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南阿蘇鉄道、全線再開記念でトロッコ列車の旅。JAL/JR九州と3社コラボの特別運行に乗ってみた!

2023年10月16日 実施

南阿蘇鉄道の全線運転再開を記念したトロッコ列車に乗ってきた

 熊本・南阿蘇鉄道の全線運転再開を記念して、JALとJR九州との共同企画として「特別トロッコ列車で南阿蘇・高森を巡る旅 2日間」が実施された。今回、このツアーの見どころの一つである「JAL・JR九州・南阿蘇鉄道3社の乗務員による南阿蘇鉄道トロッコ列車イベント」に参加してきた。

 熊本地震による甚大な被害を受け、2016年4月16日から運休していた南阿蘇鉄道。7年の歳月を経て2023年7月15日、立野~高森間の17.7kmの全線運転再開を果たしている。今回はこれを記念した企画で、10月15日・22日、11月12日・19日の出発日を設定している。南阿蘇鉄道トロッコ列車イベントはツアー2日目の行程に含まれており、高森駅を13時40分に出発。終点の立野には14時30分に到着する。

 13時ごろバスで高森駅に到着したツアー参加者20名には、ホームに設置されたブースでオリジナルの不織布エコバッグに入った特別焼印入りの枡と阿蘇の酒 れいざんの特別ボトルが配布された。また、JR九州とJALの客室乗務員がそれぞれ南阿蘇村「白川水源」の水とJALコンソメスープを振る舞った。

2023年4月に完成した新しい高森駅の駅舎内。木をふんだんに使用してオシャレな空間になっている
2023年3月にデビューした新車両。ドア横には“Since 1986 Reconstructed in 2023”の文字が
JR九州とJALとの共同企画で実施されたツアー。南阿蘇鉄道全線運転再開の幟が爽やかな風になびいていた。記念の枡と阿蘇の酒 れいざんの特別ボトルが配布された
JR九州とJALの客室乗務員がそれぞれ南阿蘇村「白川水源」の水とJALコンソメスープをツアー参加者に振舞った

 トロッコ列車の指定席に着座して出発までいよいよ2分!というタイミングでなんと、くまモンが高森駅ホーム現われた。ツアー参加者にはサプライズになっており、トロッコ列車の車内からは歓声が上がった。大きな頭を横にして車内に乗り込んできたくまモン。そのかわいさにツアー参加者も大喜びといった様子。くまモンを乗せたままトロッコ列車は発車した。

 くまモンは車内でも愛敬を振り巻き、ツアー参加者とコミュニケーションをとっていたが、残念ながら次の駅の見晴台駅で降車。隣の列車の乗客ともハイタッチをするサービスをしてくれたうえに、手を振って見送ってくれた。

いよいよトロッコ列車が高森駅のホームに入線。スマートフォンのシャッター音が響いた。早速車掌との撮影会が始まった
もともとは物の運搬車として活躍していた列車を改造したものであり、乗り心地はイマイチだが、爽やかな風を感じつつ雄大な阿蘇の山々や外輪山の望むのは格別だ
南阿蘇鉄道、JAL、JR九州の3社が車掌アナウンスを務めた。それぞれの個性が光り、ツアー参加者を楽しませてくれた
出発の2分前になんとくまモンが高森駅のホームにサプライズ登場。トロッコ列車内のツアー参加者からは歓声が上がった
くまモンも乗せていよいよ高森駅を出発。大勢の人が見送ってくれた
見晴台駅で降車したくまモン。隣の車両の一般乗客ともハイタッチするサービスぶり。手を振って見送る姿はかわいかった

 そのあとはJR九州、JAL、南阿蘇鉄道の3社による車掌アナウンスで南阿蘇鉄道の沿線解説がツアー参加者を盛り上げた。南阿蘇鉄道の車掌アナウンスは各個人にある程度任されており、人によって特徴があるらしく、同じ景色を見ながらもまったく違った展開があるようで、乗るたびに違った雰囲気になるそうだ。ただし、南阿蘇鉄道の車掌アナウンスは基本的には早口で情報をたくさん盛り込む傾向にある。

 一方、JALの客室乗務員は日頃から、ゆっくりと丁寧に、語尾がハッキリと分かるように機内アナウンスをすることを心がけているため、アナウンスの仕方が正反対といえる。そのため、アナウンスする内容を割り振った際、JALの客室乗務員が担当するときには、読む内容を吟味して割愛できるところは割愛するなど、そうとうな苦労があったようだ。

 ところで、南阿蘇鉄道の沿線には水源が11か所存在している。そのいくつかをトロッコ列車の車内から見ることができたが、コンコンと湧き出る清い水の流れを見るだけでも十分な癒しを覚えた。

揺れるトロッコ列車で一生懸命にアナウンスをしてくれた3社の乗務員の皆さん。それに呼応してシャッターチャンスを逃さないツアー参加者
メルヘンチックな駅舎の阿蘇白川駅。フォトジェニックな光景の連続で楽しい
トロッコ列車の車窓からの水源探しだけでも十分楽しむことができる。阿蘇の自然の豊かさを実感
阿蘇の秋景色を心ゆくまで堪能。それにしてもなんて美しい光景だろう。都会の喧騒を忘れる贅沢な時間
南阿蘇鉄道のなかで唯一上下線がすれ違うことができる中松駅。高森行きの列車とすれ違った
立野駅へ向かう列車から最後に見ることができる水源を見下ろす。コンコンと湧き出ているのが車窓からも確認できた
どうやらかつては日本一長い駅名だった「南阿蘇 水の生まれる里 白水高原」駅
先ほどよりは山が近づいていた印象。ついつい撮りたくなる雄大な光景
沿線の人たちがよく手を振ってくれる。心温まる瞬間だ
昭和2年に建てられたという長陽駅の木造駅舎。趣がある。この駅舎にある穴場カフェ「久永屋」の名物資本(シフォン)ケーキをユーモラスにPR

 最後の長陽~立野間が1駅の間隔としては一番長く、所要時間12分で、しかも南阿蘇鉄道唯一のトンネルや白川を渡る橋梁からの絶景、立野ダムの建設現場を望めるなど、クライマックスとしては申し分ない盛り上がりを見せてくれる。和気藹々とした車内のアナウンスもあり、とても和やかな雰囲気が漂い、笑いの絶えないトロッコ列車の旅であった。

 長陽駅の駅舎にある穴場カフェ「久永屋」の名物資本(シフォン)ケーキを、このツアーのためだけに終点の立野駅にて出張販売が行なわれ、ツアー参加者の多くが買い求めていた。

 11月にも12日・19日の出発日が設定されているので、秋が深まった南阿蘇の魅力に触れつつ、トロッコ列車で旅の思い出を作ってみてはいかがだろうか。

白川を渡る橋梁からの美しい景色。この先の南阿蘇鉄道唯一のトンネルを超えるとさらなる絶景が待っていることがまだ知る由もない
比較的長いトンネルを抜ける。風がひんやりとしている。「通称オバケトンネルと言いまして」と車掌も盛り上げてくれる
白川の流れと新阿蘇大橋などを望む、南阿蘇鉄道の絶景ポイントではトロッコ列車が止まってくれた。息を飲むスケール感だ
ここから立野駅までの短い区間は左右にスケール感の大きな景色が続く
クライマックスは建設中の立野ダムを望む絶景ポイント。ダム好きにはたまらないアングルだろう
高森から立野までの1時間のトロッコ列車の旅は大好評。大きな拍手で幕を閉じた
木をふんだんに使用したきれいな駅舎の立野駅。JR線との接続駅でもある
先ほどの長陽駅でパフォーマンスしてくれた「久永屋」の名物資本(シフォン)ケーキを特別に立野駅で出張販売してくれていた