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NEXCO東日本、圏央道「境古河IC~つくば中央IC」間は軟弱地盤問題で開通遅延

GPSを利用した「除雪オペレーターアシストシステム」も本格導入。2015年9月度定例会見より

2015年10月28日実施

 NEXCO東日本(東日本高速道路)は10月28日、2015年度6回目となる定例記者会見を開催。圏央道「桶川北本IC(インターチェンジ)~白岡菖蒲IC」に関してと、2015年度の雪氷対策について説明が行なわれた。

東日本高速道路株式会社 代表取締役社長 廣瀨博氏

 質疑応答では、圏央道の未開通区間のうち「境古河IC~つくば中央IC」間の開通に関して質問があったのに対し、NEXCO東日本 代表取締役社長 廣瀨博氏は「軟弱地盤による対策が急遽必要になったため、専門家の意見を聴取している段階です。この結果を元にスケジュールを再設定するため、現在のところ明確な開通日程は未定となっており、当初の予定よりは遅延する見通しとなっています」と述べた。

 さらに、11月19日まで実施されている圏央道 桶川北本ICでのETCバーを開放する実験に関して廣瀨氏は「今のところ大きな問題は出ていません」と引き続き実験を継続し、データを蓄積する方針だと語った。

 記者会見の冒頭、廣瀨氏より圏央道 桶川北本IC~白岡菖蒲ICの開通と菖蒲PAについて説明が行なわれた。「圏央道 桶川北本IC~白岡菖蒲ICの開通と菖蒲PA(パーキングエリア)についてご報告申し上げます。圏央道の桶川北本IC~白岡菖蒲ICがいよいよ10月31日の15時に開通いたします。圏央道は、関越道、東北道、常磐道、東関道などの(首都圏から)放射方向の道路を環状で結ぶネットワークを形成いたします。これにより、都心を通過しないルートの整備により、都心の渋滞緩和が期待されています。現在までの圏央道の開通延長は約230kmです。今回開通する10.8kmを加えますと、全体約300kmのうち整備率は約8割に達します。特に今回は埼玉県内の11市2町の通過に関しては、全通となります。今回の開通では、日本の経済活動の根幹を担う大動脈である東名、中央道、関越道、東北道が直結することになります。混雑する都心を通過せずに、関西や中部地方から東北地方への輸送が可能になる新たなネットワークが形成されます。また、圏央道沿線への物流施設や工場誘致が活発化し、地域経済の好循環に寄与いたします。さらに、埼玉県 東北道方面と湘南鎌倉方面がより身近になり、相互の観光交流が一層活発になると期待されます。今後も首都圏のミッシングリンクになっている圏央道、東京外環道の千葉県内の区間および東京都内の区間、またその他の路線についても地元のご協力を得ながら関係機関と密接に連携を図りつつ事業を推進いたします。

 圏央道 桶川北本IC~白岡菖蒲ICの開通に伴い、菖蒲PAもオープンいたします。内回り外回りのどちらからでもご利用頂ける、集約一体型のPAとなります。圏央道では初となる、ガソリンスタンドも併設いたします。圏央道が繋ぐ各高速道路沿線の名産品や特産品を幅広く揃える予定です」

 続いて、9月の営業概要について、取締役兼常務執行役員 管理事業本部長 山内泰次氏と取締役兼常務執行役員 事業開発本部長 萩原隆一氏より以下のように解説があった。

東日本高速道路株式会社 取締役兼常務執行役員 管理事業本部長 山内泰次氏

 9月の通行台数、料金収入の速報値は、通行台数が1日平均約288万台(対前年比1.9%増)で、料金収入が690億6000万円(同2.8%増)となった。通行台数の要因として、山内泰氏は「圏央道の神崎IC~大栄JCT間の新規開通や常磐道の全線開通の影響等によって増加したほか、9月はシルバーウィークの影響でしたものと考えております。料金収入については、通行台数の増加でその分、料金収入も増加しています」と解説した。

東日本高速道路株式会社 取締役兼常務執行役員 事業開発本部長 萩原隆一氏

 SA/PAの売上高は約125億7000万円(対前年比3.6%増)。分野別では、飲食・商品販売が約92億7000万円で対前年比7.4%の大幅増、ガソリンスタンド部門は約33億円で同5.8%の減少となっている。この要因として、萩原隆一氏は「飲食・商品販売部門では、休日が2015年比べて1日多かったことと、シルバーウィークの売り上げが好調だったのが要因と考えております。ガソリンスタンド部門については、前年に比べまして、シルバーウィークの影響もあり、給油数量そのものは増加しておりますが、各油種ともリットル当たり30円ほど単価が低下しているため、前年売上高を下まったものと考えております」と解説した。

 続いて山内氏から2015年度の雪氷対策について解説された。「例年、一番早く初雪を観測する北海道支社管内の高速道路で10月13日の夜間にかけて最大3cmの初雪を観測し、除雪などの雪氷対策を実施いたしました。これは2014年度より2週間ほど早い実施となりました。NEXCO東日本の高速道路は、雪氷対策が必要な区間が2200kmにもおよびます。それだけに、冬期の高速道路の雪氷対策作業は大変重要なものです。この時期は、除雪作業の関係者が各地で集い交通の安全と作業安全を祈願して『雪氷出動式』を行なっています。冬期シーズンの最初である今の時期は、冬タイヤの装着やタイヤチェーンの携行など冬装備を行なうのが遅れてしまい、思わぬ降雪でスリップ事故などが発生する場合があります。ぜひ、ご利用の皆様においては、早めの冬装備の準備をお願いいたします。また、NEXCO東日本では『雪道キャンペーン』を展開いたします。さらに、2014年に発生した首都圏の大雪による長時間の通行止めの経験をふまえ、『首都圏大雪対策プロジェクト』を策定し、2014年度から除雪体制の強化や情報提供の新たな取り組みを実施しています」

 また、同氏より雪氷対策に関する新技術の採用も紹介された。「雪氷対策作業の安全性の向上と、除雪効率の向上はNEXCO東日本にとって非常に重要な課題です。そこで様々な技術開発を進めております。その中の1つとして、2013年度から『除雪オペレーターアシストシステム』の開発に取り組んでいます。今まで一部の地域では導入しましたが、2015年度から全社的に採用いたします。除雪オペレーターアシストシステムは、NEXCO東日本が独自に開発したもので、道路の構造に合わせて適切な除雪作業するため、除雪車に車載端末を搭載し、音声ガイダンスによって注意喚起を行なうシステムです。これは、既存のGPS車両位置システムを活用しています。これにより、例えば、除雪する作業員が担当範囲以外の場所に応援で出動するときに、路面の状況を熟知していなくても円滑な作業が可能になります。また、作業速度の向上も確認できました。このように実証実験で有効性が確認されたほか、オペレーターからの評価も高いため、全社的に展開することになりました。NEXCO東日本は今後ともこのような技術開発に積極的に取り組んで行きたいと思います」

 同社の資料によると、応援除雪時の作業速度が5割し除雪回数を増加できるほか、オペレーターへの作業負担が軽減され、個人能力に依存しない体制の構築が可能になるという。同システムは、2015年度中に既存の約390機に加え、約530機を投入し、約920機の体制で運用するとのこと。

除雪オペレーターアシストシステムの概要

(編集部:柴田 進)