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電子ビザ導入で行きやすくなったブラジル観光セミナー。7月14日~15日は代々木公園でブラジルフェスティバル
ブラジル大使館や日本旅行業協会、ラタム航空などが参加
2018年7月10日 09:55
- 2018年7月2日 開催
駐日ブラジル連邦共和国大使館は7月2日、JATA(日本旅行業協会)、ラタム航空、ラティーノの協力のもと、日本の旅行代理店や関係者、メディア向けにブラジル観光セミナーを開催した。
ブラジルは1月から電子ビザ(e-VISA)の日本国籍所有者向けの発給を開始しており、申し込み方法などについてもあらためて解説。そして、日本ではまだ知られていないブラジル観光の魅力を紹介した。
セミナーの冒頭では、ブラジルの特命全権大使であるアンドレ・アラーニャ・コヘーア・ド・ラーゴ閣下があいさつ。「本日、このように非常に多くの人に集まっていただけたのは、ブラジルに大変興味を持ってくださっていることの表われですので、感謝しております。2017年12月にラテンアメリカ観光を共同でPRする『メルコスール』が閉鎖されました。それに伴い、各国の大使館がそれぞれPRすることになりました。また、日本からの観光客を優先的に受け入れるということで、電子ビザを導入いたしました。これにより、ますます日本人観光客の方にブラジルにお越しいただきたいと思います。サッカー・ワールドカップやオリンピックでブラジルをよく知ってもらえたかと思いますが、ブラジルの生活や文化についてももっと多くの方に知っていただきたい考えます」と述べた。
続いて、JATA 海外旅行推進部 部長の權田昌一氏が登壇し、「2017年、残念ながらメルコスールが解散となりましてJATAとしましては憂慮していたところでございますが、ブラジルの関係者のお力もありまして、早速JATAが主催するアウトバウンド促進評議会にも参加いただきまして、その最初の活動が今回のセミナーになったわけです。ブラジルに日本から渡航する観光客は年間8万人ですが、直行便のあるメキシコは15万人となっており、ブラジルのポテンシャルからすればまだまだ伸びる余地がございます。今後、10年、15年間は旅行会社が中心になってお客さまにご紹介するデスティネーションであると考えていまして、この部分が重要だと思います」と、JATAとしてもブラジル観光に対して期待を持っている旨を語った。
電子ビザ(e-VISA)の申請はとてもシンプル
1月から発給を開始した電子ビザについては、在東京ブラジル総領事館 総領事であるジョアン・デ・メンドンサ・リマ・ネト氏が説明した。電子ビザの発給は一部の国に限られており、現在のところは日本、アメリカ、カナダ、オーストラリアの4カ国のみ。パスポートの期限にもよるが、有効期間は2年間。対象者は観光客、ビジネス目的、学生や研究者となっており、ブラジルで何らかの所得が発生しないというのが条件だ。支払いはクレジットカードで行ない、料金は42.24ドル(約4700円、1ドル111円換算)で、「シンプルで効率的なシステムになります」と話した。
ブラジルをもっと知ってもらうことで渡航者を増やす
ブラジルの観光については、駐日ブラジル大使館通商・投資部の部長である古部アナパウラ氏が説明した。ブラジルの観光地を選定するうえで欠かせないのが各地の特徴を知ることであり、植物相、動物相、あるいは自然地形などが異なっている地域を区分けするバイオーム(生物群系)では大きく6つの地域に分けられる。
北は国土の約半分を占めるアマゾンであり、生物の多様性に富んだ地域となっている。西部には隣国であるボリビアやパラグアイにまたがる湿地帯のパンタナールが広がっており、こちらも動植物の宝庫となっている。南部は世界三大瀑布の一つに数えられるイグアス滝が存在するエリアで、南東部は大都市であるリオデジャネイロやサンパウロが存在する。ブラジル独自のエリアとしては、北東部のカーチンガを挙げていた。
JATAの資料によると日本から海外へ渡る観光客は年間で1700万人を数え、そのうちアメリカ大陸へは400万人が渡航している。しかし、ブラジルへの観光客はわずか8万人となっており、さほど多くはない。今まで日本人観光客が訪れた場所としては南側にあるイグアスの滝、もしくはリオデジャネイロ、サンパウロが中心となっており、それ以外の地域も知ってもらうことで、もっと日本人観光客を誘致したい考えだ。「大使館の役割としては、旅行代理店と一緒になって日本人の観光客のニーズを汲み取ってマッチングさせることが重要だと考えています」と語った。ちなみに7月14日と15日は代々木公園で「第13回 ブラジルフェスティバル」が開催されるので、ブラジルの文化に触れるよい機会であることも紹介された。
ブラジルへラタム航空で行くメリット
次に登壇したラタム航空 セールスマネージャーの原田みどり氏は、ブラジルへ渡航する際のラタム航空を利用するメリットなどを解説した。ラタム航空は中南米最大のエアライングループであり、ブラジルの多くの都市に就航している。ヨーロッパや北米を結ぶ路線も数多く持ち、ブラジルへ渡る際の選択肢の一つとなっている。残念ながら日本からの直行便はないので北米経由となるが、ワンワールドグループに属するので、JAL(日本航空)とのコードシェア便が成田や羽田から就航している。
北米からブラジルの玄関口であるサンパウロに到着したら、そこからは国内の各就航都市に対してアドオンの運賃で移動することができる。アドオンの運賃は場所によって「A」「B」「C」のグループに分けられ、Aが片道5000円、Bが片道9000円、Cが片道1万円と分かりやすくなっている。例えば、首都であるブラジリアやもっとも人気のあるイグアスの滝はAとなっており、レンソイス・マニャランセス国立公園に近いサンルイスはB、中央アマゾンのマナウスはCとなっている。また、前述した運賃でカバーできない場所へはラタム航空利用で南米入りした乗客のみが使えるパスがあるので、1~16クーポンまで組み合わせることでツアーを自由にカスタマイズすることもできるとしている。
そのほかでは、出発から帰国まで同一の受託手荷物規定の適用(エコノミークラスの場合は23kg×2個)、ブラジルの全就航都市に対してすべて通し運賃がある、燃油サーチャージを徴収していない、2017年10月からエコノミークラスに導入された新しいミールサービスなどを紹介した。このミールサービスは7時間以上搭乗する国際便に導入されており、昼食や夕食は3つのオプションから選択可能(温かい食事、ベジタリアンミール、軽めの冷菜)で、朝食は2つのオプション(甘い食事、塩味の食事)から選択でき、利用客からも好評であると話した。
12日間で周るブラジルツアーの一例
最後は中南米ツアーを専門とする旅行代理店・ラティーノの上村カルロス氏が登壇し、ブラジルの魅力やメジャーな観光地はもとより、これから注目されるであろう観光地までを紹介した。ブラジルは世界で5番目に広大な国土を持つ国であり、世界遺産も数多く存在する。ブラジルでもっとも人気のある観光地はイグアスの滝であるが、現在人気のあるツアーはイグアスの滝とペルーのマチュピチュなどを組み合わせたものであり、もっとブラジルに滞在してもらって魅力を堪能してもらいたいとのことだ。
同氏が紹介した参考プランは12日間のもので、リオデジャネイロとイグアスの滝を訪れたあとは、世界遺産のパンタナール、アマゾン川、フェルナンド・デ・ノローニャ、絶景のレンソイスの砂丘などを好みによって選択し、ブラジルを大いに楽しもうというツアーだ。
まず紹介されたのはリオデジャネイロ。オリンピックやサッカーワールドカップで一躍有名となったが、標高709mにあるキリスト像が有名なコルコバードの丘やコパカバーナ海岸、イパネマ海岸など多くの観光地が集まる都市でもある。ほかでは、リオデジャネイロを一望できるポン・ジ・アスカールやウルカの丘、リオデジャネイロ植物園なども紹介。そのなかでもオススメスポットとして、インスタ映えするとのことで有名となったペドラ・ド・テレグラフォを挙げていた。こちらでは危険極まりない海べりの絶壁で無茶な姿勢の写真が撮れるのだが、実は安全な場所というスポットで、参加者からも笑いが起きていた。
人気のイグアスの滝については、ブラジル側とアルゼンチン側の観光ルートの違いについて説明した。ほか、サンパウロやブラジリアの見どころ、広大な湿原のパンタナール、アマゾン観光の拠点となるマナウスにおけるツアー、レンソイスの砂丘、ブラジルのガラパゴスと言われているフェルナンド・デ・ノローニャを紹介した。