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NEXCO西日本、酒井和広社長が語る3つの注力ポイント

2019年11月1日 会見

NEXCO西日本 代表取締役社長の酒井和広氏

 NEXCO西日本(西日本高速道路)は11月1日、都内で説明会を開催し、代表取締役社長の酒井和広氏が直近で同社が注力していくポイントを語った。

 同氏はまず災害対応について説明。「西日本地区においては今年も7月~9月にかけて梅雨前線・秋雨前線に台風が絡み、何箇所かで大きな災害が発生した。私どもが管理している高速道路においても九州、中国地区において土石流などによる被害が出ている。昨年の洪水や台風、今年の台風19号、15号による被害を見ていると、数十年に一度という規模での風、雨になっている。過去に経験したことがないような災害という言葉が報道でなされているが、今後もこうした災害が発生する可能性が非常に高くなってきている。関係機関と協力しながら、グループの総力を結集し、こうした災害への対応力を磨いていきたい」と述べた。

 その上で酒井氏は、同社の高速道路事業について3つの重要なポイントがあると語る。1つはミッシングリンクを解消するための建設事業、2つめは暫定2車線区間(対面通行区間)の4車線化事業、3つめは予防保全の徹底だという。

 1つめのミッシングリンクの解消については、「私どもが営業している高速道路は3533kmある。高速道路がつながっていない区間71kmで建設を進めている。71kmは全体でいうと2%。高速道路はつながって初めて大きな効果を発揮する。そういった意味で、この2%の建設は非常に事業整備効果が大きい区間だと思っている。1日も早い完成を目指していきたい」とする。

 対面通行区間の4車線化については、「9月に国交省から高速道路の安心安全計画というものの基本計画が出されている。その中の大きな柱として、対面通行区間の4車線化が挙げられている。NEXCO3社が管理している高速道路のうち1600kmが対面通行区間。そのうちの880kmを優先整備区間ということで基本的な計画が作成されている。弊社に関係するところでは、対面通行区間580kmのうち380kmを優先整備区間に位置づけられている。

 昨年~今年の災害などの経験から分かったことではあるが、暫定2車線区間で被災すると、1~2か月通行を再開するまでの時間を要する。一方で4車線以上ある区間であれば、比較的健全である片側車線を対面通行で利用すると、数日で緊急車両の通行が可能になる。災害の対応力では、暫定2車線区間と4車線以上の区間では雲泥の差がある。悲惨な正面衝突事故の回避や、工事などによる通行止めが暫定2車線区間ではよく発生する。そういった意味ではネットワークの安定強靭化に資する重要な事業となる。従来から行なっている付加車線事業に加え、4車線化事業を積極的に今後も進めていきたい」と述べた。

 予防保全については、「リニューアルプロジェクト、さらなる構造物の耐震補強を進めていく必要があるが、5年に1回の法令に基づく点検の結果、壊れたから直すということではなく、今後壊れるであろうというところを積極的に補修なり取り替えていく、こうした予防保全に力を入れていきたい。壊れてから直す事後保全に比べ、予防保全ではコストが半分になるという試算もある。できるだけ良い状態で高速道路をお客さまに提供するということを続けていきたい」という。

 同氏は最後に関西地域でのトピックスを紹介。「昨年11月24日に大阪で55年ぶりとなる万博が夢洲で開催されることに決定した。6月にはG20が開催され、大規模な交通規制を経験した。現在では、夢洲では大阪市をあげてIRの誘致のための取り組みが行なわれている。従来から大阪経済の地盤沈下が指摘されているが、地盤沈下からの脱出を目指し、大阪万博は決してゴールではなく、万博をステップとして次の発展を目指すという議論が関西では盛んに行なわれている。首都直下地震が発生した場合に首都機能の一部をいかに大阪が担うかということも議論されている。ちょっと先の話になるが、北陸新幹線やリニア中央新幹線の大阪での受け入れ口として新大阪の周辺の再開発が、これからの大きなプロジェクト、地域の課題になっている。我々高速道路会社がこれらの課題解決にいかに関与できるか、地域の発展に寄与し、社会からの信頼を得ることが弊社の課題」だとしている。