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ホテルオークラ、東京本館「オークラ東京(The Okura Tokyo)」2019年9月上旬開業。中層棟と高層棟の2棟
「オークラ ヘリテージウイング」と「オークラ プレステージタワー」
2018年6月25日 16:48
- 2018年6月25日 発表
ホテルオークラは6月25日、建替中の「ホテルオークラ東京 本館」の建替計画の概要を公表、2019年9月上旬の開業や新名称を明らかにした。
新名称は「オークラ東京」(英語名は「The Okura Tokyo」)。新たにグループのトップブランドとして「オークラ ヘリテージ」を新設し、従来トップブランドとしていた「オークラ プレステージ」と合わせた一体運営とする。
会見でホテルオークラ 代表取締役社長の荻田敏宏氏は、今回の建替について「2011年3月の東日本大震災が契機」であったとして、ホテル事業者として安心・安全の提供が大前提であり、現在の敷地はもともと強固な地盤に立っているものの、ホテルオークラの耐震性・制振性の向上も理由の1つであったという。第2に、2010年9月のJALホテルズへの資本参画を理由に挙げた。自社ホテルのブランドが多様化し、再考が必要になるとともに、オークラブランドを高級路線へシフトすることができると考えたという。
実際、五つ星のホテルオークラと四つ星のニッコーホテルは、ともに客室面積25~45m2という比較的広いレンジで展開していた。荻田氏は「立地や付帯施設なども含めて評価されるべき」と前置きしつつ、サービスレベルと客室面積の2軸でブランドのポジショニングを表わした図を示し、ニッコーブランドは五つ星のグランドニッコーと四つ星のニッコーホテルにセグメントを分け、ホテルオークラは五つ星、そして五つ星を超えるラグジュアリーブランドとして位置付けていくと述べた。
その象徴がすでに台北やバンコクで展開している「オークラ プレステージ」と、最上位ブランドとして新設する「オークラ ヘリテージ」であると説明。後者は東京を皮切りに、ニューヨークやロンドン、パリ、シンガポール、香港、上海、北京などへの出店を視野に入れている。
そして創業の地・虎の門を建て替えるにあたり、グループの旗艦ホテルとすると同時に、プレステージとヘリテージ両ブランドの事業ショーケースとすべく、新しい東京本館は2棟立ての構成に決まった。ヘリテージブランドで運営するのは、17階建ての中層棟「オークラ ヘリテージウイング(The Okura Heritage Wing)」。最上位ブランドとして「日本の美のエッセンス」「世界中の賓客を受け入れる民間の迎賓館」と位置付け、標準客室面積は60m2。客室数は140室。会見後の質疑応答によると、平均客室単価は1泊7万円の見込みという。
一方、プレステージブランドで運営するのは41階建て高層棟の「オークラ プレステージタワー(The Okura Prestige Tower)」。8階~25階はオフィスフロアで、28~40階が客室。平均客室単価は1泊4万円~4万5000円程度になる見込み。客室数は368室。
この2棟を合わせてオークラ東京(The Okura Tokyo)として、総客室数は508室、レストラン5施設(オールデイダイニング、ファインダイニング、和食堂、中国料理、鉄板焼き)、バー3施設、宴会場20室が全容となる。
開発コンセプトは「伝統と革新」、デザインコンセプトは「シンプリシティ&エレガンス」としており、設計は大性建設 設計本部を統括とした6社が共同で担当。
コンセプトの例として、プレステージタワー5階の「メインロビー」を紹介した。画像は別掲しているが、建替前のホテルオークラ東京のメインロビーを踏襲したデザインとしており、できるだけ従来のものを再利用し、再利用できなかったものは復元するという。「伝統の敬称」「次世代への橋渡し」という意味合いもあり、メインロビーのデザインは旧本館ロビーを設計した谷口吉郎氏の長男である谷口吉生氏(谷口建築設計研究所)が受け持っている。このほか、谷口氏はヘリテージウイングのロビーや日本料理「山里」、ファインダイニングなどのデザインも担当している。
メインロビーを踏襲・再現するという点については荻田氏が質疑応答でも言及し、「メインロビーを解体しないでほしい」という署名が集まったことや、同社としても「継承すべきインテリアと捉えている」ことが踏襲の理由になっており、その取り組み自体が「コンセプトの根幹」を成しているという。同様に、茶室の「聴松庵」も移築することが決まっている。