは全国で当たり前のように「バスの安心を守る」機器として見かけるようになるだろう。
東海理化/川崎鶴見臨港バス「バス乗客安全システム搭載車」
路線バスの走行中に、なかなか座ってくれなかったり、「走行中は席を立たないでください」とアナウンスしても従ってもらえなかったり、そうした「走行中の安全対策」として、東海理化・川崎鶴見臨港バスでは、乗客を空いている席に誘導するアナウンスや着席を促す安全支援システムを開発した。現在は川崎鶴見臨港バス・西東京バスの一部路線で導入しているという。
これからバスの自動運転が増えていくなか、こういったシステムは必要になってくる。ちょっとかわいい人形が着席を呼び掛けてくれるため、「冷たい自動音声よりはお願いが伝わるのではないか」という意図があるとのこと。なお、将来的には東海理化からパッケージ商品として販売を目指しているそうだ。
バス会社もDX化でラクに! 事業者向けシステム
バステクは車体だけでなく、バス会社向けの運行管理システムなども展示していた。
高速バスの予約システム「発車オーライネット」で知られる「工房」は、貸し切りバス事業者向けの「発車オーライクラウド」を展示した。
貸し切りバスを線引き画面で表示し、配車・庸車・仮押さえなどをマウス1つで操作・管理できるという。修学旅行などで何十台ものバスを管理するバス会社なら、全社共通で見ることのできるシステムが必要となってくるだろう。
アプリなどの乗り継ぎ案内でおなじみ「ナビタイムジャパン」も、観光バス・貸し切りバスの行程表をDX化する「行程表クラウド」を展示。走行当日の行程表をQRコードで「ピッ」と受け取り、タブレットで表示して運行できるという。また、貸し切りバスに特化したルート案内・料金案内「バスカーナビ」の実演も行なっていた。
会場には、環境にやさしい「リビルドトランスミッション」やリサイクルなどの各種展示、国土交通省のフォーラムなどがあったが、とても紹介しきれない。
バス関係者もバスファンも一堂に会するバステクフォーラム、2026年の開催時には、行ってみてはいかがだろうか。

















































