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JR東日本グループ、地域再発見プロジェクトの一環として「信州ジビエ女子会」を実施
「トレンドに敏感」で「お肉大好き」な女性を通じてヘルシーなジビエの魅力を発信
2017年1月11日 19:28
- 2016年12月5日 実施
JR東日本(東日本旅客鉄道)グループは、12月5日に東京・銀座にある「銀座NAGANO」2階のイベントブースにおいて、「信州ジビエ女子会」を開催した。招待されたのは「トレンドに敏感」で「お肉大好き」な女性10名。ジビエは「臭い」「硬い」「高い」という一部の固定概念を覆す料理を食べてもらい、情報発信力のある彼女たちにInstagramなどのSNSを通じて“今どき”の美味しいジビエを発信してもらうというものだ。
今回は提供された料理など「信州ジビエ女子会」の様子と、JR東日本グループがなぜジビエ料理に取り組んでいるのか、その狙いについて話を聞くことができたのでレポートする。
JR東日本グループでは、鉄道ネットワークと首都圏での販路を活かし、日本各地の地産商品の掘り起こしや観光資源の紹介を行ない、地域の雇用・交流人口の創出、資源の活性化を目指す「地域再発見プロジェクト」を展開している。
その「地域再発見プロジェクト」の一環として、長野エリア/千葉エリアで狩獲した獣肉を「信州ジビエ」「房総ジビエ」として、2011年から首都圏エリアなどで提供している。
そういったジビエメニューが実は「高たんぱく」で「低カロリー」であり、女性にもお勧めできる食材であることをより多くの人に知ってもらえたらという狙いで、今回のイベントが企画された。
信州産の鹿肉を使ったジビエ料理をホテルメトロポリタン長野の総料理長が調理
「信州ジビエ女子会」の料理を担当したのは、長野県信州ジビエ研究会役員 需要拡大部 会長 兼 信州ジビエマイスター指導講師という肩書をもち、ホテルメトロポリタン長野の総料理長である板花芳博氏。今回は信州産の鹿肉を使った料理で腕を振るった。
ヨーロッパでは高級食材として人気があるジビエ(Gibier)。狩獲したシカやイノシシなど、野生の獣や鳥の肉のことを指すフランス語だ。ジビエは、牛や豚、鶏などのような家畜と違って、その季節によって独特の風味が存在する。その風味はときとしてクセになるわけだが、処理や調理法の研究により、美味しく、クセもなく楽しめる食材になったそうだ。
当日用意された信州産の鹿肉は、高タンパク質で低脂肪なうえ、鉄分も牛肉の約2倍、豚肉や鶏肉の約5倍以上とのことで、とても豊富。最近、ダイエットで注目されている機能性アミノ酸「L-カルニチン」も牛肉の約1.5倍、豚肉の約6倍含まれており、脂肪燃焼の促進や抗疲労効果があるとされているそうだ。
板花氏は「皆さん色々なところでジビエ料理を食べられているかと思いますが、たぶん初めての食べ方だと思います」と話しながら、「鹿外もも肉ミートローフ」「ローストディアーのサラダ添え」「鹿肉もも肉のコンフィピザ」「鹿肉ロース肉のポワレ」などの料理を紹介。「鹿肉は女性にピッタリの素材です。本日、こちらの料理を食べていただいて、いいなと思ったら長野県にぜひ来てください」と挨拶した。
JR東日本グループが進める「地域再発見プロジェクト」の一環としての「ジビエ」
「信州ジビエ女子会」のあとに、JR東日本グループの「地域再発見プロジェクト」とその取り組みの1つであるジビエについて、JR東日本 事業創造本部 地域活性化部門 地域活性化グループの今永恵梨氏に話を聞いた。
JR東日本グループ全体においても「人口の減少」と「輸送量の減少」は見過ごすことができない問題として捉えており、グループの経営構想に地域との連携強化を据えている。そこでグループとして、地域活性化の取り組みとして「地域再発見プロジェクト」を行なっている。
プロジェクトは地域と連携し、観光資源の発掘、旅行商品の提案、地産品の掘り起こしや開発といったものを首都圏に発信していく。その取り組みを通じて、首都圏からは人が地域に、地域からはモノが首都圏に流れるようにし、地域の雇用創出や資源の活性化、交流人口の創出を図り、「地域と首都圏を結ぶ強みを活かした、人と物の循環を作っていきたいと考えています」と、プロジェクト全体について説明してくれた。
そのプロジェクトの情報発信の場として、地産品ショップ「のもの」を、秋葉原と上野にオープン。また、地域の食材を使用した「のものキッチン」を秋葉原と池袋に、「のもの居酒屋」を上野にオープンしている。
そして情報発信だけでなく、より踏み込んだ取り組みとして始めたのが「のもの1-2-3プロジェクト」だ。これは、農作物などの素材(1次)、加工(2次)、ニーズに合う商品開発と販売(3次)を推進し、「6次産業化」していく取り組みで、いろいろな地域でモノ作りが始まっているが、そのなかの1つがこれらジビエとのことだ。
ジビエを取り上げた背景には、現在問題になっている野生鳥獣による農業への被害がある。国の政策として、狩猟による個体数の調整は推進されているのだが、狩猟後にはその90%以上が有効活用されていないのが現状だという。
「せっかくの山の恵みをなんとか活用できないのか」。そこで注目されているのがジビエであり、長野県の蓼科でオーベルジュを営みながらジビエ普及に取り組む藤木徳彦氏(日本ジビエ振興協議会理事長)の申し出もあり、この取り組みが始まったそうだ。
鹿肉を使ったカレーなどから始まったこのジビエメニューだが、ジビエ本来の肉の醍醐味をより伝えるために開発されたのが「鹿肉バーガー」。これが一躍「エキナカのジビエ」の認知度を上げてくれたそうだ。
エキナカのファーストフード店「ベッカーズ」で提供されたことから若い世代に注目され、ニーズにもマッチ。SNSなども通じて瞬く間に広がり、人気商品として多くのリピーターを生んでいるそうだ。
2016年は11月1日から、リニューアルされた「別格 信州ジビエ ザ★鹿肉バーガー」(720円)を2017年1月31日までの期間限定商品として、「ベッカーズ」「R・ベッカーズ」の17店舗で販売している。提供予定食数は前年度より30%増の2万食で、売り切れ次第終了となる。また、イノシシ被害が多い千葉県で捕獲されたイノシシ肉を使った「房総ジビエ 猪そば」(680円)を、そば屋の「あずみ」6店舗で、これも1万食限定で提供している。
このようなエキナカでの飲食展開をはじめとして、産直市などでのイベントや車内販売、ホテルでのメニュー展開、ショッピングセンターでの商品展開を行ないつつ、さらなる需要拡大として「夏ジビエ」といった新たなキャンペーンも始めている。
今後は、2017年9月30日まで開催される長野県の観光誘致キャンペーン「信州デスティネーションキャンペーン」を目標に、今回行なわれた「信州ジビエ女子会」のようなさまざまな施策を通じて、ジビエに対する理解を広め、深めてもらい、JR東日本のジビエビジネスを拡大していきたいとのことだ。
ベッカーズ「別格 信州ジビエ ザ★鹿肉バーガー」
販売期間:2016年11月1日~2017年1月31日(※売り切れ次第終了)
価格:720円
販売店舗:「ベッカーズ」「R・ベッカーズ」17店舗
提供食数:2万食
2013年に発売されて以来、人気の鹿肉ハンバーガー。信州産の鹿肉を使用したクセの少ないミートパティに、信州産あわび茸に鹿肉の旨みを加えた特製デミグラスソースを合わせた一品。“別格”シリーズの商品なので、アツアツで提供されるのもポイント。
ホテルメトロポリタン長野「美味彩ランチ A」
販売期間:2016年11月15日~2017年2月15日 ランチ11時30分~14時30分
価格:2480円
販売店舗:ホテルメトロポリタン長野 中国料理「皇華」
TEL:026-291-7064
人気メニューの「美味彩ランチ A」(主菜8種類より2品チョイス)に、信州ジビエのシカ肉を使ったメニューが1~2種類加わる。
ホテルメトロポリタン長野「季節会席 舞-まい-」
販売期間:2016年11月15日~2017年2月15日 ディナー17時30分~21時(ラストオーダー)
価格:5000円
販売店舗:ホテルメトロポリタン長野 日本料理「しなの」
TEL:026-291-7062
季節の味覚を味わえる夜の会席「舞」に、信州ジビエのシカ肉を使った「鹿肉の大和煮」が加わる。