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エア タヒチ ヌイ、成田発直行便を3年7か月ぶりに運航再開。南国リゾートのゆったり感とフレンチ機内食を堪能できるプレエコ&ビジネスクラスに乗ってみた!
2023年11月14日 00:00
- 2023年10月下旬 取材
エア タヒチ ヌイは10月30日、新型コロナなどの影響で運休していた日本路線(成田~タヒチ線)を約3年7か月ぶりに運航再開した。
タヒチはフランス領ポリネシアに属する島で、首都パペーテのあるタヒチ島や水上バンガローが有名なボラボラ島、モーレア島など、南太平洋に浮かぶ大小118の島々からなる。タヒチ島・ファアア国際空港までこの直行便を利用して約11時間。
2022年5月にタヒチの入国規制が緩和されたあとも、同路線はタヒチ国内外の要因から2度にわたり再開が延期され、今回ようやく週2往復が復活した。
運航再開にあたり、10月30日にはタヒチ観光局 CEOのジャン-マーク・モスラン氏ら政府関係者がタヒチ発(TN88便)の初便で来日し、日本の旅行会社とメディアに向けて説明会を開催。「タヒチにとって日本は非常に重要なマーケットである」と、今年25周年を迎えるエア タヒチ ヌイをアピールした。
また日本発(TN87便)の初便となる10月31日は、搭乗ゲート前で記念品の配布や記念撮影サービスを行ない、到着後はタヒチの空港で地元民による生演奏やタヒチアンダンスも披露するなど、日本からの渡航者を盛大に歓迎した。
運航機材はボーイング 787-9型機。機内の至るところに南国ムードを感じられる工夫も!
成田~タヒチ線の使用機材はボーイング 787-9型機で、通称「タヒチアン・ドリームライナー」と呼ばれる。尾翼に描かれているのはタヒチを象徴する花「ティアレ」で、エア タヒチ ヌイのロゴマーク。
搭乗する際にはCAが乗客1人1人にティアレの生花を手渡ししてくれる。約11時間の長時間フライトとなるが、甘くて爽やかな香りを放つウェルカムフラワーがちょっとした癒やしを与えるという心配り。
席はビジネスクラス「ポエラヴァ・ビジネス」(30席)、プレミアムエコノミークラス「モアナ・プレミアム」(32席)、エコノミークラス「モアナ・エコノミー」(232席)の3クラスからなり、総座席数294席を擁する。機内は美しいラグーンをイメージし、エメラルドグリーンやブルーを基調としている。
またキャビン出入口には海、山、ヤシの木といった大自然のアート、座席後方の壁にはフランス出身のポール・ゴーギャンがタヒチに訪れた際に残した名画「タヒチの女(浜辺にて)」のパネルを配するなど、搭乗した瞬間から南国ムードを感じられる工夫も施されている。
今回記者はタヒチ観光局が主催する現地プレスツアーへ参加するにあたり、往路でプレミアムエコノミークラス、復路でビジネスクラスを利用した(現地ツアーの模様は別途記事で紹介)。
なおエア タヒチ ヌイでは往復便ともに、JALもしくは大韓航空とのコードシェアを行なっている。
エア タヒチ ヌイの「ビジネスクラス」と「プレミアムエコノミークラス」に乗ってみた!
まずタヒチへ向かう往路のプレミアムエコノミークラス「モアナ・プレミアム」から。キャビンは機体中央にあり、1列につき7席(2-3-2)が5列並ぶ。各座席に置かれたクッションが南国の花やフルーツのように色鮮やか。
座席は幅約52cm、シートピッチ約96.5cm(エコノミーは79cm)、リクライニング約20cm(エコノミーは15cm)で、フットレストやレッグレストも備わる。エコノミーと比べてややゆったりとした座り心地で、足をのばしたり組んだりしても窮屈にならず、ラクな体勢に変えやすい。
各座席には13インチのパーソナルモニターが備わり、タヒチの観光情報を紹介する映像や最新映画、音楽、ゲームなどのコンテンツを楽しめる。ユニバーサルAC電源やUSBが1つずつ付いているのでスマホやカメラも充電可能。
身のまわりの小物やドリンクをセットできるポケットが前方に装備され、肘掛けから引き出すタイプのテーブルはPC作業するのにも足りる広さだ。
なお機内Wi-Fiは有料制で、ちょっとしたSNSテキストメッセージを送れる20MB($8)から無制限($68)まで5段階のパッケージがある。接続画面から選択してクレジット決済することで利用できる。
アメニティは、オリジナルのポーチにソックス、アイマスク、耳栓、歯ブラシセット、紙おしぼり、イヤフォンが入っている。また、毛布とペットボトルの水も各座席にあらかじめ用意されている。
機内食は2回。離陸からおよそ2時間後に配膳が始まり、主食はチキンとライス、ビーフとライス、パスタの3種類から選択する。それぞれに温野菜やサラダ、デザート、味噌汁付き。TN87便は成田を20時00分に出発するので、1回目は遅めの夕食ということになる。
2回目の食事は、到着の約2時間前に軽食が提供される。主食はエッグベネディクトかワッフル。こちらもそれぞれフルーツなどが付く。
機内では往復の各食事でパンが提供されるのだが、そこはさすがフランス領とあって一般的な機内食の丸パンとは一線を画す美味しさ。バスケットに盛られたクロワッサンやバケット、クルミパンなど数種類から好きなものを選べ、どれも生地は焼きたてのように温かく、ふわふわを楽しめた。
また機内では水、フルーツジュース、お茶などのソフトドリンクに、ビールやワインなどのアルコールから好きなドリンクをオーダーできる。小腹が空いた、あるいは食事が足りないという人には、カップラーメンやスナックなども用意してくれる。
続いては、日本へ帰国する復路で利用したビジネスクラス「モアナ・ビジネス」を紹介。ビジネスクラスは機体前方にあり、1列につき7席(2-3-2)が5列。座席は幅約53cm、シートピッチは約152cm、そして180度のフルフラットシートが採用されている。前の座席との間隔に十分な広さがあり、手元のパネルでリクライニングやレッグレストを自由に操作できる。
身長165cmの記者にはシートベルトを装着した離陸時の状態でも、前方にかなりゆとりを感じられる広さで、シートベルトを外してフルフラットにすればほぼベッドで寝ているような開放感。この日、隣に座っていた背が高くて体格の大きい欧米人も、しっかりと足を伸ばしたり、寝返りを打ったりと、寛いでいるように見受けられた。
パーソナルモニターはプレエコより大きい16インチで、リモコン操作とタッチスクリーンに対応。またモニター下や足元、座席後方には身のまわりの小物を置けるスペースがあり、ドリンクやおしぼりを置けるサイドテーブルが備わる。
そのほかAC電源とUSBも各座席に完備されている。肘掛けから引き出すテーブルは2段階に開閉でき、前後に動かせるので、リクライニング状態でも使いやすい。
アメニティキットはファスナー付きの高級感あるポーチに、ソックス、アイマスク、耳栓、ヘアブラシ、歯みがきセット、マウスウォッシュ、めがね拭き、ボールペン、そしてリップクリーム、ハンドクリーム、フェイスクリーム、リフレッシングタオルの基礎化粧品類が入っている。
これはエア タヒチ ヌイのオリジナル製品で、乾燥しがちな機内にはありがたく、各キャビンのトイレにもフェイスクリームやボディミストが常備されている。
そのほかビジネスクラスの各座席には、スリッパ、ピロー、毛布、ヘッドフォン、ペットボトルの水、消毒スプレーなどが用意されていた。
復路の機内食も同じく2回。ビジネスクラスではまず、ウェルカムドリンクとしてワインが供され、離陸までの時間を寛げる。タヒチを08時35分に出発してから2時間ほどで1回目の食事。内容はヨーグルト、前菜、メインメニュー、季節のフルーツ、パンのちょっと豪華なブランチとなる。
ブランチの前菜は燻製鶏のリエットやチーズ盛り合わせ、セロリサラダ、七面鳥の胸肉など。メインは洋食(ベーコンやポテト、トマトが添えられたオムレツ)、もしくは和食(温野菜や大根のマリネ、ご飯が添えられたサーモンの照り焼き)から選べ、希望すれば味噌汁ももらえる。
2回目の食事は、日本到着の約2時間前にフレンチフルコースのディナーが用意される。内容は、アペタイザー、前菜、メインメニュー、チーズプレート、デザート。こちらも厳選ワインリストや温かいパンのバスケットから自由にオーダーして味わえる。
アペタイザーはおしゃれなフォアグラのマカロン、前菜にはマグロのタルタルにパパイヤサラダ、メインディッシュは洋食(タヒチ産エビと人参のヴルーテソース/ラム肉のフィレ)もしくはベジタリアン向けの和食(厚揚げ豆腐のソテー)から選べ、デザートにはバナナとピスタチオのタルトと続く。
往復に乗ってみて特に驚いたのは、どれもタヒチの食材や郷土色、フランス由来の食文化を盛り込んだこだわりの料理たち。往復・搭乗クラスにかかわらず、クオリティの高い食事が楽しめた。
また2019年から導入されている新機材のタヒチアン・ドリームライナーでは、目や喉、肌の乾燥を防ぐため、室内の湿度を高めに設定。さらに最新の空気清浄システムや気圧調整技術、LED照明を採用することで、身体に負担が少なく安定感のあるフライトを実現している。
そして、困ったことはありませんか? お水はいりますか? 寒くないですか?と、積極的に声を掛けてくれる丁寧なサービスも魅力だ。小さい子供連れの家族や英語・フランス語を話せない人でも安心して過ごせる。
機内の窓から望む美しいラグーンと山の絶景! ただの移動手段じゃない、遊覧飛行を楽しんで
行きの機内、日本人CAさんが「着陸時間が近付くと、タヒチ島のあるソシエテ諸島が見えてきますよ。日本路線の航路は運がよく、エメラルドグリーンのラグーンもはっきりと見えることが多いんです」と教えてくれた。
たしかに高度が下がるにつれて、海の色がみるみる変化していくのが分かるし、大きな機内の窓からボラボラ島の最高峰のオテマヌ山やギザギザとしたモーレア島の絶景を楽しむことができた。
まわりの乗客もさっそくカメラを向けて撮影を楽しんでいる様子。単にタヒチへ向かう移動手段ではなく、遊覧飛行ツアー気分を味わえるのもポイントと言える。
タヒチと日本の時差は19時間。20時00分に日本を発ってタヒチに到着するのは11時50分なので、そのころ日本は翌6時50分。機内でしっかり休めば、ちょっと早起きしたくらいの感覚で、朝から大自然リゾートを満喫できるだろう。
帰国日、搭乗便のチェックイン後にファアア国際空港のなかを散策してみた。小ぢんまりとはしているが解放感と清潔感があって、無料Wi-Fi、電源ポート付きのデスク、キッズスペース、免税ショップなどが設けられている。
空港ラウンジは2階に。ここでは広々とした空間にテーブル席やソファ席が用意され、大きな窓からは飛行機がエプロンに駐機する景色を望む。
ラウンジ内にはドリンクや軽食が豊富に並び、雑誌に新聞、フリーPC、専用のお手洗い、喫煙所なども完備。ビジネスクラスの搭乗客とラウンジパスを持っている乗客が出発前の時間を過ごすことができる。
成田~タヒチの往復価格は、エコノミークラス「モアナ・エコノミー」10万4000円~、プレミアムエコノミークラス「モアナ・プレミアム」17万円~、ビジネスクラス「ポエラヴァ・ビジネス」39万円~。
なおエア タヒチ ヌイは、保有するボーイング 787-9型機の全4機をより需要の高い欧米路線へ投入する方針から、来年夏期(2024年5月8日~10月26日)に再び日本路線を運休することを発表している。
これはハワイやグアムなどのリゾート地に比べてタヒチはホテル供給数が少なく、人気の水上バンガローともなれば争奪戦となり、なかなか予約が取れないこと。また同期間にはパリ五輪が開催され、サーフィン発祥地であるタヒチがサーフィン種目の会場となることで、より欧米路線の需要が見込まれることなどが理由。
しかし冬期(2024年10月27日~3月29日)には再び週2便での運航に戻り、さらに2025年はホテルのリニューアルや新規オープンも続々控えているため、今後はより魅力を増したタヒチを楽しめるようになるとのこと。現状の運航スケジュールは以下のとおり。