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京成電鉄、「博物館動物園駅」を廃止後初の一般公開。地下に出現した“触れる博物館アート”を見てきました!

11月23日~2019年2月24日公開

2018年11月23日~2019年2月24日 公開

1997年に営業を停止した京成電鉄の「旧博物館動物園駅」駅舎が一般公開されました

 京成電鉄は、かねてより改修工事を行なっていた上野公園(東京都台東区)にある「旧博物館動物園駅」駅舎を一般公開しました。期間は11月23日から2019年2月24日まで。週末の金・土・日曜限定公開です。

 この「旧博物館動物園駅」は、同社の上野駅と日暮里駅の間にかつてあった地下駅で、1933年12月に開業。乗降客の減少などにより1997年に営業を停止、2004年に廃止となっていた駅です。駅名のとおり、東京国立博物館(当時は帝室博物館)や恩賜上野動物園など文化施設が密集するエリアにあります。

 実はわたくし、別の取材でこの駅舎の存在を知って以来、訪れるのは半年ぶり。一般公開直前に報道向けの内覧があったので、その様子をレポートします!

半年ぶりにやってきました、博物館動物園駅! 2018年4月に鉄道施設として初めて「東京都選定的指摘建造物」に選定された歴史価値のある建物です
左が2018年5月撮影(もちろん中には入れませんでした)、右が今回撮影。外観の汚れが落とされているのが分かりますね。新設された出入口扉は東京藝術大学美術学部長の日比野克彦氏のデザイン
この敷地が「御料地」だったこともあって駅舎は荘厳で重厚な造り。西洋風のレリーフがステキです

 新設されたグリーンの入口扉から早速内部へ……。すると、なにやらもふもふした巨大な物体がお出迎え!実はこれ、5mもあるアナウサギのオブジェなのです。

ドキドキですわ~
大きなアナウサギが穴を掘って地中へと潜ろうとしているオブジェ

 この巨大オブジェは、博物館動物園駅が“建設に苦労した地下駅”という背景にインスピレーションを受けたアーティストさんが、地中に巣穴を掘って暮らす“アナウサギ”をかけて表現したとのこと。今回の駅舎内部公開は「上野文化の杜新構想実行委員会」と「アーツカウンシル東京」が主催するアートイベントを実施していることが大きな特徴となっています。

素晴らしい天井の装飾。シャンデリアがぶら下がっていたのではないかというお話でした
横から見たアナウサギさん。なかなかの迫力ですわ~
顔が半分埋まっています。今にも動き出しそう

 では、いよいよ地下へ。京成電鉄によると一般公開に向けての改修工事は、ホコリを落としたりタイルを補修するなど安全性を確保する一方で、壁に残っている落書きなどはあえて消さなかったそう。駅として使われていた当時のままの面影を見ることができるのです。

階段の踊り場では博物館動物園駅舎の歴史が分かる昔の写真のスライド上映も
昔書かれた落書きがたくさん
なかにはこんなメッセージも
愛されていた駅だったことが分かりますわね

 階段を下りた踊り場スペースまでが今回改修が完了して公開となった範囲。さらにホーム方面へと下りる階段がありますが、手前にガラス扉が設置されていて、その先は行くことはできません。でもきっぷを切っていた場所の様子はガラス越しに見ることができ、営業を停止した21年前で完全に時が止まっているその光景は必見ですよ。

かつて駅員さんがいたきっぷ売り場。昔はここできっぷを買って、下の改札できっぷを切るという作業だったそう
行けるのはホームへと下りる次の階段の手前まで。このガラス扉の先にはいけません
ガラス越しの1枚。ホームがギリギリ見えないのがちょっぴり残念ですが、電車が通る音は聞こえます
ガラス扉にはメッセージなどを自由に書いてよいということでペンが用意されています
ということで、私も記念に描いてきました。皆さん行ったら探してみてくださいませね

 今回この踊り場スペースはちょっとおもしろい空間になっていて、数種類の動物の骨格標本が展示されています。もちろんこれは博物館動物園駅という駅名からヒントを得たもの。手がけたのは国立科学博物館の研究員・森健人さんです。

「実際の博物館では標本などを実際に触ることができません。多くの人がキャプションを読んで満足してしまっている現状に僕自身いつも残念に思っているんです。そこで3Dプリンタで作ったレプリカの骨格標本を作って自由に触ってもらおうと思いました」と森さん。

中央には1980年から上野動物園で飼育されていたジャイアントパンダのホアンホアンの頭蓋骨。さながら本物の“博物館”のような空間です

「これは何の動物だろう?」と知的好奇心をくすぐるユニークな展示になっていてお子様連れにもお勧め。骨格標本が乗っている“展示台”がヒントですよ。

国立科学博物館の支援研究員・森健人さん。今回展示されている動物の骨格標本3Dプリントレプリカを作った方です
レプリカなので触ることができるのがウリ。ラベルを付けることで博物館の収蔵庫的なイメージを再現しているのだとか
この毛並みは? 何の動物でしょうか? お子さんにもお勧めの展示です
各動物の下にはウンチ(※作り物)が転がっているのを見逃さなかったゆきぴゅー。この笹団子は誰のウンチ?
「ヒト」も。ちなみに後ろの「お手洗」看板は当時のものだそう
ガラスケースに入ったホアンホアンの頭蓋骨(実物)だけは触ることができません。普段は国立科学博物館で展示されているもの

 ところで気になるのは、今回のアートイベントとの連動一般公開が2019年2月24日で終わったあとのこと。京成電鉄の広報担当によると、「今のところ未定なのですが、今後も地域の魅力につながる活動の場にしていきたいと思っています」とのことでした。

展示物の近くにこんな落書きもありました
こちらが公開期間中にもらえる入場券。パンフレットにもなっています

 鉄道好きな人だけではなく、アート好き、街歩き好き、歴史好き、科学や動物好き、そしてかつてこの駅を利用していた人たちなど、幅広い世代とさまざまな趣味を持った人達が足を運ぶだろうなという印象を持った今回の取材でした。さて、報道向け公開タイムのあとは11時から一般公開がスタート。上野の新しい文化スポットには、かなりの人が集まっていて入場整理券を配るほどになっていました。

 目の見えない/見えにくい方も参加できる、パフォーマーによるガイドツアーも実施しています。1日4回で事前申し込み制です。

入り口付近の様子。11時からの整理券を持った人から入場
各回10名ずつの観賞ツアーは女性に大人気の様子でした
鉄道好きさんはガラス越しにホーム横のきっぷ売り場を熱心に撮影
旧博物館動物園の公開と展示

所在地:東京都台東区上野公園13-23
期間:2018年11月23日~2019年2月24日までの金・土・日曜
時間:11時~16時(最終入場15時30分)
入場料:無料

【旧博物館動物園駅】触れる鑑賞ツアー

開催日:公開期間中のすべて
時間:11時~、12時~、14時~、15時~(1日4回)
定員:各回10名 ※要事前予約
参加費:無料
参加申し込み:触れる鑑賞ツアー参加申し込みフォーム

【お詫びと訂正】初出時、ホアンホアンの頭蓋骨を模型としていましたが、実物でした。お詫びして訂正いたします。