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NEXCO東日本、今シーズンの雪氷対策。国の方針転換受け、予防的通行止めで人命を優先

2022年1月26日 実施

NEXCO東日本が定例会見で雪氷対策などを説明

 NEXCO東日本は1月26日、本社で定例会見を実施し、雪氷対策の状況や営業概況などについて説明した。

 まず雪氷対策について、国の冬季道路交通確保対策検討委員会では「大雪時の道路交通確保対策 中間とりまとめ」を2021年3月に改定し、従来の方針を大きく転換したと、代表取締役社長 CEOの小畠徹氏が説明。

 従来の方針は、道路をできるだけ通行止めにしないこと、高速道路と並行する国道を交互に通行止めにすることによって道路ネットワークを確保することというものだった。これを改め、人命を最優先としつつ、幹線道路上で大規模な車両滞留を徹底的に回避するという新たな考え方となったという。

 今冬の取り組みについて、小畠氏は「2020年12月に発生した関越道における滞留の対応を踏まえた取り組みを昨年の冬から継続的に準備し、取り組んでいるところ」だと説明した。

 今年度も12月中旬から1月にかけて広範囲の大雪が発生しているが、小畠氏は「お客さまにお出かけをお控えいただくとともに、冬用タイヤの装着など安全走行にご協力いただいたこともあり、幸いにも大規模な滞留車両の発生には至っていない」と話した。

東日本高速道路株式会社 代表取締役社長 CEO 小畠徹氏

 今シーズンの1月20日までの通行止めの実施回数は、NEXCO東日本管内で340回発生している(事故やスタックが発端となった通行止めは含めず)。この回数は昨シーズンと同程度であるが、通行止め量(通行止め距離×通行止め時間)については2割程度減少している。

通行止め回数は昨年度と同程度だが、通行止め量は減少した

 大雪で交通困難が予測される場合の通行止めに関して、今シーズンは2021年12月26日から28日にかけて、関越道の大和スマートICと堀之内ICを閉鎖した。これにより、IC部でのスタックのリスクを低減し、本線の除雪能力の向上も図られた。

 1月11日から12日には、道東道の夕張IC~十勝清水ICの通行止めを行なっている。この際には道東道に平行する国道も予防的に通行止めを実施し、事故やスタック、車両滞留を未然に回避したほか、継続的な除雪によって早期の交通開放につながったと説明した。

 なお交通事故や故障車、スタックといった交通障害に起因する車両滞留は2021年11月1日から2022年1月20日までに34回発生しており、滞留の解消に要した時間は平均2時間程度、最長で5時間程度だったとする。こうした車両滞留の早期解消のための取り組みとして、ウェアラブルカメラを用いた現地映像のリアルタイムでの共有や、スタック車両の救出に備えたトラクターショベルや大型レッカーなどの救出用車両の事前配備などを行なっているとした。

 さらに利用者に対して、大雪に関する緊急発表が出された場合は不要不急の外出を控えることや冬用タイヤの装着とチェーン携行の徹底、雪道を走行する際の早めのチェーン装着、雪道でのさらなる安全運転が呼びかけられた。

営業概況など

 2021年度の第3四半期における営業概要は、1日平均の通行台数は約292万台で、対前年比は103.5%、対前々年比は98.7%であり、コロナ前の水準には戻っていないとした。2021年度累計での1日平均の通行台数は約277万台としている。

 料金収入は第3四半期の累計で約2013億円で、対前年比106.2%、対前々年比では98.3%とした。2021年度累計での営業収入は約5719億円。

 なお新型コロナウイルスの影響について、小型車類(軽自動車等・普通車)は新型コロナウイルスの感染拡大や緊急事態宣言の発令などに応じて交通量が減少する傾向にある。一方、大型車類は小型車類よりも安定的な推移(減少量は小幅)ではあるが、特大車は観光バス減少の影響から低調だった。

 路線別の交通量を見ると、小型車類は道央道や北陸道、東北道などで減少率が高い。一方、首都圏に近い京葉道路や外環道の小型車類の減少率は低くなった。NEXCO東日本では、地方への観光や帰省などが控えられたことで、地方部に位置する路線で減少率が高くなったものと考えられる、としている。

 大型車類は、東関東自動車道や道央道で減少率がやや高い傾向になった。これについては、隣接する空港の減便の影響を受けたものと考えられるという。

小型車類では、地方部の高速道路において減少幅が大きくなった
大型車類は空港に隣接する高速道路で減少幅が大きい

 このほか、2月1日から東北道の蓮田SA(上り線)で行なわれる、AIを活用した「非接触案内サービス」を試行することについても紹介した。

 これはインフォメーションスペースに専用の機器を設置し、そのマイクに話しかけるか、画面をタッチ操作をするとAIが質問に答えるというもの。設置時間は平日が9時から19時まで、休日は8時から20時まで。

左が試行導入が予定されている非接触案内サービスの機器