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JR西日本、京都鉄道博物館前の新駅名を「梅小路京都西」駅に決定。梅小路地域活性化や京都駅の機能分散を目指す

京都市長「果たすべき役割を象徴している駅名」と感想

2018年7月20日 発表

JR嵯峨野線 京都駅~丹波口駅間に新設する駅名を「梅小路京都西」駅に決定

 JR西日本(西日本旅客鉄道)は7月20日、JR嵯峨野線 京都駅~丹波口駅間に建設中の新駅の名称を「梅小路京都西(うめこうじきょうとにし)」駅とすることを発表したのは既報のとおり(関連記事「京都鉄道博物館前に建設中の新駅名称は『梅小路京都西』駅。2019年春開業に向けJR西日本と京都市が発表」)。JR西日本と、周辺の整備を行なう京都市は同日、京都市役所において記者会見を開いた。

 新駅は京都駅の西側約1.7km、梅小路公園や鉄道博物館に隣接する場所に建設している駅で、地元や商工会らからの要望を受け、2015年にJR西日本と京都市が協定書を締結した。

西日本旅客鉄道株式会社 執行役員 近畿統括本部 京都支社長 三輪正稔氏

 駅名の選定にあたっては、京都市が3月26日~4月27日に実施した新駅の駅名募集の結果を参考にした。応募総数は1257件。会見で駅名の選定理由を説明した、JR西日本 執行役員 近畿統括本部 京都支社長の三輪正稔氏は、「駅が存在する梅小路公園は周辺地域を象徴する存在として慣れ親しまれており、『梅小路』は駅名公募結果のキーワードとして最多数だった」と、「梅小路」の地名が採用された理由を説明。“梅小路駅”“梅小路公園駅”など、梅小路の言葉が入った駅名は応募の7割程度を占めていたという。

 続けて、「京都駅の西側約1.7kmに位置し、京都観光の新たなサブゲートとして期待することから、『京都』『西』を付与した名称とした」と、「京都西」の言葉を後半につないだ理由を紹介。

 併せて、さまざまな人が利用することを想定している駅として、安全面の配慮からホーム柵を設置することも発表。そのホーム柵は、3月に営業を開始したJR京都線 JR総持寺駅で初採用した、開口部の広い二重引き戸式の可動式ホーム柵とする。ホーム柵導入は嵯峨野線では初めてとなる。

 駅舎のデザインについてはこれまでにもアナウンスされていたとおり、京都の町並みの「縦格子・縦縞」、京友禅の反物の「縦長矩形」、工芸品に用いられる「梅柄(光琳梅)」をデザインに取り込み、曲面を多用した柔らかい雰囲気にする。

嵯峨野線 梅小路京都西駅の概要

・高架下駅舎(約1000m2
・ホーム(相対式2面:幅員3mから6.7m)
・旅客上家(屋根)
・エレベータ(各ホームに1基ずつ、計2基)
・エスカレータ(各ホームに上下1基ずつ、計4基)
・自動改札(4通路)
・券売機(3台)

 1日の推定乗降客数は7000名としており、ダイヤは未確定であると前置きしたうえで「基本的には普通列車を停車させる駅となる」としている。

 また、嵯峨野線の混雑についても記者から質問が挙がったが、「京都駅での乗車シーンにおいて、後方部分にお客さまが滞留してしまっている。前方へ誘導する案内やサイン類などを含め、京都駅場面での案内を真っ先にやらなければならないと思っている」と説明。併せて、新駅開業後の利用状況などを鑑みた1編成あたりの両数の変更なども検討をするとした。

 三輪氏は「市民の皆さまみも、観光のお客さまにもご愛顧いただけるような駅にしたい。京都市がずっと街作りを行なってきたし、私たちも連携して取り組んできた。駅ができることでにぎわいが増すようにしたい。また、サブゲートという言葉を使っているが、京都観光の新たな入り口としてしっかり機能し、京都という都市は公共交通をうまく使うことでたくさんのところへ便利行けるという機能もこの駅が果たしていくことに期待する」と、新駅への期待を述べた。

梅小路京都市西駅の外観イメージ
二重引き戸式の可動型ホーム柵を設置
京都市が整備を進める周辺エリアを含めた

京都市は梅小路公園や再整備中の中央卸売市場などの連携で活性化目指す

京都市長 門川大作氏

 京都市長の門川大作氏は新駅に対し、「京都駅や市内の各地からこの地域のアクセスが格段に向上する。このエリアは多彩な歴史的、文化的、地域の資源がある。多くの集客施設ができ、さらに日本で最初にできた京都市中央卸売市場の再整備が進んでいる。ここの利便性も画期的に高まる。大きな人の流れを作り出すことができる」と梅小路エリアの活性化に期待。

 併せて、「京都駅から2~3分の距離で、いわば京都駅西口といっても過言ではない。多くの方が京都駅に集中している。京都は空港も港もない、高速道路も少ない。そういう街で公共交通優先の『歩くまち・京都』を進めてきた。必然的に京都駅に集中し、、京都駅からバスやタクシーに乗る。あと2~3分、京都駅から“梅小路西口”へ鉄道を乗り継いでいただくことで、京都駅の機能の分散化にもなると思っている」との効果にも期待を示し、「“梅小路”という地域の名前と、日本文化・都市の象徴である“京都”、そして“西口”という3つの要素を融合した新駅名は、駅の果たすべき役割を象徴していると感じている」と新駅への感想を話した。

梅小路公園の西側に整備中の新駅
園内の案内図。向かって左側にある線路がカーブしているとこの七条通寄り付近に設置される
梅小路公園の西側にある京都鉄道博物館
新駅の建設地。七条通側から見た様子
梅小路公園側から見た様子
鉄道博物館から見た様子

 この新駅が設置される梅小路公園は平安遷都1200年を記念し、旧国鉄から京都市が引き継いだ用地を再開発したもの。平安京の朱雀大路にあたる旧千本通にあたる場所で、迎賓施設であった鴻臚館も当時は設置されていた地域で、門川氏は「お客さまを迎える拠点だった」といった歴史的な側面を紹介。「そこに梅小路京都西駅ができて、幅広い周辺地域の活性化に資していく。さらにそこに京都駅のサブゲート、西口としての役割を果たし、お客さまの分散化につながっていく役割を果たすと確信している」と語った。

 京都市では、新駅開業に向けて周辺整備事業を進めており、駅の北側では中央卸売市場の再整備を進めており、駅から中央卸売市場の再生部へつながる動線を意識したものとして整備する。中央卸売市場入り口前や梅小路公園では商業施設やにぎわい施設の公募も実施するほか、JR西日本から無償譲渡された短絡線の敷地に屋根付きの歩道を設ける計画。梅小路公園から中央卸売市場、周辺地域を連携させて活性化を図る。門川氏は「界隈一帯が素晴らしいポテンシャルがあるが活かされず、つながっていない。これをどんどんつないでいく。3年、5年待っていただいたら、まさに京都の西の玄関になっているのではないか」と将来像を描いた。