ニュース

小田急、複々線完成に向けた新ダイヤ発表、2018年3月から

「“混んでいて遅い”というイメージを一新することができる」と星野社長

2017年11月1日 実施

小田急、複々線完成に向けた新ダイヤ発表、2018年3月から 小田急は11月1日、複々線完成に伴う新ダイヤの発表を行なった。写真は小田急電鉄株式会社 代表取締役社長 星野晃司氏
小田急は11月1日、複々線完成に伴う新ダイヤの発表を行なった。写真は小田急電鉄株式会社 代表取締役社長 星野晃司氏

 小田急(小田急電鉄)は11月1日、記者会見を行ない新ダイヤの発表を行なった。新ダイヤによる運行は、複々線完成後の2018年3月中旬ごろとなっている。

 同社が推し進めている複々線化事業は、代々木上原駅~登戸駅間の約11.7kmで行なわれている。複々線とは、従来上り、下り1線ずつの線路が、それぞれ2線ずつの合計4線ある状態のこと。

 複々線化では、各駅列車と急行列車が別々の線路を走行することになるため、朝のラッシュ時でも急行列車は各駅列車の影響を受けずに運行でき、また各駅停車も急行列車の通過待ちの必要がなくなるためスピーディーな運行が可能になる。

小田急、複々線完成に向けた新ダイヤ発表、2018年3月から 複々線化について
小田急、複々線完成に向けた新ダイヤ発表、2018年3月から 複々線化について
複々線化について

 会見では小田急 代表取締役社長の星野晃司氏が、複々線の完成は長年にわたる悲願であるとし「小田急は『混んでいて遅い』という意見をもらっていたが、やっとそのイメージを一新することができる」と胸を張った。また、鉄道会社の根幹となるのは、快適な輸送サービスの提供であるという考えを示し、「今後は利用客に快適でスピーディーな通勤・通学の在り方を提供できるようになる。『快適で、便利で、スピーディー』。小田急は変わります。新しい小田急の誕生に皆さまどうぞご期待ください」と話し、挨拶を終了した。

新ダイヤのポイントは「混雑緩和」「所要時間の短縮」「乗り換えなしで都心へ」「座って快適通勤」

小田急、複々線完成に向けた新ダイヤ発表、2018年3月から 新ダイヤ4つのポイント
新ダイヤ4つのポイント
小田急、複々線完成に向けた新ダイヤ発表、2018年3月から 混雑緩和について
混雑緩和について

 新ダイヤでは、列車の増発を行ない朝の通勤時間帯の緩和を実現する。小田原線の朝のラッシュピーク時には、都心へ向かう上り列車の本数を現在の27本から36本へと増発。同路線の世田谷代田駅~下北沢駅間は混雑率が192%と首都圏の主要区間内ではワースト3(2016年度)だったのが、150%程度(20位圏内)まで改善される見込みとしている。また混雑緩和により、乗り降りがスムーズになることから定時制の向上も期待できるとした。

 次に新ダイヤ編成に伴い、朝の通勤時間帯の列車種別と停車駅の見直しを実施。町田駅~新宿駅間の快速急行を、朝6時から9時30分まで28本に増発。新しい停車駅に登戸駅を追加すると発表した。また多摩線には、朝の通勤時間限定として通勤急行を新設すると発表した。

 これらの見直しにより、新宿までの所要時間は町田からは12分短縮されて37分、登戸からは約9分短縮されて18分、小田急多摩センターからは14分短縮されて40分となっている。

 そのほか平日朝の通勤時間帯で、乗り換えなしで表参道、霞ケ関、大手町方面への通勤が可能な東京メトロ千代田線への直通列車を28本へ増発。乗り換えなしで表参道、霞ケ関、大手町方面への通勤が可能になる。さらに小田急多摩線や江ノ島線でも通勤急行や急行、快速急行を増発し新宿までの直通運転を行なう。

 同社は、座って快適に通勤ができるよう通勤特急ロマンスカーを運行しているが、2018年3月からは着席機会の拡大も実施。通勤特急ロマンスカーは11本に増発、さらに新宿や大手町に行く特急ロマンスカーを合計7本を運行。新宿行きは「モーニングウェイ号」、千代田線直通列車は「メトロモーニングウェイ号」と名称を変更する。

小田急、複々線完成に向けた新ダイヤ発表、2018年3月から 所要時間短縮について
小田急、複々線完成に向けた新ダイヤ発表、2018年3月から 所要時間短縮について
所要時間短縮について
小田急、複々線完成に向けた新ダイヤ発表、2018年3月から 乗り換えなしで都心へ
小田急、複々線完成に向けた新ダイヤ発表、2018年3月から 乗り換えなしで都心へ
乗り換えなしで都心へ
小田急、複々線完成に向けた新ダイヤ発表、2018年3月から 座って快適通勤
小田急、複々線完成に向けた新ダイヤ発表、2018年3月から 座って快適通勤
座って快適通勤

 これ以外にもより多くの利用客に着席通勤をしてもらう施策として、成城学園前駅、向ヶ丘遊園駅、小田急多摩センター駅、海老名駅、本厚木駅、藤沢駅などの途中駅を各駅列車の始発とすることを発表した。そのほか、夕夜間の下り列車は39本増発、終電の繰り下げも行なうことに、小田急 取締役 交通サービス事業本部長の五十嵐秀氏は「これまでよりも気持ちに余裕をもってご帰宅いただける」とした。

 五十嵐氏は、観光に関しても新ダイヤの効果で新宿から箱根方面へのアクセスがより早く、便利になっていると説明。同社が新宿駅から箱根湯本駅まで運行している「スーパー箱根号」は2本増発して合計4本を運行するほか、箱根により長く滞在できるよう、ロマンスカーの新宿行き最終を箱根湯本22時07分発(現在は20時53分発)へと大幅に繰り下げる。

小田急、複々線完成に向けた新ダイヤ発表、2018年3月から 小田急電鉄株式会社 取締役 交通サービス事業本部長五十嵐秀氏
小田急電鉄株式会社 取締役 交通サービス事業本部長五十嵐秀氏

 新宿駅~小田原駅までの所要時間は59分とこれまでより5分短縮したことに「新宿から小田原まで60分以内の運転は、小田急線開業以来の悲願であり、ついに目標を達成することができた」と喜びを語った。さらに、新型特急ロマンスカー 70000系を導入予定であることも発表した。なお、現在運行している7000系は古い車両であることから引退する予定であるとのこと。

 また、片瀬江ノ島方面へは北千住駅~片瀬江ノ島駅間に東京メトロ千代田線直通特急ロマンスカー「メトロえのしま号」を新設するほか、新宿駅~片瀬江ノ島駅間には乗り換え不要の「快速急行」を運行すると発表した。

小田急、複々線完成に向けた新ダイヤ発表、2018年3月から 箱根方面の運行
箱根方面の運行
小田急、複々線完成に向けた新ダイヤ発表、2018年3月から 江ノ島方面の運行
江ノ島方面の運行