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楽天ペイでSuicaをチャージ。「弱い部分を補うベストパートナー」楽天とJR東日本が会見
「おサイフケータイ」に対応したAndroid端末で2020年春から
2019年6月5日 20:21
- 2019年
楽天グループで「楽天ペイ」を運営する楽天ペイメントとJR東日本(東日本旅客鉄道)は6月5日、都内で会見を開き、キャッシュレス化の推進に向けて提携することを発表した。
この提携により、スマホアプリ「楽天ペイ」においてJR東日本の交通系ICカード「Suica」の発行とチャージができるようになり、全国約5000の駅、約5万台のバス、約60万軒の交通系電子マネー加盟店において支払いが可能になる。さらに、楽天ペイのアプリにおいてSuicaのチャージを行なうと、楽天スーパーポイントを貯めることもできる。
サービスの開始時期は2020年春を予定しており、対象端末は「おサイフケータイ」に対応したAndroid端末となる。iOSでの利用は今後検討していくとのこと。
Suicaにとって楽天は「弱い部分を補うベストパートナー」
登壇したJR東日本 常務執行役員 IT・Suica事業本部長の野口忍氏は、楽天ペイとSuicaの提携への経緯について説明した。
2001年からスタートしたSuicaは2004年に電子マネーサービスを導入、2013年には交通系ICカードとして全国相互利用が可能になり、今では約5000の駅、約5万台のバス、約60万の加盟店で利用できる規模にまで成長している。
スマートフォンでSuica機能を利用できる「モバイルSuica」は2006年にスタートし、「世界初の本格的なモバイルIC乗車券」として、駅の券売機などの施設を使わなくてもユーザーのデバイスで発行・ジャージが可能になり、2016年10月にAppleと、2018年5月にGoogleのペイメントサービスと提携している。
そして従来の交通領域での強みを磨き上げつつ、さらにユーザーの生活の中で「Suicaのポテンシャルを引き出す」ために楽天ペイとの提携に至ったという。圧倒的な会員数とプラットフォームを擁する楽天は、Suicaにとって「弱い部分を補うベストパートナー」であるとし、この連携により「日本のキャッシュレスの基盤を強化していけるのでは」と話した。
現状決定しているのは楽天ペイアプリからSuicaを発行しチャージできる、というものであり、さらにどのようなサービスを付加するかは今後幅広く検討していきたいとした。
この他社のアプリでSuicaをチャージできるという提携はみずほ銀行に続く第2弾となるが、みずほとの提携は、銀行口座から現金に近い感覚で使えるもの、それをいかに簡単にするかが最大の目的であり、「目的は十分達成することができている」とし、「今回はネットのプレゼンスのある楽天ということで、Suicaにとって違う可能性を広げていけるのではないか」と期待を示した。
「社会インフラともいえる強力なサービス」であるSuicaが加わることは、戦略のなかで「目玉」となる
続いて登壇した楽天ペイメント 代表取締役社長/楽天 常務執行役員の中村晃一氏は、楽天カード、楽天ペイ、楽天Edyなどネットやアプリを活用したフィンテック分野でも拡大している楽天にとって、小さなパイを取り合うのではなく、本質的な市場拡大を考えていると紹介。フィンテックにおけるリーディングカンパニーとして、キャッシュレス化を牽引するための「オープン戦略」を解説した。
クレジットカード、銀行口座、ポイントなどの「支払原資」、楽天ペイによる「アプリ」、店舗にある端末、ユーザーのスマホなどのデバイスにおける認証方法(FeliCa/バーコード/QRコード/ICチップなど)といった「プロトコル」の3つのレイヤーで「オープン戦略」を考えると、「支払原資」や「プロトコル」の選択肢は多くありながら、それが楽天ペイというアプリ1つで管理できることがユーザーにとって利便性の向上につながるという。
楽天の企業理念は「イノベーションを通じて、人々と社会をエンパワーメントする」というものだが、「人々の毎日をより豊かに支えるキャッシュレス」を進めるために、ユーザーの日常における「移動」という分野において「社会インフラともいえる強力なサービス」であるSuicaが加わることは、戦略のなかで「目玉」となるとと述べた。