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新型パーソナルモビリティ「WHILL Model C2」、試乗会で快適な乗り心地を体験

2020年9月21日 予約販売開始

新型のパーソナルモビリティ「WHILL Model C2」

 近距離モビリティを製造するWHILLは9月17日、新型の「WHILL Model C2」を発表した。9月21日より予約販売を開始する。価格は47万3000円(福祉用具扱いのため非課税)。発表会では新型のWHILL Model C2の展示と試乗も行なわれたので、その模様をお伝えする。

 WHILLは2012年5月に創業し、2014年9月に初号機「WHILL Model A」を、2017年4月に「WHILL Model C」を発表した。近未来的なデザインと最新テクノロジーを活用した確かな性能で、パーソナルモビリティの革命児としてデビューしたのは記憶に新しい。今回発表されたWHILL Model C2はWHILL Model Cの後継となるモデルで、ユーザーからの要望に応えるために全面的に設計を見直し、扱いやすさと性能を向上させた製品になっている。

WHILL Model C2の主な仕様は、幅554×長さ985×高さ745~945mm、重量は約52kg。走行距離は18kmで、最高速度は時速6km。登坂能力は10度だ。走行場所は歩道なので自動車との接触リスクは低い

 発表会の冒頭では代表取締役 兼 最高経営責任者(CEO)である杉江理氏が、現在の日本における移動環境の変化について紹介した。

 新型コロナウイルスの蔓延により電車やバスといった公共交通機関から自転車などへのパーソナルな移動手段にシフトしつつある現状をまずは報告。とくに65歳以上のシニア層は公共交通機関の利用が減り、しかも歩行に支障が出る身体の衰えから外出機会も減っているという。歩きづらさを感じているシニアは、3600万人いる65歳以上のうち、実に1000万人を数え、3人に1人が移動に対してトラブルを抱えていることになる。

 同社は解決手段として新型モビリティを投入するとともに、購入から利用までの問題点の見直しにも着手した。具体的には、購入前では「自宅で簡単に買いたい(外出したくない)」「電話で相談・注文したい」といった声には、Webや電話で相談や注文ができるようにし、購入後の「万が一に備えて安心して使いたい」「購入したWHILLを破損させたくない」といった声には既存の保険とロードサービスを組み合わせた「WHILL Smart Care」にメディカルアシストサービスを付帯させ、本体保障を充実させたことを紹介した。

 最後に「コロナ禍の公共交通機関利用控えにより引きこもりがちな高齢者の方が多くいます。もっと外出していただいて、健康の維持とQOLに役立ててもらいたい。それをお手伝いできるのが自転車でもバイクでもない新しい移動手段のWHILLです」と話した。

WHILL株式会社 代表取締役 兼 最高経営責任者(CEO) 杉江理氏

 新製品のWHILL Model C2については、プロダクトマネジメント室 執行役員 室長 堀出志野氏が紹介した。「WHILL Model Cをお使いいただいているお客さまにヒアリングし、乗り心地、操作系、安全性能、乗車のしやすさを改良しました」と前置きし、乗り心地については、新たにリアサスペンションを搭載することで滑らかな走行を可能にしていることを紹介。

 操作系については、コントローラとスイッチを片側に集約し、軽い力で操作できるように調整を施している。また、コントローラは左右どちらにも付け替え可能なので、利き手を選ばない。安全性能については、テールライトを両アームの後端に配置することで従来の背もたれ下の1か所から2か所に増やしており、後続者からの視認性をアップさせている。

 乗車のしやすさについては、アームの回転基軸を後方にずらすことでアームを上げた際にシートが広く露出するようにし、イスやベッドの脇からもスムーズに乗車できるように工夫されている。また、走行性能についても向上が図られており、WHILL Model Cでは走行距離16kmだったのに対し、WHILL Model C2では18kmにアップしていることをアピールした。

WHILL株式会社 プロダクトマネジメント室 執行役員 室長 堀出志野氏
撮影に応じる杉江理氏と堀出氏

 発表会ではWHILL Model C2に試乗する機会もあったので、筆者もここぞとばかりに乗車してみた。まずは乗り込みやすさ。アームのロックを解除すると後方まで大きく倒せるので、引っかかることなく座面に横からアクセスできる。前方から腰を下ろすよりもはるかに楽なので、足腰が弱い人にとっては非常にありがたい仕組みだ。

ズラリと並んだWHILL Model C2。カラーバリエーションは10色が用意されている
アームを後方に倒すことでシートが広く露出する

 操作はコントローラーヘッドを前後左右に倒すだけで進むシンプルなもの。速度調整は4段階になっており、最高時速6km(バックは時速2km)で走行できる。バッテリー残量も%表示で分かりやすい。操作に対してレスポンスはよく、スムーズに走り出す。スピード感覚や操作に慣れるまでは最低速度(時速1km)でもいい感じだ。

 とくに感動するのは、最小回転半径76cmの小回り性能だ。滑らかにその場で方向転換できるので、限られたスペースでも自在に動ける。リアサスペンションについては、今回は屋内での試乗だったので分からなかったが、デコボコ道や段差乗り越え時の衝撃がかなり吸収されるという話だ。ちなみに段差は5cmの高さを乗り越えることができる。

 バッテリーのもちに関しては、職場から自宅まで使用したスタッフの話によると「仕事をしている平日であればだいたい1日で30%ほどの消費なので、2~3日はもちます」とのことなので、充電(充電時間は5時間)も頻繁にする必要はない。

 操作面でもう1つ紹介したいのは、ワイヤレス操作もできることだ。対応するのはiOSのみだが、専用アプリをスマホにインストールすれば、WHILL Model C2を遠隔操作できる。これは、使用後にいったん邪魔にならない場所に移動させる際に役立つ機能で、自宅や病院での起床・就寝時、飲食店での離着席時といったシーンで活用できる。

操作部分は速度調整ボタン(4段階)とコントローラヘッド、表示ディスプレイにホーンボタンとシンプル。「90」と表示されているのでバッテリ残量が90%であることが分かる
設置面が横に回転するオムニホイールが小回りを可能にする
アーム後方に設置されたテールライト。リュックを背もたれにかけても視認性が損なわれない
本体から後輪ホイールに向かって設置されているスプリングがリアサスペンション
iPhoneを使った遠隔操作も可能だ

 主要パーツごとに簡単に分解できるので、持ち運びが容易な点もWHILL Model C2の特徴になっている。バッテリー、シート、ドライブベース(前輪)、メインボディ(後輪)を簡単な操作でそれぞれにバラすことができ、車のトランクなどに積むことが可能だ。これなら旅行先などにも気軽に持っていける。日頃の外出から旅行先での移動など、新しくなったWHILL Model C2はきっと期待に応えてくれることだろう。

バッテリーはロック解除ボタンで簡単に取り外し可能
シートも固定レバーを外せば取り外せる
慣れていれば30秒もかからずに分解できる
重さは、バッテリーが約2.7kg、シートが約12.2kg、ドライブベース(前輪)が約17.6kg、メインボディ(後輪)が約19.4kg