SIMフリースマホで海外SIMを使おう!
イタリア「Vodafoneイタリア」
1日3ユーロでヨーロッパ内データ通信ローミングが可能
(2015/9/11 00:00)
今回は、8月後半からイタリア・ミラノを訪れた際に購入した、「Vodafoneイタリア」(Vodafone IT)が発売するプリペイドSIMを紹介する。
Vodafone ITのプリペイドSIMは、1日3ユーロの料金で、1日あたり500MBのデータ通信ローミングをヨーロッパ各国で利用可能なプランを用意しているということで、以前よりヨーロッパを訪れる機会の多い旅行者の間で話題となっていた。筆者も注目していたが、イタリアを訪れる機会がこれまでなく、今回ようやく入手できた。
Vodafone ITのプリペイドSIMカードは、イタリア国内のVodafone ITショップで購入するのが基本。今回は、日本からドイツ・フランクフルト経由でミラノのマルペンサ空港に到着し、ミラノ市内まで鉄道「マルペンサエクスプレス」に乗って移動したが、マルペンサエクスプレスの到着駅の1つである「ミラノ中央駅」の構内にVodafone ITのショップがあることを事前にリサーチ済みだったので、そちらで購入した。
なお、ミラノ中央駅のVodafone ITショップは、駅ホーム構内にあるが、駅の外からは電車のチケットを持っていないとセキュリティゲートを通してくれず、ショップに到達できない点は注意が必要。そのため、ミラノ中央駅のVodafone ITショップでは、電車でミラノ中央駅に到着したときにのみ購入できると考えた方がいいだろう。ちなみに、マルペンサ空港にはVodafone ITショップはないが、到着ロビーの両替所でVodafone ITのプリペイドSIMが販売されており、そちらでも今回購入したものと同じプランのプリペイドSIMが購入できるようだ。今回はミラノ中央駅のVodafone ITショップで購入したが、マルペンサ空港到着時に購入する方がより簡単に入手できそうだ。
プリペイドSIMカードは、SIM、miniSIM、nanoSIMの3形状に対応しているため、利用するスマートフォンの種類を問わない。プリペイドSIM購入時にはパスポートの提示が必要となる。
プランは、以前はいくつか選べていたようだが、今回購入した際には「Vodafone Holiday」というプランのみが選べた。このプランは、期限は1カ月で、データ容量2GB、300分間の通話、300通のSMSを利用できるプラン。料金は29ユーロ。プリペイドSIMパッケージ自体は30ユーロで購入でき、購入時点で29ユーロが引かれ、プリペイド残高1ユーロの状態で渡される。プリペイドSIMおよび残高の有効期限は、最終料金チャージ日から180日となる。
また、ヨーロッパ内の47の国と地域(2015年9月30日まではアメリカとカナダも対象)で1日3ユーロで無制限のデータ通信ローミング(500MBを超えると速度は32Kbpsに制限)を行なえる「SmartPassport」というプランも標準で契約した状態となっている。イタリア国内のみで利用する場合には、SmartPassportの存在はあまり重要ではないが、イタリア以外のヨーロッパ各国を周遊する場合には、次の渡航先の国でもそのままデータ通信を行なえるので非常に便利だ。
ただし、SmartPassportは1日あたり3ユーロの料金がかかるため、利用を考えているなら購入時に「利用日数×3ユーロ」分の追加チャージをしておくのがお勧めだ。筆者は、ミラノ滞在後にドイツに移動して12日間滞在することになっていたので、余裕を持って45ユーロを購入時に追加チャージした。
SIMの開通作業は不要で、購入直後にスマートフォンに装着し、APN設定を行なうだけですぐにデータ通信が可能となる。今回利用したXperia Z1グローバルモデルでは、SIMを装着して起動するとAPNなども自動的に設定されたので手間はかからなかったが、利用するスマートフォンによっては手動設定が必要な場合もあるだろう。設定は自分でやってもいいが、ショップの店員にやってもらうことも可能なので、よく分からない場合にはスマートフォンを渡して設定してもらうといいだろう。
Vodafone ITのLTEは、1800MHz(Band3)と2600MHz(Band7)を利用している。今回利用したXperia Z1グローバルモデルはどちらもサポートしているので、問題なくLTEの電波を掴み、高速なデータアクセスが可能だった。また、日本で販売されているSIMフリースマートフォンの場合、Band7に対応するものはほとんどないが、Band3は基本的に対応しているので、問題なくLTEの電波を掴むはず。実際に、同時に持ち込んでいたASUSの「ZenFone 2」でも、問題なくLTE通信が可能だった。
LTE接続時には、ミラノ市内中心部でも、下り20Mbps前後、上り15Mbps前後と安定して高速な速度が発揮され、場所によっては下り70Mbps以上の非常に高速な速度を記録する場合もあった。地図アプリの利用やWebアクセス、SNSへの写真の投稿などもストレスを感じることはほぼなかった。
地下鉄などのトンネル内では電波が弱くなり、3Gに落ちる場面もあったが、それ以外では安定してLTEに接続され、快適なデータ通信が可能だった。非常に多くの来場者がつめかけていたミラノ国際博覧会の会場でも、電波が途切れたりデータが落ちてこないということもなかった。
今回は、初渡航のミラノだったこともあり、一切土地勘がなく、地図アプリ「Google Maps」の利用が欠かせなかったが、高速なデータ通信速度が発揮されることもあって、電車やバスなどの乗り継ぎも含めて、ストレスなく行き先までの道のりを検索でき、とても快適な旅ができた。
ただし、日本のホームページへのアクセスでは、やや遅さを感じる場面も少なくなかった。これは、LTE自体の通信速度ではなく、イタリアと日本の間の通信速度に問題があるものと考えられる。それでも、遅すぎて困ることはなかったので、それほど気にしなくてもよさそうだ。
SmartPassportを利用し、イタリア以外の国でデータ通信を利用する場合は、スマートフォンの設定メニューで「データローミング」をオンにするだけで、すぐに通信が可能となる。こちらは、ローミングアクセスした段階でプリペイド残高から3ユーロが引き落とされ、イタリア時間を基準に0時から24時の間で500MBのデータ通信が可能となる。
通信速度は、滞在国の通信環境に左右されるが、ドイツ・ベルリンではVodafoneドイツのLTE電波を掴み、平均で上り15Mbps前後、下り6Mbps前後であった。イタリアよりは速度が遅かったが、地図の参照やWebアクセス、SNS投稿には十分な速度だ。
なお、SmartPassportは1日ごとの課金になるが、ローミングで電波を掴まなければ課金されることはない。日本帰国時にSIMをスマートフォンから抜いておけば、それ以降の課金はない。そして、次回ヨーロッパ渡航時には、(有効期限とチャージ残高が残っている限り)現地でスマートフォンにSIMを装着するだけですぐにデータ通信が行なえるようになる。ヨーロッパに定期的に渡航する人ならば、持っていて損のないプリペイドSIMと言える。
なお、料金のチャージは、こちらのページでPayPalを利用することで(日本発行のクレジットカードは利用不可)、イタリア以外からもオンラインで可能だ。そのため、Vodafone ITのプリペイドSIMを購入して維持したいなら、PayPalアカウントも作っておくことをお勧めしておく。
キャリア名 | Vodafoneイタリア(Vodafone IT) |
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購入価格 | 30ユーロ |
カードの種類 | SIM/microSIM/nanoSIM対応 |
対応周波数帯 | LTE:1800MHz(Band3)、2600MHz(Band7)、3G:2100MHz、GSM:900/1800MHz |
APN | mobile.vodafone.it |
滞在時期 | 2015年8月下旬~9月上旬 |
使用デバイス | ソニー「Xperia Z1」グローバルモデル、ASUS「ZenFone 2」 |