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NEXCO中日本、長寿命の塩害抑制工法「NAKAROD(ナカロッド)」開発。外部電源不要の“流電陽極方式”をユニット化

2022年2月24日 発表

中日本高速技術マーケティングはナカボーテックと共同で、塩害劣化を抑制する電気防食工法「NAKAROD(ナカロッド)」を開発

 NEXCO中日本(中日本高速道路)のグループ会社である中日本高速技術マーケティングは2月24日、ナカボーテックと共同で、新たな電気防食工法「NAKAROD(ナカロッド)」を開発したことを発表した。

 NEXCO中日本管内の東名高速道路・由比地区や西湘バイパスなど、海岸線に近いコンクリート構造物は、海から飛来する塩分の影響によりコンクリート内の鋼材(鉄筋)の腐食が進行し、耐久性が徐々に進行する。また、積雪寒冷地では、多量の凍結防止剤(塩化ナトリウム)の影響で同様の塩害が発生する。

 これに対し、コンクリート表面に設置した陽極システムから鋼材に対して防食電流を供給することで、煙害環境でも鋼材の腐食を抑制する電気防食工法があるが、多く採用される「外部電源方式」は、商用電源などを電源として用いることで安定した防食電流を長期間にわたって得られる反面、常に給電が必要で設備が大がかりになるとともに、防食電流の調整に専門知識を有する技術者が必要であるなど、メンテナンスの負担が大きいものとなっている。

外部電源方式と流電陽極方式の違い

 今回開発した「NAKAROD」は、直流電源装置が不要となる「流電陽極方式」を採用。外部電源を利用せず、陽極と鋼材(腐食を防ぐ対象物)のあいだの電位差を利用して防食電流を流すもので、設備などのメンテナンスは軽減されるものの、陽極(鋼材の代わりに腐食することから犠牲陽極材と呼ばれる)システムの調整が難しく、その犠牲陽極材の寿命が短いことが課題となっていた。

 NAKARODは、耐候性に優れたFRPトラフに電解質層と犠牲陽極材をユニット化し、コンクリート表面に設置することで迅速に施工できるようにするとともに、犠牲陽極材を厚くすることで最大約30年間の腐食防止を可能にした。

 さらに、陽極を面状にコンクリート表面に貼り付ける面状流電陽極方式ではなく、線状流電陽極方式を採用することで、コンクリート方面の変状を目視確認できるようにしている。

 NEXCO中日本は今後、塩害対策を必要とする橋梁などのコンクリート構造物で、ほかの塩害対策工法と比較しながら、条件に応じて本工法を採用していく考えを示している。

NAKAROD(ナカロッド)の特徴