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国交省、羽田空港機能強化に関する説明会の第2弾を関係各地域で実施中

飛行機の騒音を体感できるコーナーも設置

2015年12月11日~2016年1月31日 実施

 国土交通省航空局は12月11日、羽田空港の機能強化に関する説明会の“第2フェーズ”を川崎市川崎区のアトレ川崎で実施した。この説明会は7月21日~9月15日に東京都、神奈川県、埼玉県の16会場で行なわれた“第1フェーズ”の説明会で聴取した意見や質問、懸念など集約し、より具体的に機能強化の必要性や実現方策などをまとめ、経路となる住民への説明とさらなる意見のヒアリングを実施するために実施したもの。

 第2フェーズの説明会は、12月11日のアトレ川崎を皮切りに、2016年1月31日までの期間、週末を中心に羽田空港周辺の東京都大田区や神奈川県川崎市、飛行経路となる東京都23区西部や埼玉県など18会場で実施される。

展示パネルは図や表を用い、見やすく、分かりやすく、まとめられている
羽田空港の現在とこれからについて、ムービーにまとめ視覚的に説明する
騒音の聞こえ方を、映像と忠実に再現された音で体験できる

 2015年現在、羽田空港の国際線は年間約6万回の発着があるが、現状では発着回数が限界に達しており、首都圏の国際競争力の強化、年間2000万人を目標にしているインバウンドの増加、首都圏と国内各地を結ぶ航空路線の拡充による地方創生、さらに2020年に実施される東京オリンピック・パラリンピック実施を円滑に行なうためには、さらなる国際線発着回数の増加が必要になる。

 そこで国際線の発着が多くなる15時から19時の昼間の時間帯を中心に、空港周辺の飛行経路を見直し、発着回数を現在の1.7倍にあたる9.9万回まで増加させることを検討している。

 この羽田空港を「機能強化」するための新たに提案では、年間約4割を占める南風運用時の着陸経路として、さいたま市浦和区、和光市、東京都練馬区、新宿区、渋谷区、目黒区、港区、大田区上空。離陸経路となる川崎市川崎区南部上空、北風運用時に離陸経路となる東京都江東区、江戸川区の荒川上空が、それぞれ飛行経路となる。国土交通省では新滑走路の建設などさまざまな方策を検討したが、現在フル稼働状態の羽田空港においては着陸、離陸時の飛行経路変更以外に機能強化の有効な方法がないとしている。

 第1フェーズの説明会には約6000名が来場。約5900件の意見が集まった。羽田空港が便利になることに対しおおむね好意的な意見ではあったが、一方で騒音や安全性、航空機の運用方法などを懸念する意見も多く寄せられた。第2フェーズでは、国土交通省として今後の検討の進め方なども含め、それらをより詳しくまとめて、飛行経路となる住民に対しより理解を深めてもらい、さらなる意見をヒアリングする。

 12月11日にアトレ川崎で行なわれたた説明会では、パネルと映像を展示し、国土交通省の担当者が訪れた住民1人1人に丁寧に説明を行なった。また映像展示では第1フェーズに引き続き、各地点で聞こえる騒音を説明する映像を上映。今回はヘッドフォンを使って、実際にそれぞれの地点で聞こえる騒音の音圧を忠実に再現し、より具体的に体感できるように工夫していた。

アトレ川崎7階で行なわれた説明会の会場の様子
説明会で配布されたパンフレット、これまでの経過をまとめたニュースレターとアンケート用紙。アンケートは後日郵送することもできる
アンケートの回収箱と配付資料
来場者にはオリジナルの缶バッチや羽田空港周辺の生き物が描かれた飛行機のペーパークラフトも配布した

 国土交通省航空局の星明彦 東京国際空港環境企画調整室長は「(第1フェーズでは)羽田空港が便利になることはよいことであろうという声をたくさんいただいた。一方で提案の背景をもっと知りたい、安全や環境面についてより詳しい情報を提供してほしいという声をたくさんいただいた。第2回の説明会では、まずは正確な情報提供を行ない不安の払拭に努めたい」とし、「これからの社会のために非常に重要な事柄。できるだけ多くの方々に知っていただきたい。地域の方々と丁寧なコミュニケーションを継続し、実現に向けてしっかりと取り組みたい」と、説明会実施後、2016年夏までに住民の声と環境影響を踏まえた方策をまとめたいとしている。

 説明会に訪れた周辺住民は、「羽田空港が便利になることは歓迎だが、音の大きさよりも頻度が気になる」と熱心に職員の説明を聞いていた。説明会はとてもオープンな雰囲気で、誰でも見学することができる。飛行経路の近くに住んでいる人はもちろんのこと、本件に興味のある人は説明会に足を運んでみてはいかがだろうか。

説明会に訪れた周辺住民。国土交通省職員が丁寧に説明、質問にこたえていた
騒音の聞こえ方を体験する来場者。音の大きさよりも頻度を気にしていた

説明会(第2フェーズ)の実施会場

羽田空港周辺

12月11~13日:アトレ川崎(川崎市川崎区駅前本町)
12月19~20日:川崎市殿町小学校体育館(川崎市川崎区殿町)
12月22日:川崎区役所大師支所(川崎市川崎区東門前)
12月12~14日:大田区役所本庁舎(大田区蒲田)
12月18~19日:羽田文化センター(大田区羽田)

東京都23区東部

12月18~20日:南砂区民館(江東区南砂)
12月22~23日:タワーホール船堀(江戸川区船堀)

東京都23区西部

1月11~13日:アトレ大井町(品川区大井)
1月22~23日:大崎ニュー・シティ(品川区大崎)
1月11~13日:中野区産業振興センター(中野区中野)
1月15~17日:渋谷ヒカリエ(渋谷区渋谷)
1月16~17日:目黒区総合庁舎(目黒区上目黒)
1月17~19日:ココネリ(練馬区練馬)
1月24~26日:品川シーズンテラス(港区港南)
1月28~30日:高輪区民センター(港区高輪)
1月29~31日:新宿駅西口広場(新宿区西新宿)

埼玉県

1月21~23日:和光市中央公民館(和光市中央)
1月29~31日:サウスピア(さいたま市南区別所)

(鈴木崇芳)