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【インタビュー】羽田~コナ直行便就航。ハワイ島観光局 ロス・バーチ局長に島の魅力と2017年の展開を聞いた

ハワイ州観光局 「もう一つの、ハワイ。」

 2016年12月21日より、約6年ぶりにハワイ島コナ国際空港への直航便が就航。ハワイファンの期待値の高さはもちろん、利便性が上がったことで「ならば訪れてみよう」と思うビジターも多いはず。直航便就航にあたり来日したハワイ島観光局 局長のロス・バーチ氏、そしてハワイ州観光局 局次長 ミツエ・ヴァーレイ氏に島の魅力と2017年の展開について話を聞いた。

 ハワイ諸島最大の面積を誇り、火山の噴火により生まれたハワイ諸島で一番新しい島ハワイ島。現在も成長し続けており、世界で最も活発な火山ともいわれるキラウエアを含む「ハワイ火山国立公園」や、マウナケアの天文台をはじめ、ダイナミックな自然を肌で感じられる名所がたっぷり。1996年から2010年までJAL(日本航空)が定期便を運行していた。今回6年ぶりにハワイアン航空が羽田空港から直行便を週3回就航し注目を集めている。

ハワイ島観光局 局長 ロス・バーチ氏(左)、ハワイ州観光局 局次長 ミツエ・ヴァーレイ氏(右)

2017年第1四半期は直行便の認知アップ

――直行便が12月21日より就航しました。ビジターからの注目度がとても高いですが、ハワイ島観光局としては今後どのような展開をしていくのでしょうか?

ロス・バーチ氏:待ちに待った直行便の復活。島を挙げて日本から訪れるみなさまを待っているという状況です。路線が増えたことでハワイ島のビジネスの活性化にもつながりますので、日本のマーケットの中でも存在感を出していきたいと考えております。

――2017年度はどのような展開を日本で考えていますか?

ミツエ・ヴァーレイ氏:まずは、直行便に対する一般の旅行者のみなさまへの認知度アップに力を入れていきます。キャンペーンや広告を展開するのはもちろん、デジタルマーケティングにおいてはターゲットを絞りアピール。島全体としてはリピーターのお客さまも大切にしながら、新しいお客さまを増やしていくことを目標としてきちんと掲げたいと考えています。オンラインでは25歳~65歳までの広い世代の女性。そして文化に歴史が興味があり、年1程度で旅行をされている方にアプローチ。もちろんアクティブシニアにも人気のある島ですので、新聞をはじめとする媒体への露出も考えています。第1四半期と第2四半期は、女性とアクティブシニアを意識いたします。

 また、コナ直航便の販売プログラムを作っていただける各方面に向けてのサポート体制も強化。2017年1月末には5大都市にてハワイセミナーを開催予定です。また、ハワイ島に関しては細かい質問にも対応できるようにトレーニングツールの充実をはじめ全国24のサテライトオフィスへのサポートも充実させます。

――1998年の日本からのハワイ島訪問者数が約31万人、2015年の時点だと約14万人とピーク時に比べると現在は半分ほど。就航により観光客の戻りはどのくらいと考えていますか?

ロス・バーチ氏:1便シート数294席から単純計算で年間約4万6000人。そのうち30%の1万5000人ほどが初めてのお客さまという目標を建てたいと思います。ハワイ全体の日本のリピーターは61.8%とかなり高い数値です。先ほどの話に出ましたが、1度来たら好きになっていただけるという自信はありますので、まずは初めての方にどれだけ来ていただけるかに注力したいですね。(ハワイ諸島を結ぶ)国内線も今回の就航でとても便利になります。ハワイ島からマウイ島、ハワイ島からカウアイ島をはじめ、オアフ島にも機体は行きますので各島とのつながりもよくなります。直航便だけではなく、国内線にも期待をしています。

ミツエ・ヴァーレイ氏:高い意識でロードファクターを85%の稼働率で守っていけたらと考えていています。就航直後は予約も入り、稼働はいいと思いますので第2四半期の4月以降が本当の勝負だと。そのため、第1四半期にどうアピールするかにかかっています。好調を維持し、下半期にはチャーター便を飛ばせるような形になれば、そう思ってもらえるようにアグレッシブに動いていきます。

――6年ぶりの直行便ですが、今回の就航を成功させるための対策はあるのでしょうか。

ミツエ・ヴァーレイ氏:ハワイアン航空は日本からの直行便だけではなく、国内線に関しての戦略も同時に行なっています。機材の面では往復だけではなく、国内線のアクセスに使用するなど効率化を図っている印象です。

ロス・バーチ氏:タイミングもあるとは思います。1996年から2010年までの日本航空の直行便に対してはとても感謝していますし、その際にハワイ島のブランディングも確立でき、今も続いていると考えています。そのため、2回目の今回のチャンスは何としてでも活かさなければなりません。稼働率の高い、利益の出る路線として、国際線、国内線ともにバランスを見ながら、サポートし、今後に期待したいと考えています。

ミツエ・ヴァーレイ氏:コナはハワイの中でも一番小さい空港で、以前は設備投資がされておらず各エアラインのコスト負担も大きいものでした。直行便が復活するにあたり、往来のテントは使用しつつ、加えて最新のAPC(Automated Passport Control)キオスクも10台設置し、出入国審査カウンターも5人の移民官をホノルルから送っています。また、日本語に対応できるスタッフも配置し、スムーズな入国審査を心がけています。ある意味ホノルルよりも早く通ることができるかも知れません。

 なお、現在デザイン中ですが3~5年以内には新たな空港施設の建設計画があり、着工も来年(2017年)の予定。今後、コナ国際空港としてしっかりと存在感が出せるようになります。

――なお、今後MICE(Meeting、Incentive travel、Convention、Eventの略)や高額のウェディング需要も期待されますが、そのあたりの展望は?

ロス・バーチ氏:MICEとウェディングに関してはとても重要だと認識しています。直行便が復活するにあたり日本マーケットでの商品開発に力を入れていきます。ウェディングに関して、以前は挙式後にホテルを満喫し、ビーチへという流れが多かったのですが、現在はハワイ島はホテルからとにかく出て、さまざまな“体験”をするという方向が主流になっています。

ミツエ・ヴァーレイ氏:ハワイ全体で挙式は67%、平均同伴者約12名といわれているマーケットの中で両親、友人への孝行やお礼が重視されるのが現在のウェディング。そのためサービス、アトラクションをはじめ、ほかの島と異なる部分をきちんとアピールしていこうと考えています。

ロス・バーチ氏:MICEに関しても力を入れていきますが、座席数に限りがあるため、今後は販売パッケージとMICEの連携、席の共有が前にも増して必要になってくるでしょう。小規模グループでの利用に関してはすでに動き出してはいます。また、2017年にはハイレベルなミーティングも予定されています。そういった状況を踏まえた上でサポートを的確にやっていきます。

ローカルライフスタイルに触れられる。リゾートと地元が近いのも魅力

――実際に新しい観光客に対してハワイ島観光局としては、具体的にどのあたりをアピールしてしていく予定なのでしょうか?

ロス・バーチ氏:ハワイ島にはほかの島にはないシンボルが2つあります。その1つが「ハワイ火山国立公園」。国立公園としては、アクセスもよく“一生に一度の体験”としてお勧めしたいですね。2つ目のマウナケアの天文台も行くたびに天空は異なる表情を見せてくれるので、ぜひ訪れていただきたい。この2つのシンボルはすでにブランディングもされており、常に人気のある場所です。この20年でハワイ島も日々変化していますが、新しい世代に一番アイコニックなプロダクツをまずは紹介し、その魅力を伝え、次につなげていきたいと考えています。もちろん、白浜のビーチでリラックスもできますし、ショッピングエリアが以前に比べるとかなり開発されましたので幅の広い買い物も楽しめます。

ミツエ・ヴァーレイ氏:また、ハイエンドな商品とともに、メイド・イン・ハワイのプロダクツも多いのがハワイ島の特徴です。もちろんゴルフ場も他の島々に負けない素晴らしいコースがあると自負しています。

――国立公園、天文台とともに、ハワイ島ならではのトピックスついて、ほかの注目すべき部分についても教えていただければ。

ロス・バーチ氏:いろいろありますのが、いくつかポイントを挙げるとすれば、まずは気候ですね。ハワイ島では世界の13の気候のうち11が体験できるほかの島とは異なる魅力があります。スキーもできれば、ビーチにも行け、赤道に近いためアメリカで唯一カカオやコーヒーも収穫できます。また、ワイナリーのある高山地帯も。1つの島内でいろいろな場所でさまざまな気候や体験、特産品が味わえる、ほかの島々にはない部分の一つです。白いビーチから黒いビーチ、そして滝などの美しい自然。さらに一番農業エリアと農業人口が多いため、ハワイの新鮮なローカル野菜を使った“Farm to Table”のメニューも楽しめます。

 また、ビジターズエリアとローカルエリアの距離が近く、各島の中で“一番ローカルライフスタイルを体験できる島”であると言えます。なお、ハワイ諸島の中で最大の島のためエリアごとに文化も違います。ですから、タウンごとに楽しみも。リゾートをちょっと出るだけで、ローカルな食材や人との触れ合い、多種多様な文化と出会えるのです。次から次へと興味をそそるプロダクツがたくさんあるのが何よりの魅力。その多様性こそがハワイ島。訪れる方のライフスタイルにあったものを選ぶことのできる豊かな環境があるんです。

 ぜひ、直行便が就航し日本からのアクセスはもちろんほかの島々からの移動も便利になったハワイ島へ多くの方に訪れていただきたいと思います。そして自分だけのハワイ島のとっておきを見つけていただけたらうれしいです。


 冒頭に掲載したように、ハワイ州観光局ではハワイ島の壮大で美しくダイナミックな自然をフィーチャーした動画を12月21日より公開している。ローカル感満載の1本道に、地元感満載のマーケット&フード。そして力がみなぎる火山や溶岩石に刻まれたペトログリフ。大地と空、そして海を最大限に感じられる映像となっている。知っているようでまだまだ知らないことがいっぱいのハワイ島へ、自分だけのお気に入りを探しに直行便で足を運んでみては。