ボーカリスト琴音の音楽旅
昼と夜、二つの顔を持つ大人な街「銀座」 古きよき大人のエンタテイメントを堪能!
2016年8月27日 00:00
暑すぎる夏の日。銀座という街は、普段から私も買い物などでもよく行くし知っている街の1つです。しかし意外にもエンタテイメントに特化して出かけたことはないな……と思い立ち、改めて銀座ツアーを決行してみました。旅行や買い物で訪れる方も多いと思いますが、意外とギャラリーが多くアートな街だったりライブハウスもたくさんあります。色んな面のある街、銀座の大人な旅をイメージして行ってきました。
まずは、私の以前からの超絶お気に入りスポット「東京国立近代美術館フィルムセンター」に行ってきました。ここは、友人とランチをしたときに、たまたま入って本当によかった! と思い何度も足を運んでいるスポットです。常設展や企画展がいつも面白いし、映画の上映もやっています。それが、ほかではなかなか観られないような作品が観られるのです。しかも、国立だからとてもリーズナブル。映画好きな人たち全員来なよ! すごいよ! と興奮してしまうくらいです。
私が行ったときには、2階大ホールで時代劇や任侠映画で知られる加藤泰監督の作品が上映されていました。こちらでは、さまざまなテーマに合わせた特集上映が行なわれています。ここでしか観られないようなレアな映画も多いです。一般は520円、高校・大学生・シニアは310円、小・中学生は100円、指定された大学のキャンパスメンバーズ制度を使うとメンバー校の人はなんと無料! 大ホールの定員は310名なので、1階ロビーにある待合室で先着順の案内になるそうです。
4階には図書室もあり、さまざまな映画の文献などを見ることができます。7階は有料の常設展「日本映画の歴史」が展示されています。最初は活動写真から、音声が入りカラーになるまでアニメーションにわたり、日本映画の軌跡を知ることができます。昔の映画のポスター大好きなのでいつ来てもテンション上がります。
実際に映像を観ることができるほか、当時使用されていたカメラなどが展示されています。このときの企画展は「角川映画の40年」が開催されていました。入り口に、映画「犬神家の一族」の模型の撮影スポットが。なかなかシャレが効いています。
そして角川映画といえば、「セーラー服と機関銃」などのアイドル映画も有名ですよね。ファッションや髪型は時代が違えど、彼女たちの色あせない強烈なかわいさに驚かされます。最後には、私も映画館で観たことのあるような最近の映画ポスターも展示されていました。最後に「7人の侍」撮影スポットで記念撮影。フィルムセンター監修の、映画ポスター集などの書籍も購入。映画館にもよく行くし家でも寝る前に映画を観たり、普段から映画大好きなのでこの日も大満足でした。
フィルムセンターをあとにして、以前からたまに飲み物などを買いに行く「野村商会」へ。
ものすごくレトロな店構え! 松屋の裏にこんな昭和レトロなところがあるんです。金物や、タバコ、お菓子にペットボトル飲料など。かわいい輸入菓子なども取り扱いがあり、乙女心をよく分かってらっしゃる。しかも、その隣になんとココナッツオイルまで!このサイズならオフィスに置いておけそう。
常温の飲み物もあり、胃が弱い人や冷え性の人にも優しいお店です。私はタバコを吸わないのですが、かわいいライターがたくさんあり買ってしまいそう。猫ちゃんのものや、メッセージ入りのものまで。お店の方々も、とても親切で癒されます。銀座というと、気取っているイメージもあります地元の方々はとても温かいです。
野村商会近くのハンバーグ屋さん「AOI」でランチすることにしました。カジュアルな雰囲気で、近くの会社の方々と思われるお客さんが多かったです。「AOI」と書いて「エーオーアイ」と読み、意味は「愛する人 お腹 いっぱい」だそうです。なんて素敵な店名! 私はオーソドックスなデミグラスハンバーグをオーダー。
バルサミコ酢を使ったソースが、ものすごく美味しかったです。しっかり酸味があって、暑い日でもさっぱりといただけました。ふわふわハンバーグは、国産牛スネ肉に、大量のタマネギが使われているそうです。初めて行ったお店ですが、リピート決定! 次はダブルハンバーグにしよう。
お腹がいっぱいになったところで、80年前の高級マンション「奥野ビル」へ。こちらも歩いていてたまたま発見して、1階のアンティークショッップ「Y's Arts」さんにお邪魔して有名なビルということを教えてもらいました。いまでは画廊やギャラリーの多く入っているテナントビルだそうです。以前訪れた時は時間がなくて、ほかを見る時間がなかったので張り切って行ってきました。
1階に、人目を引く素敵なお店が入っています。今回は、銀座で1番古いという手動式エレベータに乗ってみました。ヨーロッパでは、手動エレベータに乗ったことがあるのですが、日本ではもう見かけないですよね。
レトロな外観とは裏腹に、内部は意外とハイテクでした。安心して乗れます。階段の手すりや床もレトロで本当にタイムスリップしたかのよう。外国の雰囲気もたっぷり。……と思いきや、消火栓はめっちゃレトロでした。かわいい。
ギャラリーなどの入っているフロアは、植物が飾ってあったり明るい雰囲気です。アモーレ銀座というギャラリーで開催中の「線の美学」という企画を見てきました。さまざまな画材で描かれている重なり合う線はまさに圧倒的。モチーフも私好みの物も多く、女性作家さんの作品のみ展示しているそうです。
耽美な世界を堪能してきました。そして、銀座には昔懐かしいキャバレーがあるんです。
キャバレー「白いばら」では毎日、バンド演奏やダンス、ショーなどを美しいホステスさんとともに楽しめます。私も、歌仲間がショーに出演しているときに遊びに行ったことがあるのですがとても楽しかったです。キャバレーというと男性客メインで女性は気まずいのでは? と思ってしまいますが。ショーはクオリティ高くて見応え十分だしホステスさんも優しくて、女性でも気にせず楽しめます。
定期的にショーの内容が変わるので、リピーターのお客さんもとても多いそうです。ここも、一気に昭和の世界にタイムスリップしたような気分になれます。
そして、夜には夜の銀座の楽しみ方があります。今回はライブハウスにスポットを当てて巡ってきました。まずは銀座の老舗ジャズクラブ「Swing(スウィング)」。こちらは毎日、日本を代表するジャズミュージシャンの熱い演奏を至近距離で聴けるお店です。この日は大ベテランピアニスト、秋満義孝さんのバースデーライブでした。
なんと87才のバースデー! しかし、演奏はキレッキレで円熟したロマンティックさとコクが同居していて素晴らしかったです。この日は、テナーサックスやクラリネットも入っていて豪華な演奏でした。食事メニューも豊富で、食事やお酒を楽しみつつ演奏を聴くことができます。
こちらは古きよきアメリカにタイムスリップしたような感じでしょうか。落ち着いた夜のムードの店内と、カウンターの中の熱演が非日常に誘ってくれます。
Swingでアメリカのジャズを楽しんだあと、今度はフランスなどヨーロッパ音楽を聴かせてくれるシャンソニエ「蛙たち」へ。この日は浴衣祭りということで、出演者全員が艶やかな浴衣姿。こちらは、フランス語で「歌」という意味のシャンソンを中心に、イタリアのカンツォーネ、ポルトガルのファド、タンゴなどヨーロッパ音楽が演奏されることの多いライブハウスです。
日本のシャンソンの面白いところは、外国曲を日本語の歌詞に訳して歌うところ。有名な訳詞家、岩谷時子さんもたくさんシャンソンの訳詞をされていました。この日出演していたシャンソン歌手、水織ゆみさんは「この日本独自の文化は外国にも誇れるもの」とおっしゃっていました。
シャンソンは、反戦歌や戯曲のような曲も多く本当に歌詞の内容が面白いです。なので、伝わりやすい日本語で歌われることも多くなったのだと思います。しかし原曲のフランス語の響きもとても素敵で、フランスのオシャレな雰囲気は原語ならではのよさがあります。
そんなシャンソンを、ここ蛙たちでは毎晩マネージャーである芸大出身のピエールさんはじめ、素晴らしい歌手の方々の歌を聴くことができます。生の音楽、表現の迫力はまさに魂のぶつかり合い、命を燃やしているという言葉がピッタリです。
この日も、皆さん素晴らしく、歌唱力はもちろん人生の深さを歌われていてとても感動しました。銀座でシャンソンといえば、「銀巴里」というお店が昔ありましたが、そのガス灯の1つが蛙たちに置いてあります。かつて美輪明宏さんも出演し、三島由紀夫、寺山修司など著名人も多く通っていたといわれる銀巴里。その灯や思いは、今も蛙たちのステージを温かく照らしてくれています。
銀座は、さまざまな文化やファッションなど最先端の物が集まる街であると同時に、古きよき物が混在している街なんだなぁと思いました。今では古きよきもの、といわれているものも、当時は最先端だったんでしょう。
エンタテイメントを満喫しつつ、日本の歴史にも触れられる旅でした。銀座にお出かけの際には、そんな歴史ロマンに思いを馳せるのもよいのではないでしょうか。