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JAL、羽田~ニューヨーク線を就航。国内27空港から同日乗り継ぎが可能に

羽田からも成田からもニューヨークへ。両路線ともボーイング 777-300ER型機「JAL SKY SUITE 777(SS7)」で運航

2017年4月1日 就航

羽田~ニューヨーク線の初便となるJL006便出発前にはセレモニーが開催された。写真左から3代目制服を着用したCA(客室乗務員)の瀬川氏、1966年の初便にCAとして乗務した高橋氏、アメリカン航空 営業本部長 永井哲也氏、大田区長 松原忠義氏、日本航空株式会社 代表取締役社長 植木義晴氏、国土交通省 東京航空局 東京空港事務所 東京国際空港長 今込毅氏、東京国際空港ターミナル株式会社 代表取締役社長 土井勝二氏、在日米国大使館 商務部 上席商務官 百合・アン・アーサー氏、6代目制服を着用したCAの鳥井氏

 JAL(日本航空)は4月1日、羽田空港~ジョン・F・ケネディ国際空港(ニューヨーク)線を就航した。機材はボーイング 777-300ER型機(SS7)で、週7便の運航。羽田を10時台に出発し、同日の10時台にニューヨークへ到着となるため、到着日の日中の時間をより多くとれることになる。

 既存の成田~ニューヨーク線は週14便から7便に減便するが、羽田~ニューヨーク線が週7便で就航することで、首都圏では2つの空港からニューヨークへ、週14便の選択肢のなかから行けるようになる。ちなみに成田~ニューヨーク線は減便したものの、機材をボーイング 787-8型機(SS8)から羽田線と同じ777-300ER型機(SS7)に大型化している。

 就航初日は、羽田空港 国際線ターミナルの112番搭乗口付近において、初便となるJL006便の搭乗前にセレモニーが開催されたので、その模様をお伝えする。

羽田空港 国際線ターミナルの112番搭乗口付近において、初便となるJL006便の搭乗前にセレモニーが開催された
4月1日に就航した羽田~ニューヨーク線

JL006便:羽田(10時40分)発~ニューヨーク(10時35分着) ※5~8月は10分遅着
JL005便:ニューヨーク(13時10分)発~羽田(翌16時25分着) ※5~8月は15分遅着

減便と機材の大型化を行なった成田~ニューヨーク線

JL004便:成田(18時25分)発~ニューヨーク(18時20分)着 ※5~8月は10分早発
JL003便:ニューヨーク(11時30分)発~羽田(翌14時40分)着 ※5~8月は10分遅発
(3月26日/27日から、機材をボーイング 787-8型機から777-300ER型機に変更)

日本各地から羽田で乗り継ぎ、当日のうちにニューヨークへ

 JALは1966年11月12日に、DC-8型機「SETO号」(登録記号:JA8015)を使い羽田~ニューヨーク線を就航している。しかし、1978年の成田空港開港で、ニューヨーク線を羽田から成田へ移管した。そのため、JALにとっては39年ぶりの羽田~ニューヨーク線となる。

112番搭乗口のモニターでは、1966年就航当時に撮影されたさまざまな写真が紹介されていた
1966年就航当時を振り返る展示物も
日本航空株式会社 代表取締役社長 植木義晴氏

 セレモニーの冒頭、JAL 代表取締役社長 植木義晴氏が挨拶を行なった。搭乗客、セレモニーの来賓客、羽田~ニューヨーク線就航に関わった人たちへの感謝を述べたあと、JALにとって羽田からアメリカへはサンフランシスコ線、アメリカン航空とのコードシェアによるロサンゼルス線に続く3番目の路線であることを紹介。

 成田とともに羽田という選択肢が加わったことで、首都圏からビジネス、観光でニューヨークへ向かう人の利便性が高まったとともに、10時40分羽田発、帰りが16時25分羽田到着というダイヤによって、羽田空港の豊富な国内路線網を使い、日本各地から羽田で乗り継ぎ、当日のうちにニューヨークへ行けるようになったことを説明した。

 また、使用される機材が羽田・成田ともにボーイング 777-300ER型機であり、ファーストクラス、ビジネスクラス、プレミアムエコノミークラス、エコノミークラスと4クラスを備え、1便で最大244名が搭乗できることに触れ、「お客さまに、我々が提供する最高のサービスを味わっていただければと考えております。今日から新年度となりますが、このニューヨーク線も含めまして、引き続き日本航空をご愛顧いただければと思います」と挨拶を終えた。

 ちなみにボーイング 777-300ER型機の機内仕様は「JAL SKY SUITE 777」(SS7)で、ファーストクラス8席、ビジネスクラス49席、プレミアムエコノミークラス40席、エコノミークラス147席となっている。

JALのニューヨーク線で羽田空港の国際化がまた一歩前進

国土交通省 東京航空局 東京空港事務所 東京国際空港長 今込毅氏

 続いて羽田空港の東京国際空港長 今込毅氏が登壇。就航へのお祝いを述べたあと、「これでまた羽田空港の国際化というものが一歩前進したと考えております」と話し、羽田空港の歴史を振り返った。

 2010年の4本目の滑走路、国際線ターミナルビル供用開始以降、加速度的に羽田空港の国際化が進み、19カ国、31都市に最大1日約110便の国際線が羽田空港から飛んでいると紹介。

 2020年にはさらに年間の発着枠を1日約50便分増やし、その大部分が国際線に配分される計画であることから、「世界中から羽田空港を訪れる皆さま、日本の皆さまが、羽田空港が安全で安心で快適であることを実感していただけるよう、すべての職員が安全第一で引き続き仕事に取り組んでまいります」と挨拶した。

JALの羽田~ニューヨーク線就航は、大田区はもちろん、日本の発展にとっても素晴らしいこと

大田区長 松原忠義氏

 羽田空港がある大田区からは、区長の松原忠義氏が挨拶。「待ちに待った日本航空さまによる羽田~ニューヨーク線就航をとてもうれしく思っております。世界でも有数の都市であるニューヨークと東京が結び付くことは、とてもすばらしい相乗効果を出していくのではと思っています」と期待を寄せた。

 大田区では、羽田空港があるこのエリアに2020年までに産業交流施設・拠点を立ち上げる計画で、この地で世界の商取引が進められるようになれば、羽田空港の重要性はますます高まるとし、「アメリカからたくさんの方々に来ていただいて、この大田区で商取引に参加していただければたいへんありがたい。歴史と伝統のある日本航空さまが東京とニューヨークとを結んでくださったことは、大田区はもちろん、日本の発展にとっても素晴らしいことだと考えております」と話した。

初便の搭乗客にはジャズの演奏と記念グッズをプレゼント

 このあと、植木社長や来賓らによる記念のテープカットが行なわれた。セレモニーには、羽田~ニューヨーク線が1966年に就航した当時の3代目制服と、ニューヨーク線が成田に移管される前の時代の6代目の制服を着用したCA(客室乗務員)、さらに男性客室乗務員として1966年の初便に乗務した高橋氏が、当時の男性用制服を着用して登場。来賓や搭乗客との記念撮影に参加した。

植木社長や来賓らによる記念のテープカットが行なわれた
JL006便機長 菱沼洋氏

 また、JL006便の機長である菱沼洋氏からは、「羽田空港発着便の就航によって、日本の各地からニューヨークへの空の旅がより身近になりまして、双方の交流がより充実するものと思われます。安全運航に努めてまいります。ニューヨークまでご一緒させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします」との搭乗客への挨拶もあった。

 セレモニーの最後にはJALスタッフ有志によるジャズの演奏とダンスが披露され、搭乗開始後もそのまま演奏によるお見送りが行なわれた。搭乗客には記念のメッセージカード、ステッカー、メモ帳がプレゼントされ、さらにファーストクラス/ビジネスクラス客にはボールペンもプレゼントされた。植木社長をはじめとするJALスタッフが見守るなか、205名の搭乗客を乗せたJL006便は10時41分にプッシュバック開始、11時03分にニューヨークへ向かって離陸した。

JL006便の機長である菱沼洋氏をはじめとする運航乗務員の記念撮影
JL006便に乗務するCAの記念撮影
JALスタッフ有志によってジャズの演奏とダンスが披露された
JALスタッフ有志によるジャズの演奏とダンス
JL006便の搭乗開始
搭乗客には記念のメッセージカード、ステッカー、メモ帳などがプレゼントされた
メッセージカード
メモ帳
ステッカー
ボールペン
JALスタッフは演奏をしながらのお見送り
205名の搭乗客を乗せたJL006便は10時41分にプッシュバック開始、11時03分にニューヨークに向かって離陸した

 JL006便が旅立ったあとの植木社長の囲み取材では、いわゆる8月10日ペーパーが3月末日で終了したことについて、「我々はニューヨークへ羽田からどうしても飛ばしたいと思っていた」と、4月1日早々に就航したことを感慨深げに語り、この就航により乗り継ぎの利便性が増して、日本各地(国内27空港)からニューヨークへ、またニューヨークから日本各地への同日中の移動が可能になったことをあらためて強調した。

 また、4月28日に予定されている決算発表以降、2017年度からの中期計画について発表すると説明。2012年~2016年の5カ年の中期計画は経営破たん後、初めての中期計画だったため、しっかりとした収益の体制、基盤づくりの5カ年だったと振り返りつつ、2017年からの中期計画については、「質の成長、量の成長、両方を踏まえたものにしようと思っています」と指針を述べた。

羽田~ニューヨーク線の出発を見送る植木社長とJALスタッフ