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日本旅行業協会、ハワイにおける日本市場のプレゼンスに危機感。髙橋会長「業界の本格復活は企画旅行の造成から」

2022年3月23日 実施

JATA主催でハワイへの視察団を派遣する。写真は一般社団法人日本旅行業協会 会長の髙橋広行氏

 JATA(日本旅行業協会)は3月23日、霞が関の本部で定例会見を開き、今後の取り組みなどについて説明した。

 その冒頭、JATA会長の髙橋広行氏は、「海外旅行に行けない状態が2年続いており、会員各社は支援策などに頼りながら『なんとか続けている』状態。ブースター接種も進み、コロナを取り巻く環境はかなり変わった。諸外国では入国制限の緩和、日本でも水際措置の緩和など進んでいるが、日本は隔離・到着時検査・入国者数制限などで遅れている。自由に海外旅行に行けるようになる日を切に願っている」と、コロナ禍の業界の現状を改めて説明した。

 そして、好転しつつある現況からさらに一歩先へ進めるため、4月3日~7日にかけて、JATA主催でハワイへ視察団を派遣することを発表した。目的は大きく2つあり、1つは海外旅行が実質停止していたことを踏まえて、再開後に安心・安全に旅行できるようハワイ側の受け入れ状況を確認すること、もう1つはハワイにおける日本市場のプレゼンスを回復・向上すること。

 視察団は髙橋会長以下、旅行会社やハワイに就航しているエアラインなどの企業から21名で構成し、ハワイ州観光局の協力でハワイ州知事、ハワイ州4郡知事、ホノルル市長などとの会談も設定している。積極的に活動している姿勢を業界に示すことで、機運を回復させる狙いもある。

 髙橋氏は、日本の水際における最大のボトルネックは入国者数の上限にあると指摘しており、現在は1日あたり7000人で、近いうちに1万人になると見られているが、2019年には日本人の海外旅行者数(アウトバウンド)が2000万人を突破、訪日外国人旅行者数(インバウンド)も3000万人を大きく超えており、合わせると日本への入国(帰国)者数は5000万人を超える。日割りすると約14万人になるため、現在の制限ではまったく追いつかない。

 また、日本入国時の空港での検査についても、入国者数制限を緩和するほど検査数と待機の時間が増えてしまう。すでにキャパの限界を迎えており、入国者数制限と合わせて「間もなくなくなるだろうと期待している」とした。

 なお、厚労省 検疫所が設定する「入国時に宿泊施設で待機を求める指定国・地域」については、3月17日時点で14か国まで減っているが、一方で外務省が設定する「感染症危険情報レベル」は、いまも多くの国と地域でレベル3のままになっている。ちなみにハワイもレベル3だ。

 髙橋氏は、「レベルが2に下がらないとパッケージツアーを造成できない」と述べ、手配旅行は現在でも可能だが、募集型の企画旅行が作れないと「業界の本格的な復活はない」として、夏休み前までには一部の国との国際往来が再開できるよう働きかけていくと説明した。

 ハワイについては、かつて年間渡航者数1000万人でうち日本人は150万人を占めていたが、2021年は年間677万人で、そのうち日本はわずか2万4000人。多くは米本土からの旅行者だった。髙橋氏は、「現地で働く人のなかには、これだけ本土から旅行者が来るなら、もう日本から来なくてもよいのではと考えるようになる人もいる。今後、宿泊手配などで不利になる可能性があるので、プレゼンスの回復は必要」と危機感を表わした。

 なお、本視察にはトラベル Watchも参加予定で、現地の様子は後日記事を掲載する。

一般社団法人日本旅行業協会 海外旅行推進部長 稲田正彦氏