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JAL、ビスタラと提携。コードシェアでムンバイほかインド国内20地点にネットワーク拡大

マイレージ提携、ラウンジ相互利用も検討

2017年9月7日 発表

JALとインドのビスタラがコードシェアなどで提携

 JAL(日本航空)は9月7日、インドの航空会社ビスタラ(Vistara)との提携を発表し、ニューデリー市内のホテルで記者会見を行なった。JALとビスタラは、以前から両社をまたいでの発券(インターライン)やスルーチェックインなどを実施してきたが、利便性やサービス品質向上のため、JALの成田~デリー線および国内線、ビスタラのインド国内線でコードシェアを2018年度中に実施する。また、準備が整い次第、2018年度以降にマイレージ提携やラウンジの相互利用などにも踏み切る。

 ビスタラはタタサンズとシンガポール航空の合弁会社で、2015年1月に運航を開始。デリー空港(インディラ・ガンディー国際空港)をハブに、インド国内20地点に週664便を展開している。

ビスタラのデリー発インド国内路線

ムンバイ、バンガロール、コルカタ、ハイデラバード、アフマダーバード、プネー、コーチ、ゴア、ラクナウ、ブバネーシュワル、レー、バッグドグラ、チャンディーガル、アムリトサル、グワーハーティー、シュリーナガル、ポートブレア、ジャンムー、ヴァーラーナシー、ラーンチー

会見に臨んだのは、左から日本航空株式会社 デリー支店 支店長 成瀬真也氏、同代表取締役副社長 藤田直志氏、Vistara CEO Phee Teik Yeoh氏、同CSO/CCO Sanjiv Kapoor氏

 会見では、JAL 代表取締役副社長の藤田直志氏とビスタラ CEOのPhee Teik Yeoh氏がともに互いの国を重要なマーケットと捉えている、と話した。藤田氏は、会見前日に搭乗したビスタラのムンバイ~デリー線のフライトの快適さを賞賛し、さらに2010年の破綻後に掲げた“JALフィロソフィ”を紹介。ビスタラとの提携で顧客満足度をさらに高めていく、とした。Yeoh氏は、ビスタラとインドにとって日本は重要なマーケットであり、この提携は始まりに過ぎず、今後よりわくわくするような施策を展開したい、と述べた。

日本航空株式会社 代表取締役副社長 藤田直志氏
Vistara CEO Phee Teik Yeoh氏
藤田直志氏とPhee Teik Yeoh氏が調印、互いのモデルプレーンを手にするなどして記念撮影に応じた

 会見後、藤田氏が本誌のインタビューに応じた。藤田氏によれば、12億超の人口を抱えるインドはインバウンドの誘客で重要な存在だが、JALはこれまで提携先を持っていなかった。そうしたなか提携先の候補としてビスタラが挙がり、プレミアムサービスに力を入れるなど、サービス品質を重視する航空会社であることが決め手の1つになったという。もう1点はビスタラがデリーをハブ空港にしていることで、デイリー運航の成田~デリー線を持つJALは、インド国内へのネットワークを「線から面へ」大きく拡大できることが魅力であったという。

 ビスタラが2015年設立という非常に若い航空会社であることについて藤田氏は、「これからの会社」と断わりつつ、会見前日に同社のムンバイ~デリー線に搭乗した際、定時性を守ろうとする姿勢や機内サービスなどに触れて「センスがよい」と感じたという。新興の航空会社はLCCが多いなか、フルサービスキャリアとして一線を画したサービスを提供している、と印象を話した。

 また、会見中に両社からたびたび「Philosophy(哲学)」という単語が語られたが、これについては、多くの航空会社が座席を増やして航空機を購入し、早く投資を回収するという動きになりがちななか、「お客さま視点である」「エアラインが本来目指すべき顧客満足度を大事にしている」という姿勢はJALの哲学と通じる、とした。

 まずはコードシェアから提携をはじめるが、ゆくゆくは互いの機内誌で互いの国と地方を紹介するような試みもできたら、と藤田氏。「インドの人に聞くと、あまり日本の地方を知らない。東京に行ったことがあるだけ、とか」と話し、東京・大阪・京都といった著名な大都市ではなく、例えば四国や東北など新・JAPAN PROJECTで特集しているような地域をビスタラの機内誌に掲載することで、インド国内の旅行者が日本各地に興味を持つ流れを作りたいと展望を述べた。