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ボーイング、機内消毒用の「UVワンド」公開。紫外線照射で繊細な操縦室にも対応

2020年8月26日 実施

ボーイングが開発中のUVワンド(棒状の紫外線照射器)のプロトタイプについて説明した。

 ボーイングは報道向けのオンラインセミナーのなかで、同社が開発中のUVワンド(棒状の紫外線照射器)のプロトタイプについて説明した。

 コロナ禍における客室や座席まわり、化粧室の消毒は、各航空会社で拭き上げやミスト噴霧などさまざまなアプローチがとられているが、計器類が多く形状の複雑な操縦室など、機内では液体の使用がためらわれる箇所は多い。そこで同社は操縦室で使える薬品はどのようなものか、どこを重点的に消毒すべきか、また客室内で乗客が多く触れる部分はどこかといった問題に対して、ガイドラインの提供を行なっている。

 さらに課題として、抗菌スプレーコーティングや紫外線照射器の研究を以前から課題に挙げていたが、今回は後者のUVワンドの試作機が完成、試用する様子を動画などで公開した。

UVワンドの試作機。狭いところに持ち込めるようにポータブルタイプになっている
フライトデッキ(コクピット)などで使用する。ワンド外周部の緑とオレンジのライトは、使用者の作業性のため
ボーイングの機内用紫外線照射器(UVワンド)プロトタイプ

 同社は紫外線を使って化粧室を3秒で自動殺菌する技術を2016年に発表しているが(関連記事「ボーイング、遠紫外線を使って3秒で自動的に殺菌する航空機用自己洗浄トイレを開発」)、UVワンドはその延長線上にあるという。

 実際のオペレーションとしては、UVワンドを対象から数インチから離したうえで、表面をなでるように紫外線を照射する。光が届く範囲の消毒が可能で、同社は「その有効性と安全性を完全に検証するための試験が進行中」という。なお、紫外線は病原体の中和に有効であることが認められているが、新型コロナウイルスに対する有効性は試験中とのこと。

 説明では、フライトデッキ(コクピット)などは繊細なエリアなのでトレーニングが必要としており、UVワンドの試験にはエティハド航空などが協力を表明している。