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12月14日開通の東海環状道 大野神戸IC~大垣西ICを写真で紹介。開通延長は100km超えに

2019年12月14日15時 開通

12月14日15時に開通を控えた東海環状自動車道 大野神戸IC~大垣西IC間が報道陣に公開された

 国土交通省とNEXCO中日本(中日本高速道路)名古屋支社は、12月14日15時に開通する東海環状自動車道(C3)の大野神戸IC(おおのごうどインターチェンジ)~大垣西(おおがきにし)IC間を事前公開した。

 東海環状道は、中京圏に位置し、新東名高速道路(E1A)と接続する豊田東JCT(愛知県)から、西側は新名神高速道路(E1A)に接続する新四日市JCT(三重県)まで中京圏をぐるりと囲むように計画された高規格幹線道路だ。

 愛知県、岐阜県、三重県、3県にまたがった延長約153kmは新東名、新名神のほか、東名・名神高速道路(E1)、中央自動車道(E19)、東海北陸自動車道(E41)といった中京圏から伸びる放射状道路を連結する機能を持つ。なお、今回で開通延長は約7割の100.4kmとなり、100kmを超えている。

 開通する大野神戸IC~大垣西ICの延長は7.6km。東海環状道は全線片側2車線、計4車線で計画されているが、今回この区間は上下線とも1車線ずつの対面通行となっていて、その工事はおおむね終了しており、あとは路面清掃などを残すのみとなっていた。

今回開通する大野神戸IC~大垣西IC間の延長は7.6km

大野神戸IC

大野神戸IC

 最初に見学した大野神戸ICは主に料金所付近。料金所は入口2レーン、出口3レーン。入口はどちらもETCレーンとして使用できるが、どちらのレーンにも通行券の自動発券機を備えている。なお、左ハンドル車用の発券機が設置されるのは左側の1レーンのみなので注意が必要だ。

 3レーンある出口のなかでETCレーンとして使用できるのは左端を除いた2レーンだが、1番右側のレーンはETC専用、中央のレーンは収受員も対応するレーン、一番左側のレーンはETC非対応で料金の精算機が設置されている。身体障害者手帳への対応は、収受員の対応だけでなくこの機械でも可能だ。

大野神戸ICは入口2レーン、出口3レーン
大野神戸IC入口
入口は2レーンともにETCのほか通行券の自動発券機も備えている
左ハンドル用自動発券機は一番左のレーンのみに設置している
出口は3レーン
出口の中央レーンは収受員が対応するタイプ
一番左のレーンはETC非対応の一般レーン
一般レーンは料金の精算機が設置されている
精算機は上下2段式
精算機は身体障害者手帳への対応も可能
緊急時など、収受員や係員らの各レーンへの移動はすべて地下通路で行ない、危険を伴う地上部分での横断を避けている
通行車両の車高を測る装置
バーは柔らかく安全性の高い空気入りのタイプを採用している
大野神戸ICは県道53号線(岐阜関ヶ原線)に接続されている

 なお、24時間体制で対応するために収受員ほか職員が利用する建物の後方には発電設備が備わっており、停電時、料金所およびその周辺の電気をまかなうようになっているとのことだ。

緊急時の電源を確保する発電設備
開通道路の設備について説明してくれた中日本高速道路株式会社 名古屋支社 岐阜工事事務所 所長の片寄学氏

本線区間

今回公開された本線区間は上下線とも1車線ずつの対面通行

 大野神戸IC~大垣西IC間の7.6kmは、上下線とも1車線の対面通行での開通となる。主な設備としてはLEDの広域情報板のほか、速度表示板が12か所、非常用電話が16か所、風向きや風速、気温などを測る気象観測局が2か所、吹き流しが1か所のほか路温計も2か所に備えている。

 冬季には除雪も必要な土地柄に加え、ほぼ全域が高架となるこの区間は路面温度も下がりやすく、それを監視する必要があるとのことだ。

大野神戸ICから進入するとすぐに分岐となるが、今回は大垣方面のみの開通なので右側のみ通行可能となる
分岐の左側(山県方面)はまだ工事中。2024年に開通予定だ
2024年の開通に向け建設中の山県方面の工事が見える
山県方面から大野神戸ICを利用する道路も工事中だ
大垣方面への本線は左にグルリと旋回したのち合流する
非常用電話は16か所
両側のコンクリートには将来的に遮音壁などをあとからでも追加できるよう、あらかじめ突き出たアンカーを施工している
高架橋で構成された区間のため路温が下がることもあり、温度低下を監視する設備として気象観測局2か所のほか路温計も設置されている。また山から雪とともに吹き下ろしてくる風「雪下ろし」もあるため吹き流しも設置されている
白線脇のスリットは車線をはみ出た車に振動を与え気づかせるもの
養老IC方面から外回りで走行してくると2024年までは大野神戸ICで終点となる

大垣西インターチェンジ

内回りの本線から見た大垣西出口
大野神戸ICから養老方面へ向かう内回り車線。養老JCTでは名神高速道路と接続している
大垣西ICの出口1km手前あたり。ここまでが片側1車線
内回り大垣西IC 出口。右へ行くと開通済みの養老方面
大垣西ICから大野神戸IC方面を望む。この先約1kmは計画どおりの4車線区間
外回り、大垣西ICから約1km。ここから片側1車線の対面通行
大垣西ICに設置された分岐型の緩衝材。新しい区間はすべてこのタイプを使用していくとのこと
大垣西IC付近。右下に見えるのが国道21号線

 すでに開通している区間と接続する大垣西IC。12月14日の開通で養老ICから大野神戸ICまでがつながることとなる。2019年度内には関広見IC~山県ICの開通も予定しており、完成に向け各所で着々と整備が進んでいる。現状では岐阜県、三重県の県境部で一部見通しが立っていない区間もあるものの、これを除く区間は2024年度までの開通を目指して整備を続けているとのこと。

 東海環状道は、郊外から都心部への交通を分散することによる都心部の交通集中の緩和のほか、非常時の一部区間不通に対する迂回路の確保などいくつかの使途が挙げられるが、同時にこの地域に与える経済効果も高いそうだ。

 国土交通省 中部地方整備局 岐阜国道事務所 事務所長の粂野真一郎氏によると、中京圏、なかでも名古屋都市圏から放射状に伸びる道路を環状道路で結び付けていくことにより、放射道路沿線への企業立地や観光を中京圏全体に波及させる効果がすでに上がっているとのこと。2000年の着工後、沿線には26か所もの工業団地が完成するなど、雇用、製造品出荷額などいずれも増加しており、全線開通によるさらなる発展に期待していると語った。

東海環状自動車道の機能や効果について語ったのは国土交通省 中部地方整備局 岐阜国道事務所 事務所長の粂野真一郎氏