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東京オリンピック・パラリンピック開会式に向け、バス25台を使った走行テスト。晴海の選手村から明治神宮外苑まで約30分で移動
2019年8月27日 13:45
- 2019年8月25日 実施
東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は8月25日、都内において2020年の大会開会式を想定した交通対策のテストを実施した。
テストはバスを25台用意し、選手村を建設している中央区晴海5丁目から新国立競技場に隣接する明治神宮外苑 聖徳記念絵画館前(選手降車想定場所の1か所)まで3陣に分かれて移動。1陣が9台、2陣が8台、3陣が8台という隊列で、首都高速や一般道を利用し、3パターンの走行テストを行なった。
25台のバスには選手や関係者を含め、約140人が乗車。報道陣は第2陣のバスに乗り込み、晴海から聖徳記念絵画館前まで移動した。第2陣のルートは晴海を出発し、晴海入口から10号晴海線に入り、湾岸線、都心環状線、4号新宿線を通り、外苑出口から聖徳記念絵画館前となっていた。
当初は「約40分の行程」との説明だったが、日曜の夜であることと外苑周辺が交通規制がかけられていたこともあり、約30分の走行時間で到着できた。第3陣には車いすに座ったままで乗り降りできるアクセシブル対応バスも加わっており、聖徳記念絵画館前で降車テストも公開した。
降車テストのあとに、パラリンピアンでこのテストで乗車した、車いすラグビーの福井正浩氏と、セーリングの須藤正和氏が取材に対応した。
福井氏は、「日曜のこの時間でしたので移動時間に関しては比較的スムーズだったかと思いますが、バスの乗り込みに関してはまだまだ改善の余地を残しています」とし、須藤氏も「今日初めて乗ってみましたが、車いすで乗るのに時間がかかっているので、その辺りに改善の余地がありますが、移動はスムーズでした」と、2人とも乗降時間の短縮を改善点に挙げた。
それらを踏まえ須藤氏は「ちょっとした工夫ですね。乗るときにリフトを上げるのと、上がった人のいろいろなロックをするのとか同時進行でできますので、いろいろと細かい工夫をすれば、今よりずっと早くやれるかと思います。今回のテストが来年には活かせると思います」とポイントを述べた。
主催者側では、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 輸送局 輸送企画部長の齋藤勝久氏、東京都オリンピック・パラリンピック準備局 輸送担当部長の佐久間巧成氏が囲み取材に応じた。
齋藤氏は「本日はバス75台を仕立てて(25台を3回走行)、選手村のある晴海から新国立競技場までの約20kmを走行するという実験をしてみました。幸い、どのルートもおおむね順調に走れたかと思います。先ほど、パラリンピアンの方のお話にもありましたが、車いすのまま乗せることができるバスも用いて乗り降りや走り心地を体験してもらいましたが、大変貴重なアドバイスをいただけたかと思います」と話した。
どのような部分が順調だったかの質問に対しては、「晴海の選手村からバス25台がほぼ一団となって出発し、途中で信号に引っかかることなく首都高速の晴海入口まで止まらずに走行できました。これはもちろん警視庁さまの多大なご協力によるものが大きいと思います。本日は日曜ですが、開会式の行なわれる7月24日も休日なので、道路の状況としてはほぼ同じかと思います。そのなかでこれだけのバスを走らせて順調に走行できた点を踏まえると全体的に順調だったのかなと思います」と答えた。
佐久間氏は「首都高速に関してはおおむね順調に流れてきたのかなと思います。ただ、下りてきてから聖徳記念絵画館前まですぐに来たグループと、青山通りを経由してきたグループとで大なり小なり課題があるかと思いますので、このあとはしっかり分析して本番に向けて改善していきたいと思います。今回走らせてみて、私ども職員も含めて大きな経験値になりました」とコメントした。
懸念される渋滞に関しては、「交通量に関しては、皆さまに車の使用を控えてもらうようにお願いして交通量を減らしたいと思います。首都高速に関しては7月にテストを行なったのですが、交通規制をかけることでスムーズに流れることを確認しております。円滑な流れを確保して、渋滞が起きないような環境を作っていきたいと考えています」と本番に向けての考えを示した。