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エアアジアX CEO ベンヤミン・イスマイル氏に、関空とセントレアから新規就航する台北便について聞く

「日本~台北線が就航すれば、クアラルンプール~台北~日本とつながる」

2019年1月30日 実施

 エアアジアXは1月30日、関西国際空港~台北・桃園国際空港線を就航した(関連記事「エアアジアX、関空~台北・桃園線の運航開始。イスマイルCEO『競争率の高いルートに刺激を』」)。

 それに先立ち、同社 CEOのベンヤミン・イスマイル氏にエアアジアXの台北線や関空~ホノルル線、将来の予定などについて聞いた。

――まもなく関空~台北線が就航するが、今の気持ちは。

イスマイル氏:とても興奮している。台北~クアラルンプール線は1日3便運航しており、日本~台北線が就航すれば、クアラルンプール~台北~日本とつながるようになる。初便から90%という高い搭乗率だが、85%が台湾人利用者なので、今後は日本人にも台湾に足を運んでほしい。

――関空発のD7 371便は夜に出て夜に着くが、その点をどう見ているか。

イスマイル氏:夜に出るということについては、まったく問題ないと思っている。日本に深夜に到着してしまうと、公共交通機関は止まっていて、もちろん新幹線も動いていない。しかし、台北は夜でも非常に活気があり、夜でも十分に楽しめる。

――2日後の2月1日にエアアジア・ジャパンがセントレア(中部)~台北に就航するが、どんな相乗効果を見込んでいるか。

イスマイル氏:名古屋は我々のハブ空港の一つで、大きなマーケットだと考えている。そのため、大阪と名古屋はそれぞれ別の市場と考えてほしい。

――台北線の機内などでエアアジアらしさを感じることはできるか。

イスマイル氏:ほかのエアアジアの路線と比べて大きな違いはないと思うが、台湾人のクルーが3人、日本人のクルーが3人乗務するので、そこで違いが感じられるはず。

――2017年6月に関空からホノルル線を開設したが、1年半経って現状は。

イスマイル氏:週4便で運航を開始して、現在は週7便(デイリー運航)になっている。他社も参入したがすでに撤退を決めており(編集部注:スクートの関空~ホノルル線は2019年5月末で運休)、その点では我々のLCCとしてのブランド力が勝ったものとみており、大変成功している路線だ。ロードファクターは平均で82%ほど。

――ANA(全日本空輸)が5月に成田~ホノルルに投入するエアバス A380はどう見ているか。

イスマイル氏:関空線ではなく、東京への投入でよかった(笑)。ともかく、ホノルル線はそれだけ大きな市場だと感じている。我々の関空~ホノルル線は好調で、今後は名古屋~ホノルルや福岡~ホノルルも視野に入れている。

――ホノルルのホテルは宿泊料が高止まりしているが。

イスマイル氏:全然問題ではないと思う。フルサービスキャリアに対して、我々の路線なら航空運賃が40~45%ほど安くなるので、その分をホテル代やショッピングに使ってもらえばよいと思う。逆に我々にとってはよい状況なのでは。

――ホノルル線就航時のインタビューで、「ホノルル線がデイリー化したらほかの北米線(東海岸/西海岸)を考えたい」と話していた。次はどの辺りに飛ばしたいか。

イスマイル氏:サンフランシスコやロサンゼルスなどの西海岸のマーケットは考えているが、まだどこからどこへ、というところまで決まっていない。成田や名古屋、大阪と選択肢がある。成田は混雑していて難しいかもしれないが、関空からは現在JAL(日本航空)とユナイテッド航空が飛ばしている。いずれにしても、2020年に新機材のエアバス A330neo型機を導入するので、そのあとで方向性を考えたいと思っている。

――名古屋や福岡、沖縄の市場はどう見ているか。

イスマイル氏:知ってのとおり、3月1日から福岡~クアラルンプール線を開設して、2月1日にはエアアジア・ジャパンが名古屋~台北線を開設する。ただ、沖縄はA330型機の席を埋めるのが難しいのではと考えている。

 就航前なので断言はできないが、福岡~クアラルンプール線はどちら側からも75%くらいの搭乗率を見込んでいて、そのうち70%がマレーシア人になるのでは。

――すでに開設している日本~クアラルンプール線のうち、羽田、新千歳、関空の利用割合は。

イスマイル氏:羽田線と関空線は日本人が40%くらい。ただ、新千歳線は日本人が10%程度で、それ以外はアジア各国の利用者になっている。というのは、北海道民のパスポート所有率が非常に低いということもあるし、(外国人から見て)北海道・札幌がとてもユニークな市場ということもある。

――日本人はそもそもパスポート所有率が高くないが、利用者の取り込みはどのようにするのか。若い世代は海外旅行はお金がかかるものと思っている。

イスマイル氏:北海道以外でいえば、私がよく目にするエアアジアのユーザーは、25歳から40歳くらいの若い人たちが中心で、LCCを利用することに抵抗がない。逆に上の世代はまだ従来のキャリアを利用する傾向にあると思う。

 年配の方に乗ってもらうには、例えば「寝ていくから食事は採らない」という人なら、必要のないサービスにお金を払わずに飛行機に乗れるという選択肢があることをもっと知ってもらう必要がある。そうして抑えたコストを旅行先の現地で使えるんだという方向性を示していきたい。

――エアアジアのユーザーはレジャーや観光が中心だが、ビジネスユーザーの割合は。

イスマイル氏:ビジネスユースはとても少なく、我々の利用客はほとんどが観光・レジャーだと思っている。(A330型機の)「プレミアムフラットベッド」は12席で、あとはすべてエコノミークラスのシートを搭載していて、ビジネスユーザーの利用率は5~10%程度だろう。

――すでにスマートフォンアプリでチェックインなどができるようになっているが、アプリの拡張や機内Wi-Fiの導入など、テクノロジへの投資については。

イスマイル氏:すでにアプリを使ったオンラインチェックインだけでなく、手荷物タグを自宅で印刷して来ることもできるようになっている。

 ほとんどのエアバス A320型機にはすでに機内Wi-Fiを導入済みで、スマートフォンなどを使って空港の免税店よりも安く機内販売品を購入することができたり、とても安価にインターネットに接続できたりする。ワイドボディのA330型機については、まずは2019年中に2機、残りは3~4年かけてすべての機材に機内Wi-Fiを配備していく。機材は各国を飛ぶので、もちろん日本路線にも来るだろう。