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東京メトロ、有楽町線・副都心線の新型車両「17000系」公開。2021年2月デビュー予定
2020年8月13日 13:12
- 2021年2月 営業運行予定
東京メトロ(東京地下鉄)は8月11日、新木場車両基地(東京都江東区)において有楽町線・副都心線向けの新型車両「17000系」を報道公開した。
17000系は2022年までに10両編成×6、8両編成×15の計180両が製造される予定となっており、有楽町線開業時にデビューした「7000系」がすべて置き換えられる。
有楽町線は東京メトロ6番目の路線として1974年に池袋~銀座一丁目間が開業。その後、南北への延伸が進み、1988年に和光市~新木場間28.3kmの全線が開業している。副都心線は有楽町線との接続駅となる小竹向原~渋谷間11.9kmが2008年に開業。そして、2013年には渋谷駅において東急東横線とも接続した。これにより和光市駅では東武東上線、小竹向原駅では西武有楽町線・池袋線、渋谷駅では東急東横線・横浜高速鉄道みなとみらい線と、5社7線が相互乗り入れを行ない、1日あたり約177万人(2019年度)もの乗客が利用する広域ネットワークを形成することになった。
使用車両は有楽町線開業時にデビューした7000系を中心に、2006年には副都心線向けとなる「10000系」を追加。現在では7000系が180両(10両編成×6、8両編成×15)、10000系が360両(10両編成×36)と540両が運用されている。ただ、7000系においてはVVVFインバータ化など随時更新作業が行なわれてきたとはいえ、登場から45年あまりが経過したことで新車への置き換えが必要となった。
新型車両の開発にあたっては同社線の特徴となる「短い駅間」「急勾配」「急曲線」への対応のほか、多くの相互直通先を持っていることから「高速性能」「機器の共通化」が要求される。これらの要求性能を踏まえた上で「沿線のお客様に親しまれる車両」をコンセプトに、「快適性の向上」「バリアフリーの促進」「省エネ性の向上」「安全・安定性の向上」を目指したのが17000系となる。
7000系の置き換えとなるため、製造数は10両編成×6、8両編成×15の計180両。2017年8月に先行して10両編成の設計が開始され、追って2018年9月には8両編成の設計を開始。2020年1月には初編成となる17101編成が搬入されている。同2月から各種性能試験が開始されており、同9月からは乗務員訓練を実施、営業デビューは2021年2月が予定されている。その後のスケジュールは2021年4月に10両編成の搬入が完了、同5月には8両編成搬入開始され、2022年度中には全車搬入完了の予定となっている。
17000系の概要
外観のポイントとなる前頭部は7000系からの丸目ヘッドライトを継承。ブラックアウトされた運転席まわりは10000系譲りながら、前部ドアは非対称に配置されるなど7000系を彷彿とさせる部分も。カラーリングはアルミ素地を活かしつつ有楽町線、副都心線のラインカラーとなる「ゴールド」「ブラウン」を配したものとなっている。
開放的な車内空間を目指した内装は、モノトーンを基調に座席背もたれや吊り手などにラインカラーをアクセントとして配置。その一方で座面と床面をグレー系のカラーで統一するとともに、貫通引き戸や袖仕切り、荷棚を強化ガラス製とすることで視覚的な広さを演出。地下においても圧迫感を与えないコーディネートを目指した。快適性の面では座り心地や冷房能力を向上したほか、車内情報提供を充実。また、全車両にフリースペースを設置したほか優先席の増設、車両とホームの段差低減など、バリアフリー化が図られているのも特徴となる。
省エネ性では加減速などスペック面では従来車両を踏襲しつつ、高効率な永久磁石同期電動機、フルSiC素子の採用などにより、スイッチングロスの削減による実効電力量の削減、回生領域の拡大よる回生電力量の増大を図った。これにより、消費電力量は10000系より約20%削減される見込みだという。
安全・安定性の面では乗客向けとしてセキュリティカメラ(4台/1両)を配置。車格なく社内全体を把握可能とすることで安心感を提供。車両側では「車両情報監視・分析システム(TIMA)」を導入。車両とデータセンターを無線で接続し営業線走行中の車両機器の動作データを蓄積、司令所や車両基地からはインターネット経由で確認可能とすることで、故障時の迅速な対応および発生の減少を目指している。
有楽町線・副都心線に新型車両「17000系」
営業運行時期: 2021年2月~
編成形態: 10両編成(4M6T)、8両編成(4M4T)
加速度: 3.3km/h/s
減速度(常用): 3.5km/h/s
減速度(非常): 4.5km/h/s
最高運転速度: 110km/h
設計最高速度: 120km/h
構体: オールアルミニウム製ダブルスキン
車体寸法: 20000(20470)×2800×3635mm
底面高さ: 1140mm
定員/座席定員: 143人/45人(中間車154人/51人)
最後に囲み取材に応じた東京地下鉄 車両部設計課 課長 荻野智久氏は、同車両について「東洋初の地下鉄として90年以上ノウハウと技術を積み上げてきた。その技術を結集したハイスペックな車両となっている」と説明。首都圏のような大容量で高頻度な輸送を担うためには「安全、安定はもちろん、快適、省エネに成し遂げていくことが重要」であるとして、同車両においても「長年をかけて信頼性、有益性を評価してきた技術を統合」してきた機器を搭載していると述べ、「お客様の日常をさりげなくしっかりと支え、末永く愛される電車になってくれれば一番いいと考えている」と締めくくった。