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オリエンタルホテルズ&リゾーツに聞くチェーンブランド化の狙い

神戸メリケンパークオリエンタルホテル

 国内で22ホテルを運営するホテルマネージメントジャパンは、それらのホテルのチェーンブランド「オリエンタルホテルズ&リゾーツ」を今年6月に立ち上げた。チェーンブランド化の狙いや、同社としての直近の取り組みについて、営業企画部 浦辺留華氏に伺った。

 昨年来、新型コロナウイルスの感染拡大は観光業に大きなダメージを与え続けているが、同社としては、チェーンブランド化を進めることでオリエンタルホテルがこれまでに築いてきたブランド価値を継承しつつ、“新しい日常”で求められるサービスの形を追求していくことにしたという。

 同社が最も重要なポイントとして位置づけるのは、「コ・クリエーションホテル戦略」と呼ばれるホテル周辺のエリア全体を巻き込んだ独自性の提案。浦辺氏は「これまで全くやって来なかったわけではないが、ホテルとしてのコンセプト以上に、地域とともに成長していけるようなテーマやストーリーを設定していくことに重きを置くことにした」と説明する。

ホテルマネージメントジャパン 営業企画部 浦辺留華氏

 こうした“地元シフト”の背景には、「街のおいしいラーメン屋さんが、コロナで閉店してしまうこともあった。それに対して何ができるわけではないが、地元のホテルだからこそ、そのエリアの情報に精通しており、それをもっとたくさんの人に知っていただきたい」(浦辺氏)との思いがあるのだという。

 浦辺氏は、「海外からのリピーターが我々が知らない場所を知っていることもある。コロナ後も地域の方々とともに、地域の魅力をホテルを通したフィルターで伝えていきたい。ストーリーを描きながら、お客さまや地域の皆さまとホテルを運営していく」とした上で、6月のチェーンブランド化以降に取り組んできたさまざまな取組を紹介する。

コ・クリエーションホテル戦略の狙い

 その戦略の1つが「神朝プロジェクト」。神朝プロジェクトは、「迎える朝が楽しみな体験」をホテルを中心に地域共同で考えるプロジェクトで、旗艦ホテルの神戸メリケンパークオリエンタルホテルでは、このホテルでしかできない「きれいな朝日が眺められる」「天気のいいバルコニーで朝ヨガができる」「最高の朝食がある」といった体験を基に「日本一楽しめる朝」を提供する。

「神朝ライジング灯台Yoga」のイメージ
「朝鉄板」のイメージ

 同プランについては、「単に“神戸の朝”というわけではなく、“神がかった朝”を目指している。ホテルで朝を迎える前提として、ホテルに宿泊する流れが生まれる。朝の体験に着目することで、滞在のクライマックスを演出でき、チェックアウト後に良い印象や良い体験を持ち帰っていただける」(浦辺氏)のが提供の狙いだという。

 同ホテルでは、流通科学大学 人間社会学部観光学科と共同企画した“デジタルデトックス”をテーマにした宿泊プランも10月25日~11月30日の期間限定で提供することになっており、今後もさまざまな切り口のプランを提供できるように検討しているとのこと。

 他の地域においても、例えば、10月にリブランドオープンしたオリエンタルホテル 沖縄リゾート&スパでも、世界自然遺産への登録が決まった「やんばるの森」を守ることをテーマにしたプランの提供を予定するなど、ホテルごとに“神朝”プロジェクトを進めていくとしている。

神朝プロジェクトのロゴ

 同氏は、オリエンタルホテルのレガシーを受け継ぎながら、SDGsも意識し、“物語”を軸にさまざまなニーズに応えていきたいとしている。