ニュース

AIR DOの帯広~台北チャーター便に乗ってみた。北海道ホテルの機内食は十勝産品が詰まった“洋風幕の内”

草野社長「2018年5月に道東支店を開設した成果の一つ」

2020年2月8日 運航

AIR DOが帯広~台北線の国際線チャーター便を運航。往路の帯広発便に搭乗した

 AIR DOは2月8日、帯広空港(とかち帯広空港~台北・桃園国際空港線の国際線チャーター便を運航した。地元、北海道ホテルがメニュー作りに携わった機内食も提供された同便の搭乗レポートをお届けしたい。

 AIR DOはこれまで、2014年10月に新千歳(札幌)~台北・桃園線、2015年11月に女満別~釧路~台湾・高雄線で国際線チャーター便を運航したことがあるが、約4年3か月ぶりにして、初めて帯広を発着する国際線チャーター便となる。

 AIR DO 代表取締役社長 草野晋氏は、「2018年5月に道東支店を開設し、地元とともに歩んできた成果の一つ」とコメント。日本発の旅行商品、JTB 北海道事業部 帯広オフィスや、とかち帯広空港利用促進エージェント連絡協議会加盟10社が販売した。台湾発の発売は台湾現地の旅行代理店が販売している。

 また、2017年3月に供用を開始した国際線ターミナル用に増築したエリアを使用。ここを利用したことにも喜びを表明している。

 AIR DOの帯広~台北チャーターは、2月8日と12日に運航し、4泊5日の旅行商品として販売が行なわれた。機材は144席のボーイング 737-700型機を使用。日本から台北への旅行は安定した需要がある一方、台湾からの旅客にとっては雪を楽しむ需要があるという。そのため、さっぽろ雪まつり(メイン会場は2月4日~11日開催)のシーズンに合わせてのチャーター便運航となった。

 8日の帯広発HD9251便の搭乗者数は124名となり、86%強の搭乗率。復路もほぼ同じ人数が搭乗予定で、往復計約86.1%の搭乗が見込まれている。台湾発は往復計288席に対し282名の予約が入っており、搭乗率は約97.2%が見込まれている。

運航ダイヤ

HD9251便: 帯広(08時40分発)~台北・桃園(12時55分着)、2020年2月8日運航
HD9252便: 台北・桃園(15時10分発)~帯広(19時55分着)、2020年2月8日運航

HD9251便: 帯広(09時25分発)~台北・桃園(13時40分着)、2020年2月12日運航
HD9252便: 台北・桃園(15時00分発)~帯広(19時45分着)、2020年2月12日運航

とかち帯広空港
国際線用の増築部を2017年3月に供用開始した
北海道内の空港では北海道エアポートによる北海道内7空港の一括運営委託が進められており、帯広空港も1月からターミナルビルの民間運営が始まった
国際線カウンターにAIR DOロゴを掲示
2月8日の帯広発初便がこの台北行きチャーター便
ベア・ドゥをあしらったチャーター便オリジナルデザインの搭乗券
増築部との境界線。壁で仕切ることで国内線、国際線を兼用できる仕組みで、国内線として使用する場合は、保安検査場通過後の「国際線搭乗待合室」は利用されない
国際線搭乗待合室の先に出国審査場があり、そこを抜けるとすぐに1番搭乗口の待合スペースとなる
増築部の待合スペース。国内線で利用する場合とは動線を分けて兼用している
1番搭乗口
“もぎった搭乗券”をゾーンごとに管理
乗客に配布する記念品
氷点下の駐機場ではチャーター便で使用する機材への防除雪氷作業が進められていた

 国際線で使用される1番搭乗口には、同社マスコットキャラクターのベア・ドゥも搭乗。日付の入ったフォトフレームも用意され、ベア・ドゥと地上旅客スタッフが記念撮影を呼びかけた。

 搭乗時には草野社長も搭乗口に立ち、乗客に記念品を配布。ベア・ドゥのぬいぐるみや搭乗証明書、北海道の珪藻土を使ったセラミックスコースター、スマホグリップ、台湾の観光ガイドなどをプレゼントした。

搭乗待合所にベア・ドゥが搭乗。フォトフレームを使った記念撮影も
株式会社AIRDO 代表取締役社長 草野晋氏(左上)らが記念品を配布するとともに搭乗客をお見送り
プレゼントされた記念品

約5時間の機内では十勝・帯広の機内食やスイーツ

 帯広発のチャーター便は8時54分にスポットを離れ、地上から草野社長やベア・ドゥ、横断幕を持ったスタッフがお見送り。35滑走路から9時5分ごろに離陸した。

ベア・ドゥや横断幕に見送られて帯広空港を出発
帯広発~台北行きのHD9251便に乗務したCA(客室乗務員)。国内線でボーイング 737-700型機を使用する場合は3名で乗務するが、機内食などを提供することもあり、同便は4名での乗務となった

 離陸後、すぐに機内では台湾への入国書類の配布や機長からのアナウンスなどが行なわれた。機長のあいさつでは約5時間のフライトとなることや、佐渡島上空、石川県、香川県、高知県、鹿児島県を通過するという飛行ルートの紹介、そして帯広空港の国際線出発保安検査場には乗務員専用レーンがないため、乗務員を優先して通過させてもらったことに対するお礼などが述べられた。

 ちなみにAIR DOは現在、新型コロナウイルスの影響が拡大しているなかで、「お客さまに安心して過ごしていただくため」にCAが全員マスクを着用して機内のサービスを行なっており、このフライトも同様の対応がとられた。

 国際線チャーター便の機内サービスにあたっては専用のリーフレットを用意。提供されるドリンクやスイーツ、機内食、機内販売、ビデオ/オーディオプログラムの案内があった。オーディオプログラムは帯広~台北線オリジナルの60分間の邦楽番組などが用意され、機内のオーバーヘッドモニターでは、北海道を舞台にした映画「しあわせのパン」が上映された。

機内サービスを案内する専用のリーフレットを用意

 出発後、まずウェルカムスイーツとして六花亭の「サクサクかりんとう『極楽』」を提供。北海道土産の定番の一つとなっている六花亭のスイーツだが、本店は帯広市に構えている。

 その後、ドリンクと機内食を提供。ドリンクはオニオンスープやハスカップティーといった北海道らしいノンアルコールドリンクのほか、アルコールも無料提供。北海道限定販売の100%生ビール「サッポロクラシック」や「はこだてわいん コクのある赤」「ブラックニッカ ハイボール香る夜」といった北海道らしいラインアップを取りそろえた。

ウェルカムスイーツは、帯広市に本店を構える六花亭の「サクサクかりんとう『極楽』」
機内サービスで提供されたアルコール類も北海道らしい商品ばかり

 機内食については、機内アナウンスで「北海道ホテルのシェフが農業王国と呼ばれる北海道十勝の素材を活かして作り上げた、AIR DOオリジナルの洋食ボックス。この時期に甘みを増しているジャガイモなどの十勝野菜をふんだんに取り入れたメニューです」と案内。

 ギャレーにオーブン設備がないためコールドミールではあるが、冷えていても美味しい機内食になるメニューが検討されたという。また、台北発便についても同様に北海道ホテルのメニューとなっており、帯広発便に積載して、復路で提供する格好となる。

機内サービスの様子

 その機内食は、ベア・ドゥが描かれたボックスに入っており、提供される時間帯を考えると“ボックスランチ”と言えるもの。非常にメニュー数が多く、それぞれに十勝・帯広エリアの名産品を使用。“洋食幕の内”ともいえるメニューだ。

帯広発便の機内食メニュー

・ツナマヨネーズのサンドとポテトサラダと枝豆のロールサンド
・十勝マッシュのムース(カップ入り)
・彩り野菜(ズッキーニ・パプリカ・人参・紅心大根)オリーブオイル
・十勝産長芋のパンチェッタ巻き
・十勝産切り干し大根の和へもの
・ベビー帆立のトマト煮
・リオナソーセージ(チーズ・バジル)
・十勝産ホエー豚のロースと、ハチミツマスタード風味
・十勝産いろいろ豆(金時・大豆・枝豆)のサラダ
・十勝産越冬カラーポテト

 コールドミールではあるが素材は柔らかく、シェフの味の主張が強い品から、素材の味の濃い品まで、味のバリエーションも豊富。それぞれの味のメリハリがしっかりしており、直前に食べた味に邪魔されることなくそれぞれの品を楽しむことができた。

機内食は北海道ホテルによる洋食ボックス
「ツナマヨネーズのサンドとポテトサラダと枝豆のロールサンド」
「リオナソーセージ(チーズ・バジル)」と「ベビー帆立のトマト煮」
「十勝産ホエー豚のロースト、ハチミツマスタード風味」と「十勝産切り干し大根の和へもの」
「十勝産越冬カラーポテト」
「十勝産いろいろ豆(金時・大豆・枝豆)のサラダ」「彩り野菜(ズッキーニ・パプリカ・人参・紅心大根)オリーブオイル」「十勝産長芋のパンチェッタ巻き」
「十勝マッシュのムース(カップ入り)」

 この機内食、ボリュームもあり、台湾線にしては長い5時間というフライトにはうれしい機内食だった……のだが、さらに食後にスイーツも用意。ウェルカムスイーツ、機内食、食後のスイーツと贅沢なフライトだ。

 食後のスイーツは帯広市にある十勝トテッポ工房のフィナンシェ。しっとりとした食感で、口の中でアーモンドの香りが広がる美味しいお菓子で、一緒に頼んだハスカップティーとの相性もピッタリで美味しくいただいた。

食後に十勝トテッポ工房のフィナンシェ。ハスカップティーとともに

 フライトはその後、機内販売を行なったり、フォトプロップスを使っての記念撮影などを楽しんだりする時間が持たれた。そして、現地時間の13時ごろ、台北・桃園国際空港の駐機場に到着した。

 国際線となると、路線の多い東京、関空などを中心に考えがちなので台湾路線には3~4時間のイメージがあるのだが、北海道発着となると往路は約5時間と思ったより長い時間を要した印象が強く残り、北海道とアジアとの距離は思ったよりもあるのだと実感した点でも思い出深いフライトだった。それだけに今回のチャーター便で言えば、北海道の人が台湾へと足を伸ばしやすくなるだけでなく、台湾の人に十勝・帯広地方を知ってもらう機会としても大きな意味があるように思う。

 AIR DOの国際線チャーター便は3度目で、いずれも台湾路線で運航している。今後も継続的に国際線チャーター便を運航して経験を積む方針を示しており、2020年5月は新千歳/関空とユジノサハリンスクを結ぶ、初のロシアチャーターを予定している。北海道と南方の台湾を結ぶ路線も面白いが、北海道・新千歳とさらに北にあるロシア・サハリンとを結ぶ国際線路線も、また新たなニーズがあるのではないかと関心を持って見てみたい。

北海道スープセットや、コロクのリップクリーム、スキンケアオイルセット、エコバッグを機内販売
記念撮影用にフォトプロップスが用意された
帯広から台北まで、このようなルートで飛行
台北・桃園国際空港の駐機場に到着
台北発~帯広行き便も同日に台北・桃園国際空港を出発