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WILLER EXPRESS、落ち着いたデザインの独立3列新シート「Luxia」を公開
新デザインのスーパーハイデッカーバス。まずは東京~関西路線から
2016年10月3日 14:57
- 2016年9月29日 公開
高速路線バス「WILLER EXPRESS」を運営するWILLER EXPRESS JAPANは、車内に木目調を多用した落ち着いたデザインの独立3列シート「Luxia(ラクシア)」の開発を2016年7月に発表していたが、9月29日に完成した車両を報道陣に向けて公開した。
車両は、三菱ふそうトラック・バスのスーパーハイデッカーバス「エアロクィーン」をベースにしている。スーパーハイデッカーは、車高が3m52cmと通常のハイデッカーの3m47cmよりも高くなり、目線が高くなることから窓から景色が見やすくなっている。WILLER EXPRESSがスーパーハイデッカーバスの導入をするのは初めて。
運行路線は、東京、神奈川と大阪、京都、関東と関西を結ぶ路線に2台投入されるが、順次拡大してし4列シートから置き換えていく予定としている。運行開始は関西発が10月7日から、関東発が10月8日から、運賃は8600円~1万2400円。
「Luxia」というネーミングの由来は、「Luxuay(贅沢な)」と「楽」と「幸せ」から作った造語。肘掛けには本物の木を使い、床やテーブル、座席背面などに木目調をほどこし癒やされる空間に仕上がっている。天龍工業と共同開発したシートも木の色に合わせた「からし色」のファブリックで、全体に明るいイメージの車内に仕上がっている。
シート幅は肘掛け含め57cm、座面は最大で51.5cmある。クッションにこだわっていて、腰はボリューム感を出し、背中部は柔らかめにするなど、部位ごとに最適な堅さを計算し設計。厚めで柔らかいながら底付き感がなく、リクライニング時にも安定して体重をしっかり支えるとしている。レッグレストを含め136度までリクライニングが可能で、さらに電動で16度傾け、146度のリクライニングができる。
シート配列は、基本的に1-2配列だが、2つ並ぶ側のシート横が少し離れていて、独立した3列シートとなっている。シート間隔は116cm。各シートは横をカーテンで仕切りができプライバシーが確保される。2つ並ぶシート間は2枚カーテンがあり、各シート専用のカーテンとなっている。
また、通常は用意されない中央シートの頭上にもオーバーヘッドコンパートメントを用意。すべての座席で離れずに手荷物を管理できる。各シートでAC 100Vコンセントが1つ用意されている。
発表会ではWILLER EXPRESS JAPAN 代表取締役 平山幸司氏から、「私たちは“移動で人を元気にする”と掲げています。最先端の技術とおもてなしの心で、お客さまに優しい移動サービスを実現し、その結果、続けてピンクのバスに乗りたいと思っていただけるよう目指していきます。WILLをつなげて大きなウェーブとしていく、そういった思いを表現してピンクの“W”をつなげた車体デザインにしました。今回のシートLuxiaは、木目調の内装を多用し落ち着いた雰囲気のリビングにいるようなデザインになっています。ターゲットは、流行へのアンテナが高く常にアクティブの行動する20歳後半~30歳代の女性のビジネスパーソンです。現在の利用では、やや女性が多く、20歳代が多くなっています。この年齢層を少し上げた方々の利用をイメージしました」と挨拶と解説があった。
短時間ではあるが試乗もあった。実際にシートに座ってリクライニングすると、電動ゆりかごリクライニングの効果は絶大で、まさに寝る体勢となって腰への負担も少ない。車両からの振動も少なく音も静か。カーテンを閉めると熟睡できるのではないかと思う。シート間隔は絶妙で前のシートがフルリクライニングしても圧迫感は感じない。スーパーハイデッカーの高さは階段1段分ほどではあるが、確実に高さを感じ景色を見下ろす感覚が強い。テーブルは小ぶりなので、ノートPCを使う場合には膝に置いて作業することになりそうだ。
なお、車内にトイレルームは省かれているが、高速道路ではSA(サービスエリア)、PA(パーキングエリア)で十分な休憩時間があるほか、降車ボタンを押した乗客の求めに応じ最寄りの休憩所に立ち寄ることで、実際の運行で問題になったことはないとのこと。それよりも、座席がトイレに近いことを嫌うケースが多く、むしろトイレのない車両の方が人気があるほどとのことだ。WILLER EXPRESSで運行中の車両で確認しても、トイレルームなしのタイプは半数程度ある。
WILLER EXPRESSでは高速バスのシートの多くが3列、または3列独立になってきている。深夜バスの魅力は、ほかの移動手段より安価で、朝方目的地に到着できそのまま活動できることにある。これまで4列でのシート間隔やクッションの出来に不満のある経験があるなら、ぜひこの車両を含め、3列シート車両を試してみてほしい。旅の時間を有効に利用できるはずだ。