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ANA、羽田空港昼間発着枠を使ったニューヨーク、シカゴ線就航セレモニー

需要高い「人気のニューヨーク線」と「便利なシカゴ線」

2016年10月30日 就航

 ANA(全日本空輸)は10月30日、今年2月に合意した日米航空交渉により割り当てられた羽田空港の昼間時間帯発着枠を使用した羽田~ニューヨーク線、羽田~シカゴ線の運航を開始。同日、羽田空港国際線ターミナルで就航セレモニーを実施した。また、同じスターアライアンスに加盟し、太平洋路線で共同事業を展開するユナイテッド航空も同日、昼間時間帯発着枠を使ったの羽田~サンフランシスコ線の運航を開始。ANAの就航セレモニーにも招かれた。

 2月に合意した日米航空交渉で、日米航空会社それぞれで昼間時間帯5枠、深夜早朝時間帯1枠となったことを受けた日本の航空会社への割り当ては、ANAが昼間3枠、深夜早朝1枠、JAL(日本航空)が昼間2枠と決まった。

 ANAは、羽田~ロサンゼルス線は従来どおり深夜早朝時間帯、これまで深夜早朝時間帯で運航していたホノルル便を昼間時間帯へ移行。そして、昼間時間帯に新たにニューヨーク線、シカゴ線を開設することになった。

 なお、このほかの発着枠では、JALがサンフランシスコ線、ホノルル線を昼間時間帯に運航。米側は昼間時間帯にアメリカン航空がロサンゼルス線、デルタ航空がロサンゼルス線とミネアポリス線、ユナイテッド航空がサンフランシスコ線、ハワイアン航空がホノルル線。深夜早朝時間帯はハワイアン航空がコナ線を運航する。

2016年10月30日からのANAによる羽田発着の国際線北米路線

羽田~ニューヨーク(ジョン・F・ケネディ国際空港)

ANA110便:羽田(10時20分)発~ニューヨーク(09時00分)着
ANA109便:ニューヨーク(16時55分)発~羽田(翌日21時10分)着
使用機材:ボーイング 777-300ER型機

羽田~シカゴ

ANA112便:羽田(10時50分)発~シカゴ(07時40分)着
ANA111便:シカゴ(16時15分)発~羽田(翌日20時30分)着
使用機材:ボーイング 777-300ER型機

羽田~ホノルル

ANA186便:羽田(21時55分)発~ホノルル(10時05分)着
ANA185便:ホノルル(13時10分)発~羽田(翌日17時25分)着
使用機材:ボーイング 787-8型機

羽田~ロサンゼルス

ANA106便:羽田(22時55分)発~ロサンゼルス(15時50分)着
ANA105便:ロサンゼルス(00時05分)発~羽田(翌日05時05分)着
使用機材:ボーイング 777-300ER型機

2016年10月30日からのユナイテッド航空の羽田発着国際線

UA876便:羽田(16時25分)発~サンフランシスコ(08時45分)着
UA838便:サンフランシスコ(10時05分)発~羽田(翌日14時45分)着
使用機材:ボーイング 777-200ER型機

羽田空港国際線ターミナルで行なわれた就航セレモニー

 同日行なわれた羽田~ニューヨーク線、シカゴ線の就航記念セレモニーは、ニューヨーク行きANA110便の搭乗口となった108番ゲートと、シカゴ行きのANA112便の搭乗口となった107番ゲートの間で行なわれた。

 使用機材はいずれもボーイング 777-300ER型機だが、この日のニューヨーク行きANA110便は212席仕様のJA786Aの機体、シカゴ行きANA112便は250席仕様のJA777Aの機体を使用した。

全日本空輸株式会社 代表取締役社長 篠辺修氏

 セレモニーではまず、ANA代表取締役社長の篠辺修氏が、「今日から冬ダイヤがスタートし、羽田からニューヨーク線、シカゴ線を開設する。羽田からはクアラルンプール線も開設している。成田からもホーチミン線の増便をスタートした」と10月30日に就航した各路線を紹介。

 セレモニーを行なった羽田~ニューヨーク線、シカゴ線については、「アメリカのなかでも需要の大きな路線。この2都市へは羽田と成田の両方からとなるので、首都圏のお客さまには選択肢が増えたことになる。また、国内線のハブ空港である羽田空港の便は10~11時にこの2路線が出発するので、地方から国内線を乗っていただいて、そのまま接続して行ける便利な路線」と紹介した。

 また、太平洋路線で共同事業を行なっているユナイテッド航空との関係について、「特にシカゴはユナイテッド航空のハブ空港になっているので、シカゴだけでなく、ユナイテッド航空のネットワークを使って全米に行っていただける」とし、「羽田の利便性、シカゴの利便性が、特にビジネスのお客さまに活用いただけると思っている」との発着両空港の魅力をアピール。

 最後に「人気のあるニューヨーク線、便利なシカゴ線ということになる」と両路線をまとめ、利用を呼びかけた。

国土交通省 航空局次長 平垣内久隆氏

 続いて登壇した、国土交通省 航空局次長 平垣内久隆氏は、「この路線開設にあたった日米航空交渉を担当し、今年の2月に合意して、デビューするということで、非常に感慨深い」と個人的に思い入れが深い路線であることを明かし、「羽田空港の国際化は第1次国際化でアジアの近距離路線から始まり、アジアの中長距離、次いで欧州と続いてきたが、米国だけが交渉の関係で実現していなかった。この昼間の便が始まることで、羽田の世界へのネットワークが完成した」と、その意義深さをコメントした。

東京国際空港ターミナル株式会社 代表取締役社長 土井勝二氏

 東京国際空港ターミナル 代表取締役社長 土井勝二氏は、「(10月30日に就航する)ANAのニューヨーク線、シカゴ線と、デルタ航空のミネアポリス線の3都市を加えて、世界31都市とこのターミナルが結ばれることになる。就航航空会社も38社。(東京国際空港ターミナルオープンから)6年間に路線数、都市数、航空会社数が充実してきている。利用者の数は、2015年度が1350万人、2016年度の予測では約1500万人へ利用が増加している。ANAのニューヨーク、シカゴが加わり、国内線とのネットワーク、国際線への乗り継ぎで、ハブ空港機能がますます盛んになるということで、私たちも喜んでいる」と、国際線ターミナル運営会社として就航を歓迎。

 今後、発着枠増加が見込まれる2020年に向けて、「それに対応した施設とサービスを充実させていきたい」との意気込みを示した。

ユナイテッド航空 アジア・太平洋地区 営業担当副社長 マーセル・フークス氏

 ANAと太平洋路線における共同事業を展開するユナイテッド航空のアジア・太平洋地区 営業担当副社長 マーセル・フークス氏は、「ユナイテッド航空にとっても記念すべき日。2014年から羽田~サンフランシスコ間の深夜便を運航して好評いただいたが、これを昼の時間に移行する。これまでサンフランシスコから羽田に来ると、日本の国内線とは7便しか乗り継げなかったが、今回の昼間の便の就航で、25便の国内線に乗り継げるようになる。羽田と都心のアクセスのよさに加えて、米国西海岸で弊社最大のハブ空港であるサンフランシスコから北米各地、中米など、40を超える都市にスムーズに乗り継ぐことが可能になる」と、同社が運航を開始する羽田~サンフランシスコ線のメリットを紹介。

 ちなみに同氏は、「昨晩、深夜便としてユナイテッド航空の最後の便となったサンフランシスコからの便で羽田へやってきた。そしてこのあと、ユナイテッド航空が新たに就航させる16時25分発の昼間時間帯の羽田~サンフランシスコ便に乗って帰国することになっている」とのスケジュールも明かしている。

 またANAとの共同事業については、「パートナーシップのおかげで日米のお客さまにより便利なフライトとサービスを届けられた。あたかも1つの航空会社であるかのように選んでいただける。今日の就航で、これまで以上に便利なサービスを提供できる」と、ANAの2路線新規開設も歓迎。「日本はユナイテッド航空にとって最も重要なマーケットの一つ。ANAとのパートナーシップを通じて、お客さまへのよりよいサービスを提供していきたい」とコメントした。

 続いて、就航を祝い、小曽根真氏によるピアノ演奏が行なわれた。小曽根氏はニューヨークでキャリアをスタートし、世界的な活躍を続けるジャズピアニスト。「招かれたゲストとしては“おめでとうございます”なんですが、一乗客としては“ありがとうございます”ということをお伝えしたい。ニューヨークもシカゴもよく飛んでいるので、羽田から1便できたのはうれしい。個人的には実は成田に1便あることがうれしくて、どっちでもチョイスできることがうれしい」と、個人としての2路線開設に喜びを示した。

 演奏する曲については、「新しい便が生まれたので新しい曲」とのことで、空を飛んでいるイメージで作られ、以前から親交のあった、ANA常務の藤村修一氏(取締役 常務執行役員)によって「A contrail to the Apple」と名付けられた曲を披露した。

 その後、就航を祝う鏡開きが行なわれ、セレモニーを終了した。

【お詫びと訂正】初出時、小曽根氏の演奏曲の曲名に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。

ジャズピアニスト 小曽根真氏によるお祝いの演奏
セレモニー参列者による鏡開き。左からジャズピアニスト 小曽根真氏、東京国際空港ターミナル株式会社 代表取締役社長 土井勝二氏、国土交通省 航空局次長 平垣内久隆氏、全日本空輸株式会社 代表取締役社長 篠辺修氏、国土交通省 東京航空局 東京空港事務所 東京国際空港長 今込毅氏、ユナイテッド航空 アジア・太平洋地区 営業担当副社長 マーセル・フークス氏、全日本空輸株式会社 上席執行役員 東京空港支店長 峯尾隆史氏

 ちなみに、この日の両便への搭乗客には、搭乗証明書と記念刻印入りのコート用ブラシをプレゼント。ANA110便のゲートには篠辺社長も立って記念品を手渡した。

 その後、ニューヨーク行きのANA110便は206名(幼児1名含む)を乗せて10時22分に108番スポットから。シカゴ行きのANA112便は237名(幼児2名含む)を乗せて10時58分に107番から、それぞれ出発した。

ニューヨーク行きのANA110便の搭乗口。篠辺社長らによる記念品配布が行なわれた
配布された記念品
羽田~ニューヨーク線、シカゴ線それぞれの搭乗証明書
2016年10月30日の日付と、両路線サービス開始を刻印した特製ブラシ
並んで駐機するANA110便(手前)とANA112便(奥)
ANA110便が10時42分にスポットを離れて出発