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JAL、成田~グアム線の期間増便セレモニーをグアム空港で実施。JAL専用ラウンジスペースの設置も検討

「増便でグアムの経済・観光に貢献したい」と長田支店長

2018年3月25日 実施

JALは成田~グアム線を期間増便、グアム空港で到着セレモニーを行なった

 JAL(日本航空)は、成田国際空港~アントニオ・B・ウォン・パット国際空港(グアム空港)線を3月25日から10月27日まで期間増便する。その初日に当たる3月25日には、グアム空港で増便初便の利用者を出迎えるセレモニーを実施した。

 増便のJL8941/8942便は、ともに既存便より1時間ほど早く出発し、1時間ほど早く到着する。特に日本からの往路は14時10分着なので、入国審査や荷物の受け取りが短時間ですめば、グアム初日の夕方~夜をよりじっくり楽しめるわけだ。

 この期間増便でJALの成田~グアム線は1日2往復になるが、グアム発の増便分であるJL8942便は、3月28日から運航する(3月25日から27日は回送)。これは、3月25日からの増便の利用者がおおむね3泊4日以上グアムに滞在することを見込んでのもの。なお、既存のJL941/942便の使用機材は「JAL SKY SUITE」仕様のボーイング 767-300ER型機(SS6)だが、JL8941/8942便をSS6で運航するのは4月1日からになる。

JALの成田~グアム線運航スケジュール(2018年3月25日~10月27日)

JL8941便:成田(09時30分)発~グアム(14時10分)着、毎日運航
JL941便:成田(10時40分)発~グアム(15時20分)着、毎日運航

JL8942便:グアム(16時20分)発~成田(19時05分)着、毎日運航
JL942便:グアム(17時30分)発~成田(20時15分)着、毎日運航
※JL8942便は2018年3月28日から

 満席のJL8941便は定刻よりやや遅れてグアムに到着。続々と降りてくる利用者に対して、まずはゲート前でグアム増便の日付が入ったクリアファイルとボールペン、グアム空港のバゲージタグ、さらにクッキーやジュースなどを詰め合わせた記念品を、JALグアム支店のスタッフが一人一人に手渡した。

 利用者はそのまま入国審査と預け入れ手荷物の受け取りに向かうが、バゲージクレームで荷物をピックアップしたあとの動線をこの日だけは特別にいつもと違う出口に誘導しており、その先ではミスグアム2018らが出迎えて、貝殻でできたレイをプレゼントした。このサプライズに利用者はうれしがったり恥ずかしがったりと、一様に照れた様子だったが、ミスグアムと記念撮影を行なうなど和やかなセレモニーとなった。

グアム空港に着陸、スポットインしてくるJL8941便
降機する利用者に記念品を手渡した
折り返しのJL8942便は3月27日までは回送となる
ミスグアム2018らが利用者の首にレイをかけた
クルーを交えての記念撮影

北朝鮮の影響を気にする利用者はもういない。JAL 長田博文支店長に聞くグアムの現況

 グアム政府観光局によると、2017年のグアム来島者数は約154万人で、そのうち40%の約62万人が日本人、44%の約68万人が韓国人であったという。しかし、その前年(2016年)は日本人が約75万人、韓国人が約54万人であり、わずか1年でそれぞれ16.8%減、25.6%増と、完全に逆転してしまったことが分かる。日本人旅行者の減少は言うまでもなく北朝鮮の影響で、2017年8月以降に修学旅行など団体客のキャンセルが相次ぎ、デルタ航空の撤退やユナイテッド航空の運休に至ったのはよく知られているとおりだ。

 とはいえ、グアム来島者数で見ると、2015年に約141万人、2016年に約153万人とここ数年は増え続けており、2017年は減った日本人旅行者の分を、韓国人旅行者が埋めた格好といえる。また、月別の推移では、確かに8月から11月にかけての来島者数は2016年を下回っているが、11月から12月は2016年と同程度で推移している(Guam Visitors Bureauによる2017年の来島者数統計)。

 もっと直近の2018年2月単月のデータでは、日本人の来島者(1カ月)は約4万7000人。前年同月(2017年2月)が約5万4000人なので回復したとはいえないが、比率では-14.3%で、減少には歯止めがかかったと見ることができる。実際、ここ最近のJL941便は満席が続いており、JL8941便も4月上旬までほぼ空席がないという。もちろん、3月下旬から4月上旬は春休みというプラス材料もあるが、JAL グアム支店 支店長の長田博文氏は、「北朝鮮の影響を気にする利用者はもういない」という。

 特に2017年12月、グアム政府観光局がAKB48を公式インスタグラマーとして起用した「#instaGuamキャンペーン」の露出が増えた時期と、JALがグアム増便を発表した時期はちょうど重なっており、そのあたりからは潮目が変わるのを感じたとのこと。

日本航空株式会社 グアム支店 支店長 長田博文氏

 長田氏は2016年7月にグアム支店長に着任、北朝鮮の影響を目の当たりにしてきた。「非常に堅調だった」というグアム線は2017年後半にロードファクター(有償座席利用率)がガタッと下がったが、JALとしては「あくまで一時的なもので、十分回復の見込みがある」との判断があり、この増便は減少した日本~グアム間のキャパシティ(座席数)を補って、自らのビジネスを大きくすると同時に「JALがグアムの経済や観光振興に貢献したい」という意味合いもあるという。

 一方、課題として長田氏が挙げたのはラウンジと機内食だ。ラウンジは現在共用ラウンジが空港内に2カ所あるのみで、サクララウンジのようなJAL専用ではない。JAL便ビジネスクラス搭乗者などが利用できるのは、大韓航空やチャイナエアラインなどと共用の「Sagan Bisita(サガンビスタ)」ラウンジ。席数は179席と十分に思えるが、「質的にはJALスタンダードではない」ため、ラウンジ内の一部をJAL専用としてリノベーションすることも検討しているという。

 また、グアムには機内食を作るケータリング会社が1つしかなく、協力して改良を進めてはいるが、特に白米を美味しく炊くのが難しい。ということもあって、現状の機内食の選択肢は和洋ではなく洋洋となっている。

 逆にグアムの長所としては、フライトが3時間程度と短く時差が少ない(+1時間)ことがまず挙げられ、初めての海外や幼児/子供を連れた家族旅行、歩行が困難なお年寄りなどにも優しい渡航先といえる。実際、記者が取材で滞在した期間中に、1便で60以上のチャイルドミール(2歳以上12歳未満向けの食事)の予約が入っていることもあった。また、グアムは12月から5月が乾季でベストシーズンのため、気候については「高湿で肌に優しく、あったかいという表現がぴったり」だそうで、高い山がなく雲の流れが速いので、雨季でもすぐに雨がやむという特徴がある。

グアム支店のスタッフを中心に