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JAL、2017年度連結業績は増収減益も、旅客収入好調&座席利用率は過去最高水準
旅客サービスシステムの機能を活かした単価増を目指す
2018年5月1日 13:14
- 2018年4月27日 発表
JAL(日本航空)は4月27日、2017年度(2018年3月期)の連結業績を発表した。グループ連結売上高は前年比7.3%増となる1兆3832億円、営業利益は同2.5%増の1745億円(営業利益率は12.6%)となった一方、2016年度の一時的な法人税額調整などがあり、経常利益は同1.1%減の1631億円、親会社株主に帰属する当期純利益は同17.5%減の1354億円の、増収減益決算となった。
国際線旅客収入は前年比11.5%増の4629億円、旅客数は同2.3%増の858万5000人。説明にあたったJAL 取締役専務執行役員 財務・経理本部長の斉藤典和氏は、「日本発、海外発いずれも高単価の需要が堅調で、新路線就航や増便、商品・サービスの強化、機材の需給適合が奏功した」と理由に挙げている。
また、有償座席利用率は81%と過去最高水準をマーク。単価も前年比9%増の5万3919円となった。単価増について斉藤氏は、「燃油サーチャージの増加や為替の影響のほか、路線構成やレベニューマネージメントが奏功」とし、当初予想を上回る結果となったことに対しては、「ビジネスクラス利用者が予想より2%多かったことや、中国や東南アジアを中心に海外発旅客が多かったこと、有償座席利用率が高い状態が続いたことで単価を約1%上昇させることができた」ことなどを理由とした。
国内線については、旅客収入が前年比3.9%増の5182億円、旅客数が4.5%増の3403万3000人、有償座席利用率は71.8%と初めて70%台を達成した。この結果に対しては、2016年熊本地震からの回復や個人旅客需要が伸びたことに加え、機内Wi-Fi無料化の効果を挙げた。
一方、単価については、他社との価格競争や、「先得」などの低価格な運賃の旅客が増えたことにより、前年比0.5%減の1万5227円となった。一方で斉藤氏は「値頃感の創出により、新たな航空需要を生み出せた」とも話した。
このほか、貨物収入について40億円ほど予想よりも上振れし、「2017年度は予想超えて活況を呈した」という。ただし2018年度は大幅な増収は見込まず慎重な姿勢をとるというが、需給の悪化要素もないとした。
2018年度(2019年3月期)の業績予想は、連結売上高は2017年度比5.2%増、717億円増となる1兆4550億円、営業費用は同6.6%増、793億円増となる1兆2880億円、営業利益は同4.3%減、75億円減となる1670億円、経常利益は同4.4%減、71億円減となる1560億円、純利益は同18.8%減、254億円減となる1100億円。2月28日に発表した内容から変更はなかった。
営業費用の増加については、2017年度に更新した旅客サービスシステムの償却費が、2017年度は70億円だったのに対し、2018年度からは年間160億円となる点が大きく、そのほかの特殊要因はなくASK(有効座席キロ)を4.8%伸ばすという計画に伴う規模なりの増加であるとした。
また、旅客サービスシステムについて斉藤氏は、「この機能を活用していかに国内線、国際線の収入増に結び付けるかが大きなテーマ」であるとし、国際線ではすでに使い勝手の向上で海外地区のWebサイトを通じた販売実績が上がっているなどの効果を例示。国内線、国際線とも、搭乗率が高まっているなか、システムを活かして単価上昇に取り組む意向を示した。