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西武鉄道、多摩川線で無線式列車制御(CBTC)の実証実験。自動運転や開かずの踏切対策の基盤に
2023年1月18日 15:56
- 2023年1月18日 発表
西武鉄道は1月18日、無線式列車制御(CBTC:Communications Based Train Control)システムの実証実験を2024年度初頭に西武多摩川線で行なうと発表した。2023年1月から準備工事に着手する。
CBTCは現行の信号システム(ATS)を置き換えるもので、無線によって列車ごとの位置と速度を常時補足することで、先行列車と後続列車の安全距離をより高精度に保つ仕組み。
従来型のATSは、線路を一定区間に区切って信号機などを設置することで、その区間にすでに列車が進入してるときは後続が進入できないようになっている(固定閉塞式)。一方、CBTCは既存の信号機の位置にかかわらず先行と後続の安全距離を維持して、走行速度の制御を動的に行なえるようになる(移動閉塞式)。
このため、例えば速度超過などで列車が非常停止する場合も、CBTC導入下ではその車間を安全な範囲で詰めることができるため、より効率的な運行が実現できる。ただし、西武鉄道が行なう2024年の実証実験ではATSとCBTCを併用し、ただちに入れ換えを行なうわけではない。また、実証実験の結果と鉄道各社の動向を踏まえて「次世代信号システムの方式を決定」するとしており、全線への導入は2030年代を目指すという。
同社はCBTC導入のポイントとして3点挙げており、第1にヒューマンエラーの回避がある。現行の仕組みでは速度超過などをATSが検知すると自動で非常ブレーキがかかるが、CBTCでは先行列車との距離や制限速度などをもとに自動で速度を制御するため、そもそもヒューマンエラーを起こさない運用が実現できる。
また、これまで各閉塞区間ごとに設置していた線路沿いの信号機や地上設備が不要になるため、維持コストの低減やスマートな鉄道運営が可能になるという。
3点目として、利用者目線では、将来的な自動運転の基盤になることや、いわゆる開かずの踏切対策になることが期待できる。CBTCによって列車の位置と走行速度を常時補足することで、精度の高い自動運転を実現するための要素の一端になるほか、列車ごとに踏切の鳴動タイミングをより細かく制御できるようになれば、遮断時間の最適化につながる。