JR東日本、無人運転化に向けステレオカメラによる障害物検知システム開発。2023年度に営業列車への搭載目指す

JR東日本がドライバレス運転で必要とされる技術としてステレオカメラによる障害物検知システムを開発中

　JR東日本（東日本旅客鉄道）は2月8日、将来のドライバレス運転で必要とされる技術として、ステレオカメラによる障害物検知システムを、JR東日本研究開発センターの先端鉄道システム開発センターで開発していることを発表した。

　車両の前方に搭載した2台のカメラ映像から、画像処理装置がステレオカメラの技術を用いて画像解析を行ない、物体までの距離を計算。線路内の障害物をリアルタイムに自動検知するシステムで、これまで車両に適したカメラの開発や、画像処理の精度向上のために首都圏で走行試験を実施。

　前方の障害物検知システムは自動車などでは実用化されているが、鉄道車両はそれらと比較して停止させるまでの距離が長いことから、より遠方の障害物を検知する必要があり、開発したカメラと画像処理装置による走行試験で、遠くまで撮影した画像を解析して物体までの距離が計算できることを確認済みという。

　また、鉄道車両に適した専用カメラは、車両の揺れによる影響が少ない画像を得ることで障害物の誤検知を減少させたほか、周囲の明るさの変化に対応できる画質調整も実現。カメラと画像処理装置で機能を分担することで、障害物検知の処理速度も向上させた。

　今後、2022年度にはカメラと画像処理装置の小型化開発を行ない走行試験を実施。2023年度には営業列車に搭載して通常走行時のデータ蓄積、機能改善を継続し、本システムを乗務員の運転支援や将来のドライバレス運転に適用することを目指す。

障害物検知システムによる検知動作の流れ

画像解析により障害物までの距離を計算

鉄道車両に適した振動補正により誤検知を抑制