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無人貸出・返却の海外旅行向けルーター「WiFiBOX」始まる。アメリカ・ハワイ・韓国は1日770円で無制限

2022年4月1日 開始

専用のルーター

 モバイルWi-Fiルーターのレンタル事業を展開しているテレコムスクエアは、4月1日9時から無人・非接触のレンタルサービス「WiFiBOX」を開始する。同社が従来から提供している「Wi-Ho!」とは異なる新サービスで、料金も半額程度になる。

 WiFiBOXは無人で貸し出し・返却受付する自動ボックスを使ったサービス。自動ボックスには卓上型とタワー型があり、各地の空港にあるテレコムスクエアのカウンターなどに設置する。

モバイルバッテリーのレンタルサービス風の卓上ボックス。12個のスロットにモバイルWi-Fiルーターが挿さっている

 利用者は事前に同社のWebサイトにサインインして予約しておくと、自動ボックスにあるQRコードを読み取ることで、自動ボックスからモバイルWi-Fiルーターを受け取ることができる。返却時は、自動ボックスの空きスロットにモバイルWi-Fiルーターを挿し込むだけでよい。

 予約やQRコード読み取りなどの操作は、すべてWebブラウザ上で行ない、専用アプリなどは使わない。予約は事前にやっておく方が確実だが、レンタル当日でも可能。

ブラウザ上でカメラが起動するので、そこでQRコードを読み取る
ブラウザ上でカメラを起動し、そこでQRコードを読み取って「受け取る」をタップすると、スロットのロックが解除され、ボックスからルーターを抜き取れるようになる

 返却されたモバイルWi-Fiルーターは、自動ボックス上で充電されるが、スタッフが一度回収し、清掃や点検したもの以外は、再度貸し出さない。各空港では出国フロアと到着フロアに自動ボックスが設置され、帰国者の需要が多い場合は到着フロアには利用済みのデバイスが集中するため、スタッフが到着フロアで利用済みデバイスを回収し、清掃・点検したあとに出国フロアの自動ボックスに補充する、というようなオペレーションとなる。

 貸し出すモバイルWi-Fiルーターは、WiFiBOX向けの専用品。ディスプレイなどはなく、電源ボタン(長押しで起動)とインジケーターLEDがいくつかあるだけのシンプルな構成だ。重量は186gで大画面スマートフォン程度の大きさだが、5000mAhのバッテリーを内蔵し、最大12時間の通信が可能。

 ルーターにはバーチャルSIMの技術が使われていて、Webの予約で指定された渡航先の設定やプラン内容に応じて、中身の回線契約が自動で書き換えられる。自動ボックスから取り出した時点ではまっさらな状態だが、渡航先で最初に起動したときにサーバーからSIM設定をダウンロードする仕組み。このため、初回起動時は使えるようになるまで数分かかることがあるが、以後はすぐに利用できる。

 回線が開通すると、本体のLEDが3つともに点灯状態になるので、あとは本体に記載されているSSIDとパスワードで接続するだけで利用できるようになる。

背面のケーブルはきれいに収納される
背面のケーブル。一番左は裏表両対応でむき出しのUSB Type-Aで、自身の充電に使う
開通するとLEDが点灯する
側面

 専用モバイルWi-Fiルーターはモバイルバッテリーとしても利用可能で、4本のケーブルを内蔵している。フルサイズのUSBケーブル(Type-A)はモバイルWi-Fiルーター自体を充電するためのもので、ほかのMicro USB、Lightning、USB Type-Cの各ケーブルでスマートフォンなどを充電できる。ただしルーター機能を優先し、スマートフォンへの急速充電はできず、バッテリ残量が少なくなると、充電出力自体しなくなる。

 充電アダプタなどは貸し出さないが、USB Type-Aの一般的な充電器をそのまま利用できる。従来のレンタルサービスだと、充電器や変換プラグ、マニュアルなどが入ったポーチごと貸し出していたが、本サービスでは本体だけなので、利用者にとっては荷物が減ることもメリットになる。

 WiFiBOXの利用料金は、業界内でも標準的だった従来のサービス「Wi-Ho!」よりも大幅に安くなり、業界最安クラス。例えば1日500MBのプランで比較すると、アメリカや韓国は300円(Wi-Ho!は1050円)、ヨーロッパ周遊は490円(同1480円)、中国本土は590円(同980円)と、地域によっては3分の1程度になっている。また、プランのバリエーションも変わっていて、約130の国と地域で無制限プランも提供する。

料金の例。従来サービスよりも大幅に安い
従来のオペレーションでは物流センターとのやり取りが発生していた
バーチャルSIM技術は米SIMOと提携
使っている技術としては、街中のモバイルバッテリーのレンタルシステムとバーチャルSIMの応用
まずは4つの空港の8つのカウンターから展開

 サービス料金が安くなった理由としては、自動化や効率化によるコスト削減がある。例えば従来のサービスの場合、貸し出す機材は物流センターで在庫保管・充電・保守を行ない、貸し出し業務を担当する空港カウンターと機材の行き来が必要だった。しかし、WiFiBOXでは自動ボックス自体に在庫保管・充電機能があるので、運営上の時間や手間を減らせる。

 また、従来は契約渡航先ごとにSIMカードやモバイルWi-Fiルーターを用意していたが、WiFiBOXは1種類のデバイスで中身をリモートで書き換えるだけで全エリアに対応できるため、デバイスの調達・保守・管理などのコストも削減できている。

 4月1日時点では、成田空港の第1ターミナルと第2ターミナル、羽田空港の第3ターミナル、関西国際空港の出発ロビーと到着ロビーのテレコムスクエアカウンターに、卓上型の自動ボックスを設置する。今後は福岡や新千歳(札幌)、セントレア(中部)、高松など、テレコムスクエアのカウンターがある空港から、ニーズに応じて設置場所を拡大していき、年内に30か所の設置を目指すという。

 当初は主に海外に出国する日本居住者向けだが、日本に入国する旅行者需要の復活に向け、Webサイトなどを各言語に対応させる。

こちらはタワー型のボックス。48スロットとかなりの容量だが、こちらは当初は設置されず、今後の需要を見ての対応となる

 さらに今後は空港以外にも設置場所を広げ、来年には100か所の設置を目標とする。例えば病院にWiFiBOXを設置し、入院者向けに貸し出すなど、海外旅行が絡まないニーズへの対応も検討しているという。

 現在は新型コロナウイルス感染症のため、出国者・入国者ともに激減しているが、モバイルWi-Fiルーターレンタルの市場規模は2019年まで、スマートフォンの普及ととも増加し続けていた。そのため、テレコムスクエアでは海外旅行者数がもとに戻れば、以前以上に現地でのデータ通信需要があると分析する。テレコムスクエアでは今回のWiFiBOX投入により、従来5%程度だったシェアを10%にまで拡大させたいという。

 WiFiBOXの開始キャンペーンとして、6月末までは初回限定のクーポンコードで50%引きになる。また、カウンターにおいて数量限定でマルチ変換プラグとUSB充電器のプレゼントも実施する。さらにVisaカードの会員向けには、2023年3月末までの期間で割引優待のサービスも提供する(割引率は期間やカード種別により3~15%)。

海外Wi-Fiレンタル市場。2020年と2021年は桁違いの落ち込みだが、これが復活することを見込んでいる
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