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JAL・別府市・立命館アジア太平洋大学、産学官の包括連携協定締結

インバウンドへの取り組みや子供対象のラグビー大会開催など

2017年7月24日 締結

JAL、別府市、立命館アジア太平洋大学による包括連携協定が締結された

 JAL(日本航空)、大分県別府市、立命館アジア太平洋大学は7月24日、包括連携協定を締結した。

 JALは日本各地の自治体と観光振興などの連携協定を結んでいるが、大学を含む「産学官」での協定はこれが初めてとなる。同日、別府市役所において締結式が行なわれた。

会場となった別府市役所
締結式は市役所内のレセプションホールで行なわれた
別府市 副市長 猪又真介氏

 包括連携協定の締結式は、別府市役所のレセプションホールで行なわれた。式の冒頭、別府市 副市長の猪又真介氏より、協定の概要が説明された。

「この協定でございますが、『国際性』というキーワードと関わりの強い『産学官』の3者が、それぞれが許す限りにおいて、人的・知的あるいは物的知見を持ち寄り、次の3点について取り組んでまいります」と説明。項目は以下のとおり。

  • 観光、インバウンドに関すること:JALや別府市の持つコンテンツ制作に立命館アジア太平洋大学の学生やJAL社員が協力、別府市や立命館アジア太平洋大学へ海外からのインバウンド増加を促すための取り組みなどを検討し推進する
  • スポーツ振興・合宿誘致に関すること:JALと立命館アジア太平洋大学ラグビー部の合同練習の継続、JALが検討している地域の子供対象のラグビー大会への学生の協力連携を進める
  • 食の振興に関すること:JAL国内線ファーストクラスに採用された別府市の「内成(うちなり)棚田米」の棚田の風景を後世に残す取り組みを立命館アジア太平洋大学の教員や学生と支援していく。
  • そのほか、相互に活性化に関すること

 以上の分野に関して相互連携していく。続いて3者の代表による協定書へのサインが行なわれ、協定締結となった。

左から日本航空株式会社 九州・山口地区支配人 溝之上正充氏、別府市 市長 長野恭絋氏、立命館アジア太平洋大学 副学長 今村正治氏
協定書へサイン
関係者による記念撮影
別府市 市長 長野恭絋氏

 別府市 市長の長野恭絋氏は「本日の包括連携協定が、今この場で締結できましたことを大変光栄な思いでございます。JALさま、立命館アジア太平洋大学さまとそれぞれが各分野で尖った施策・活動をされておりますので、別府市といたしましても今以上に尖っていかなくてはというプレッシャーもございます。

 両者と常に顔を合わせていき、問題の解決だけでなく、さらなるイノベーションが起こる期待もございます。別府市はさまざまなブランディングやプロモーションをしているところですが、まだまだ力が足りない認識もありますので、さらなる国際化を目指すうえで、今回の連携によってさらなる飛躍をさせていただけると実感しているところでございます。

 これまでも連携してきた3者でございますが、より一層、身のある協定としていきたいと思いますので、お力添えをお願い申し上げます。

 別府市としては、国内向けのプロモーションは充足しているが、2020年東京オリンピック・パラリンピック開催までに、ASEAN地域だけでなく欧米やヨーロッパといった海外にアピールしていくために、どのように認知してもらうかが課題と感じています。

 例えば、立命館アジア太平洋大学に留学している海外の学生たちが、別府市で豊かな自然と共生をしている様子を発信してもらうことも別府市の魅力を伝えていく大きな要素です」と海外への認知度向上に向けてアイデアなどが語られた。

立命館アジア太平洋大学 副学長 今村正治氏

 立命館アジア太平洋大学 副学長の今村正治氏は、「立命館アジア太平洋大学は、設立からそろそろ20年になろうとしています。大分県民、そして別府市民の皆さまに作っていただき大きくなってきました。6000人もの学生がいて、約90の海外の国から学びに来ていただいております。

 長い間、本当の意味での地域への貢献を考えておりました。そうしたところ、日本航空さまからお声がけいただきました。別府市さんと私たちからすると大きな翼が生えたという感覚でございます。

 キャンパスから寮まで一本道がありますが、滑走路に見立ててどんどん学生に羽ばたいていってほしいと願っております。観光・スポーツ・産業創出、すべてにおいて3者で創造していきたいと思います」と挨拶した。

日本航空株式会社 九州・山口地区支配人 溝之上正充氏

 JAL 九州・山口地区支配人の溝之上正充氏は、「この度の『産官学』という連携が実現できましたこと、大変うれしく思います。これまで別府市さんと立命館アジア太平洋大学さんとは個別に取り組みをさせていただいておりました。

 別府市さんとJAL大分支店で観光サイト『極楽地獄』や、地域創生プログラム「新・JAPAN PROJECT」で5月に大分をご紹介させていただきました。立命館アジア太平洋大学さんともCA(客室乗務員)やパイロット(運航乗務員)の特別講義などを行なってまいりました。

 そうしたなか、共通の課題をより解決に進めることができるのではないか、ということで3者の協定に至りました。国際観光都市の別府市、6000人のうち約半数が留学生という国際色豊かな立命館アジア太平洋大学さん、そして国際ネットワークを持つ弊社が協定に至るのも自然な流れだったと思います。

 インバウンドが喫緊の課題かと感じておりますが、立命館アジア太平洋大学の学生さんに動画を作っていただき、国際線で放映する手法を検討しております。もう一つはFAM(視察)トリップ。欧米からのロングステイを狙っておりますが、発信力の高いブロガーなどに来ていただいて、魅力を知ってもらうことも大事なプランです。スポーツ振興に関しましては、小学生を中心にしたラグビーのカップを開催してみたいと思っています」と話した。