旅レポ

ジャルパックオリジナルバス「JALうたばす」でのんびり沖縄南部巡り

三線の生演奏がムード満点の観光バスが1000円

2015年10月にデザインをリニューアルした「JALうたばす」

 ジャルパックが販売している日本トランスオーシャン航空(JTA)のシミュレータ体験ツアーを体験するために沖縄へ行ったことは別記事「ジャルパックが販売する『JTAフライトシミュレーター操縦体験!』でパイロット気分を堪能」でお伝えしたとおりで、この取材を口実に1泊2日の沖縄旅を満喫してきた。

 本記事では、2日目に体験した、ジャルパックがオプショナルプランとして提供してるオリジナルバス「JALうたばす」の旅を紹介する。JALうたばすは、沖縄本島を巡る日帰りの観光バスツアーで、車内ではバスガイドさんが三線の演奏と島唄で案内してくれるうえに、2015年10月にはバスのデザインをリニューアルしたとあって、パンフレットのなかでも気になる存在だ。

 JALうたばすは3つのコースが用意されており、古宇利島や沖縄美ら海水族館など中北部を巡る「古宇利島・美ら海号」、琉球村やビオスの丘など中部を巡る「中部めぐり号」、首里城やおきなわワールドなど南部を巡る「首里・南部めぐり号」の3コースが用意されている。

 発着地のホテルは全コースとも那覇市内の「Tギャラリア沖縄」「ホテルJALシティ那覇」「ホテル日航那覇グランドキャッスル」。古宇利島・美ら海号は3ホテルに加えて、北部のリゾートホテルでも乗降が可能だが、運行日により経由ホテルが異なる。中部めぐり号と首里・南部めぐり号は、帰りに那覇空港での降車も可能だ。これは大きなポイントで、18時以降に那覇空港から出発する人限定にはなるが、旅程の最終日にスーツケースをJALうたばすのトランクに入れたままバスで観光地を巡り、帰りはそのまま那覇空港で降りて帰るだけという効率的な旅が可能なのである。

 以下、簡単に各コースの特徴をまとめておく。

古宇利島・美ら海号

運行日:1号が奇数日、2号が偶数日、※1号と2号は経由するホテルが異なる
走行距離:1号が最大約262km、2号が最大約229km
コース:古宇利島(古宇利オーシャンタワー)、古宇利ビーチ散策→ナゴパイナップルパークまたはOKINAWAフルーツランドまたは大家(うふやー)→海洋博公園(沖縄美ら海水族館)→ファーマーズマーケットやんばる はい菜!やんばる市場

中部めぐり号

運行日:偶数日
走行距離:最大約132km
コース:琉球村→道の駅 なかゆくい市場 おんなの駅→ビオスの丘→勝連城跡

※上記ツアーは3月まで。4月からは「琉球あしび~号」として琉球村→Gala青い海→残波岬→ビオスの丘を巡る最大約160kmのコースとなる。

首里・南部めぐり号

運行日:奇数日
走行距離:最大約82km
コース:首里城公園→斎場御嶽(せーふぁうたき)→おきなわワールド→ひめゆりの塔または琉球ガラス村→ファーマーズマーケットいとまん うまんちゅ市場

 料金は全コース1回/1名あたり1000円と気楽に乗れる料金なのもうれしい。さらに最少催行人員が1名なので、申し込めば必ず運行されるという安心感がある。本当に参加者が自分だけだったらラッキーと思うか寂しい思いをするのか分からないが、そんなことよりバスガイドさんを独り占めできるというシチュエーションが気になる記者であった。

うたばすガイドがイラストを手がけた目を引く新デザイン

JALうたばす

 先述のとおり、JALうたばすは2015年10月にデザインをリニューアルした。運行を担う那覇バスの“うたばすガイド”がデザインしたというイラストが描かれた、真っ赤なボディが目を引くデザインだ。イラストは三線を持ったバスガイドをモチーフとしたもので、車体左側のガイドさんは夏服、右側は冬服を着ている。

 このデザイン、最初は純粋にかわいいデザインだと思って見ていたのだが、実際にJALうたばすのツアーに参加してみると、その実用的な素晴らしさも感じられる。沖縄という国内屈指の観光地のなかの観光スポットを巡るだけに、各地点の駐車場には多数の観光バスが駐まっている。しかし、いざバスに戻ろうというとき、一際目立つ真っ赤なJALうたばすはすぐに目に飛び込んでくる。バス乗り場で迷わず目的のバスを見つけられる意味で、このデザインは非常に効果的でありがたい。

 パンフレットでも案内されているとおり、バス車内では、うたばすガイドによる三線を使った島唄の弾き語りが聞ける。今回の旅では、THE BOOMの「島唄(ウチナーグチバージョン)」や、auのテレビCMでも知られるBEGINの「海の声」などが演奏された。

 三線の音色と歌声をBGMに、車窓を流れるさとうきび畑や青い海をボーッと眺めていると、まるで沖縄のイメージビデオのなかに自分が入り込んだようでもあり、はたまた現実と非現実の境目に入り込んだようでもあり、とても心地よい世界に包まれた。記者としては、三線の弾き語りをBGMにひたすら沖縄らしい風景のなかをドライブするバスプランがあったとしたら、それでも1000円を払おうと思えるほどだった。これは五感で味わってこその楽しさなので、ぜひ多くの人に実際に体験してみてほしい。

うたばすガイドによる三線の弾き語り。なんとも幸せな非日常感にひたれる
スポット紹介では紙芝居を使ったユニークな案内も

 こうしたサービスのほかに、JALうたばすではWi-Fiを使ったインターネット接続も提供しているほか、コンセントも備えている。Wi-Fiインターネット接続の使い方も簡単で、「nahabus」というアクセスポイントにつなぐだけだ。速度はそれほど速くなかったが、速度テストで出た結果の印象よりは快適で、観光情報をWebサイトでチェックするには十分だった。立ち寄りスポットでの自由度は高い一方で、バスツアーの宿命で滞在できる時間が限られるので、うまく時間を使うために情報収集を積極的に行ないたくなる。パケット料やバッテリを気にせずにインターネットを利用できるのはありがたい。

 このほか、「古宇利島・美ら海号」ではリフトを使って車いすに乗ったまま乗降できるサービス(1日1名限定)を実施しており、4月からはこのサービスが全コースで利用できるようになる。先に述べたとおり、記者個人としても多くの人に体験してほしいと思っただけに、こうしたサービスも価値あるものだと思う。

JALうたばすではフリーのWi-Fiインターネットも利用可能。目的地の情報収集に便利だった

「首里・南部めぐり号」に乗って沖縄バス旅

 さて、今回記者は「首里・南部めぐり号」に参加して、1日を楽しむことにした。宿泊しているホテルは、別記事「“ジャルパックやJALで行く沖縄”でちょっとおトクな気分の沖縄旅」でも紹介したとおり、「ホテル日航那覇グランドキャッスル」だったので、朝はホテルの前で待っていれば巡回してきてくれる。

 そして、先にも軽く触れたとおり、首里・南部めぐり号は帰りに那覇空港での降車も可能なので、そのまま飛行機に乗って羽田空港へ戻ろうという計画だ。

 では、早速JALうたばすに乗って、のんびり沖縄南部巡りと行きましょうか……と落ち着く間もなく、最初の目的地である首里城に到着する。ホテル日航那覇グランドキャッスルから首里城までは10分ちょっとで、車内では首里城での行動予定や待ち合わせなどの説明を聞くだけ。効率がよさに感動する一方で、ちょっと味気なさも感じつつバスを降りた。

国営沖縄記念公園(首里城公園)

首里城の入り口「守礼門」(国営沖縄記念公園/首里城公園:守礼門)

 ともかく、いきなり首里城見学スタート。ここで参加者全員の記念撮影があるほか、途中、首里城に入る前まではうたばすガイドが同行して説明もしてくれる。よく知られた観光地ではあるが、首里城のある首里公園は広く、見どころが多い。説明がないと何となく通り過ぎて首里城にたどり着いてしまいかねないだけに、この案内はありがたかった。

 朝に訪れると守礼門が逆光になって少し残念に感じていたのだが、その守礼門を過ぎたところに「ユウナ」という花が咲いていた。この花は、暖かい時期に咲く花で少し早い開花だったようなのだが、朝に黄色い花を咲かせ、夕方には赤みを帯びて散ってしまうという説明があった。つまり朝に来なければ、きれいな黄色い花を見られなかったのだなと知れたことで、守礼門の逆光のことなんか忘れて、ちょっとトクした気持ちになれたりするのである。

ハイビスカスと守礼門。沖縄らしい眺めだ(国営沖縄記念公園/首里城公園:守礼門)
黄色い花を朝咲かせ、夕方には色が変わるというユウナの花(国営沖縄記念公園/首里城公園)
守礼門から進んですぐのところにある「園比屋武御嶽石門」。琉球国王の礼拝所跡で世界遺産に登録されている(国営沖縄記念公園/首里城公園:園比屋武御嶽石門)

 首里城そのものはガイドブック等々、情報が多数あるのでここで細かく説明するまでもないだろう。琉球王国時代の国王のお城で、中国との交易があったことから、その文化の影響が色濃い建築物だ。現在の建物は、太平洋戦争の沖縄戦で焼失したあと、戦後に復元されたもので、一帯は国営沖縄記念公園/首里城公園として整備されている。

 この首里城へ向かう道は勾配のきつい階段だ。いわゆる“お城”はアクセスがしにくい場所に建てられることが多いが、この首里城に続く道も想像以上の角度で、見た瞬間は少し怯む。一方で、高いところに登るとよいこともあり、守礼門からまっすぐ首里城正殿に向かって4番目の門である漏刻門をくぐった先は北方向に広く開けた風景が広がっていた。

ところによりきつい坂を上りつつ、いろいろな門をくぐって首里城の城郭へ向かう(国営沖縄記念公園/首里城公園:歓会門)
国営沖縄記念公園/首里城公園:瑞泉門
国営沖縄記念公園/首里城公園:漏刻門
漏刻門をくぐった先は展望エリアのように開けており、那覇市から北方向を望むことができる(国営沖縄記念公園/首里城公園)
正殿などがある「御庭」へ入る前の広場となる「下之御庭」。ここで入場券を購入する(国営沖縄記念公園/首里城公園:下之御庭)
「奉神門」の先は有料エリア。ここをくぐると、いよいよ「首里城」を拝める(国営沖縄記念公園/首里城公園:奉神門)

 そして有料エリアに足を踏み入れると、正殿とその前に広がる御庭の鮮やかさに目を奪われる。日本のお城ではまず見られない色彩だ。中国・北京の紫禁城(故宮)には訪れたことがあったが、それともかなり雰囲気が異なる。中国といえば赤い色彩の建物が多いイメージがあり、装飾にも龍が描かれていて中国文化を感じる部分はあるが、だからといって“中国風の建築物”と言い切ってよいものかは悩む、独特の雰囲気を感じた。

 ちょっと面白かったのは御庭で、正殿に正対して写真を撮ろうと、正殿の中央からまっすぐ敷かれたタイル状の瓦を歩いて振り返ると、実はまっすぐではなかった。理由は不明だそうだが、ちょっと落ち着かない風景でもある。

 このあと南殿、正殿、北殿と内部を見学し、バスへと戻った。ちなみにJALうたばすでの滞在可能時間は、バスへ戻る時間を差し引くと1時間ほど。首里城公園内を隅々まで見ようと思うにはちょっと急ぐ必要があるが、首里城の見学が中心なら御庭と正殿、南殿、北殿内をしっかり見ても余裕のあるスケジュールだろう。

国営沖縄記念公園/首里城公園:正殿
龍のデザインなど中国の雰囲気がある装飾(国営沖縄記念公園/首里城公園:正殿)
正殿前の「御庭」は、その模様が正殿からまっすぐ伸びていないのが興味深い(国営沖縄記念公園/首里城公園:御庭)
南殿。北殿とともに首里城にまつわるさまざまな資料が展示されているほか、奥書院など国王の休息所なども見学できる(国営沖縄記念公園/首里城公園:南殿)
途中の石垣。明らかに積み方が異なる部分があるが、これが復元前のもの。整然と積まれた部分が戦後復元されたもの(国営沖縄記念公園/首里城公園)

ニライカナイ橋

 首里城をあとにしたJALうたばす。続いては、南城市の「斎場御嶽」に向かう。移動時間は40分ほどで、朝からいきなり観光モードに入っただけに、ようやく腰を落ち着けたバス旅のへと再スタートする気分だ。

 ここで1日の行程の説明があったのだが、びっくりしたのは「お昼ご飯をゆっくり食べる時間がないかも知れません」(ガイドさんの説明を要約)との事実だ。記者の目論みではお昼頃に「おきなわワールド」に立ち寄るので、ここでのんびり食べるかなぁと思っていたのだが、ガイドさんによれば「おきなわワールドは広いのでたぶん食べてるヒマはないです」(大げさに要約)という。なので「適当に隙をみて食べてください」(かなり脚色)ということになるようだ。

 本当は、あれを諦めればこれを食べられるといった説明もあったのだが、それは次のおきなわワールドの項で触れるとして、ガイドさんお勧めのB級グルメ紹介もあり、某アニメの名文句ではないが「食えるときに食っとかないとね」と、むしろやる気が湧いてくるのであった。

 そんな道中ではあるが、さとうきび畑が広がり、うたばすガイドさんによる三線の弾き語りもあり、のんびりとした空気が流れる。

 途中「ニライカナイ橋」を通るのもこのツアーのポイントだ。県道86号から国道331号へ抜ける方向へ進んだが、まず橋にアプローチした瞬間に視界がぱっと開き、太陽に照らされた青い海が目に飛び込んでくる。そして、大きくUの字を描きながら下っていく。この旅で唯一、バスの乗客としてではなく自分の運転で走りたいと思った瞬間だったのだが、自分で運転しているとまわりの風景をのんびり楽しんでいるわけにもいかないので、やっぱりバスでよかったのだと思う。

 ちなみに、ニライカナイ橋の全景を眺めるのはツアー行程では難しいので、インターネットなりガイドブックなりで、事前に橋の写真を見ておくことをお勧めしたい。あぁ、あの形の橋をこのように走っているんだな、と風景と自身を重ねることで、この時間をより気持ちよく過ごすことができるはずだ。

ニライカナイ橋にさしかかると視界が開け、眼下に海が広がる
U字に沿って急斜面を降りる

斎場御嶽(せーふぁうたき)

 さて、次の目的地である「斎場御嶽(せーふぁうたき)」については、同地に向かう道中、ガイドさんによる紙芝居を使った紹介があった。「斎場というとみなさん葬儀場を思い浮かべると思うんですけど……」と図星を突かれて動揺してしまった記者のことはさておき、斎場御嶽とは「最高の聖地」を表わすもので、琉球の信仰における最高位の神女「聞得大君(きこえおおきみ)」が最高神職に就任する儀式が行なわれた場所で、琉球王国とのつながりも深いという。「琉球王国のグスク及び関連遺産群」として世界遺産にも登録されている。

 そのような厳かな場所で、琉球王国時代は男子禁制の場所だったとのことで、ガイドさんの説明によると、男性の立ち入りについて制限を設けるべきではないかという話もあるのだそうだ。例えば、女性の洋服のように左前に上着を羽織って立ち入るようにするなどの意見があるとのことで、男性の記者としては、ひとまずお咎めなく立ち入れることに感謝しつつ訪問した。

 記者が乗ったJALうたばすは、斎場御嶽の近くにある南城市地域物産館に10時30分頃に到着。ここで斎場御嶽への入場券(大人200円※)を購入できる(※4月1日からは300円)。

 斎場御嶽へは、ここから歩いて10分ほど。管理棟の「緑の館・セーファ」で入場券を渡したあとは、斎場御嶽を紹介する数分間のビデオを観賞する。その後、いよいよ斎場御嶽の見学だ。

 斎場御嶽はイビと呼ばれる拝所が6カ所あり、そのうち1つは立ち入りできなくなっているので、実際には5カ所を巡ることができる。この道中はアップダウンのある坂道で、先の首里城の階段に続く厳しめのウォーキング。これって密かに健脚ツアー!? という疑問をかき消し、1つ注意点を。斎場御嶽の道は舗装されていないので、歩きやすい靴で訪れた方がよい。女性であればヒールが細い靴は石の間にはさまれる可能性があるので、特に気をつけた方がよいだろう。

 そんなわけで、各拝所を巡ってみたのだが、道中を含めて一帯はシーンとし、草木のせせらぎや鳥の声など、自然の音だけが聞こえるかのようだった。こういうのを神気に満ちた雰囲気というのだろう。改めて、男でスミマセンと心で謝りながら興味深く見学させてもらった。

斎場御嶽の入り口となる「御門口(ウジョウグチ)」
強烈な逆バンクを描くコーナー。ところにより坂道がきつい
順路では最初に訪れられる拝所「大庫理(ウフグーイ)」
交易品を集めた場所という「寄満(ユインチ)」
2つの鍾乳石から滴る聖なる水を受け止めるために置かれた「シキヨダユルとアマダユルの壺」
斎場御嶽の拝所ではもっとも有名であろう「三庫理(サングーイ)」。ここを抜けた先からは、琉球王国時代に神事が行なわれた“神の島”と呼ばれる久高島を拝むことができる

 さて、JALうたばすのツアーでは、斎場御嶽への立ち寄り時に、南城市地域物産館での休憩タイムも織り込まれている。10時30分頃に到着して、11時40分にバスに戻るスケジュール。斎場御嶽の見学、斎場御嶽~地域物産館の移動を差し引いても、15~20分ぐらいは地域物産館で過ごせる。

 この南城市地域物産館は、その名のとおり地域のお土産物などが販売されているほか、建物の裏手が高台になっていて海を見渡せるのが魅力だ。2階にはテラス席のあるカフェもあるので、とりあえず建物の裏手にはまわってみることをお勧めする。

南城市地域物産館。入り口ではイメージキャラクターの「なんじぃ」がお出迎え
南城市地域物産館の建物の裏手は絶好の展望スポット
2階のカフェにもテラス席があるので、海を見ながらくつろげる
2階カフェテラスからの眺め

 とはいえ、先述のとおりこのツアーは“時間があれば食べる”がポリシー(記者が勝手に決めた)なので、ここでガイドさんお勧めのB級グルメの1つ「天ぷら」をいただくことにした。“うまい安い70円”の貼り紙のとおり、1品70円で、魚介類の天ぷらが販売されている。

 並んでいる天ぷらも、イカあたりは普通に見られるものだが、アーサやモズクといった海藻や、島ドーフや紅いも、サーターアンダギーといった沖縄らしいものがあって、あれもこれもと気になってしまう。また、サーターアンダギーや島ドーフなどは季節や日によって変わるそうで、ゴーヤやほかの野菜の天ぷらが出る日もあるという。同じく“さかな”も日や季節によって変わるそう。手作りならではのよさとともに、また来たいと思わせる魅力的なお店だった。

南城市地域物産館の天ぷら屋さん
1品70円と手頃。バスに持って帰って車内で食べる手もある
アーサせんべい。海苔の風味と塩加減が最高
これも沖縄らしい一品で、もずくの天ぷら
島ドーフ(左)といかの天ぷら(右)

おきなわワールド(文化王国・玉泉洞)

 さて、続いての行き先は沖縄本島南部最大のテーマパーク「おきなわワールド(文化王国・玉泉洞)」だ。南城市地域物産館から30分少々で到着。

 おきなわワールドについては事前にWebで調べたのだが、なんだかいろんな施設があってよく分からずハテナマークが頭に山積みになってしまい、実際に訪れてこの目で見るのを楽しみにしていた。

 そして実際に目にした感想は、やっぱりいろんなものがあってよく分からないのだが、それぞれの地点がそれぞれに面白いことが分かり、きっとそんな多様性が魅力的なのだろうと感じた。

おきなわワールド(文化王国・玉泉洞)
「めんそ~れ」でお出迎え
入り口には常設の一脚(手前)。ありがたい心配りだ

 例えば、玉泉洞という規模の大きい鍾乳洞、沖縄舞踊の「スーパーエイサーショー」、古い民家を移築して琉球王国の城下町を再現した「王国村」、ハブ博物公園、酒造所、フルーツ園などさまざまな施設があるほか、琉球王国の城下町では、紅型や藍染めの染め物、機織りなどの体験プログラムも用意されている。

 JALうたばすのツアーでは、12時15分頃に到着して、70分の滞在となる。よく考えられているのは、この到着時刻は12時30分からのスーパーエイサーショーの公演にぴったりなこと。会場となるエイサー会場へまっすぐ向かえば、無駄なく公演を観賞できる。

 ただ、おきなわワールドは施設が多様であるがゆえにさまざまな決断を迫られる。はっきり言って、おきなわワールドのすべてを70分で見るのは不可能だ。例えば玉泉洞は片道約30分が目安とされているので、往復したらこれでほぼ時間を使い尽くす。スーパーエイサーショーは25分ほどなので、このあとに琉球王国の城下町を再現した「王国村」を訪れるルートは考えられるが、エイサー広場から王国村へも15分ぐらいはかかるので、実はあまり余裕がない。

玉泉洞入り口
玉泉洞
JALうたばす特典でもらった、お土産の「ちんすこう」。4種類の味がパッケージされている

 ちょうどお昼時の到着ということで、昼食をここで……と考えてもいたのだが、ガイドさんが話していた、おきなわワールドの施設を見学していると昼食の時間をとれないとの注意が、ようやくここで理解できる。

 もちろん、健康バイキングや沖縄そばのお店、地ビール喫茶など気になるお店はあるので、ほかの見学やアクティビティではなく、のんびり食事をする手もある。JALうたばすでは館内の健康バイキングで使える10%割引券をもらえるので、おきなわワールドを昼食タイムとするのも大いにアリだ。

 滞在地での限りある時間をどう有効に過ごすかを考えるのはバスツアーの楽しみでもある。特におきなわワールドは作戦の立て甲斐がある施設といえるかも知れない。

 そんな記者はどうしたかというと、「満遍なく見る」という道を選んだ。おきなわワールドは本当に広いが、エリアごとにいろいろな顔を持ったテーマパークなので、それらを順々に眺めていくだけでも楽しい。短時間ながら、さとうきびのジュースや、あぐー豚の紅いも肉まんといったローカルグルメも楽しめ、ただ歩いただけなのに、おきなわワールドを知り尽くしたかのような充足感と勘違いを抱いて、同地をあとにした。

 ちなみにJALうたばすで訪れた場合は“お土産”として、おきなわワールドを運営する南部グループの「ちんすこう」がプレゼントされて、ちょっとお得だ。

南部酒造所では、いろいろなお酒の試飲ができる。シークァーサーのリキュールを試飲させてもらったが、下戸の記者でも飲みやすい果実の風味が爽やかなお酒だった
ハブ酒もいろいろ揃っていたが、4Lで25万円という「南部 億万長蛇」は圧巻。贈り物向けに名入れにも対応してくれる。1カップ1000円で試飲も可能
沖縄のクラフトビール「ニヘデビール」。インターナショナル・ビアカップ2015ではソフト、ハードがそれぞれ入賞。写真中央は限定の新春パッケージ
ニヘデビールを楽しめる「地ビール喫茶」
琉球王国の城下町を再現した「王国村」。ここは別途料金が必要なエリアとなる
琉球の歴史や文化などを紹介する王国歴史博物館
ウージ(さとうきび)の染め物
琉装を来て写真撮影が可能な「琉球写真館」
お土産物などを販売していた「うちなー工芸」
ブクブク茶を飲める「ブクブク茶屋」。記者は飲んだことがないのだが、泡立てたお茶だそうだ
休憩所や記念撮影コーナーなどがある「かりゆし広場」
沖縄伝統の「紅型(びんがた)」を体験できる「紅型工房(旧喜屋武家)」
琉球藍による深い青色が特徴の「藍染工房(旧伊礼家)」
シーサーの顔ハメ看板がどうしても気になる「陶器工房」
琉球ガラス王国工房では、琉球ガラスのさまざまな商品の販売や、手作り体験が可能
王国村の先には「フルーツ王国」
いろいろな果樹が並ぶ植物園のような雰囲気
ちょうど実っていた「バナナ」。実がついているものを看板でお知らせしてくれている
高床にして通気性をよくし、ネズミの被害を防止する「高倉」。沖縄戦でほとんど焼失し、写真の高倉は奄美大島から移築したものだそうだ
フルーツ王国内のパーラーでさとうきびジュース(450円)。目の前で機械を使って絞り出してくれる。さとうきびは冬の方が甘いそうで、植物的な風味と甘みの両方が強い独特の味わいだった
無料エリアにある茶屋「三段花」というお店は、ファーストフードが揃ったB級グルメの宝庫だった。ここでは、沖縄グルメを沖縄グルメで包んだような「あぐー豚の紅いも肉まん」(160円)を注文

琉球ガラス村

 続いてJALうたばすは、「ひめゆりの塔」「琉球ガラス村」の順にめぐる。このどちらかで降車して、それぞれ約40分間の滞在が可能だ。どちらに行くかはその人次第なので、行きたい方を選ぼう。

 記者は今回、琉球ガラスの製品をいろいろ見てみたかったので、琉球ガラス村を訪れた。ここではオリジナルグラスなど琉球ガラス作品作り体験のほか、ショッピングを楽しめる。

 琉球ガラス作品作りは予約が必要だが、オリジナルグラスは製作時間が約5分ほどで、レクチャーなどを合わせて15分ほどの所要時間となる。混んでいると多少並ぶ必要があるが、体験コーナーはルーチン化されていてどんどん作業が進んでいたし、混雑時は最大3カ所で並行して体験コーナーを設けるとのことなので、40分という滞在時間でも大丈夫そうだ。

 ちなみにオリジナルグラス作りの場合、通常料金は1620円からとなるが、JALうたばすでは1300円で体験できるメニューを4月から用意する。この料金での体験は1日20名限定での提供となるが、今回の取材時、バスはわりと混んでいたがそれでも30名弱。ひめゆりの塔と分かれての滞在になることを考えると、十分な人数を用意していると言ってよいだろう。

 オリジナルグラス作り体験では、まず作りたいグラスの色を決めるところからスタート。赤、青、水色、緑、透明のグラスに模様を入れた物の5種類から選べ、赤と透明に模様を入れるものは若干料金が高くなる。

 続いて職人さんからレクチャーを受け、鉄パイプの先に付いた溶けたガラスを型にはめて息を吹き込む「型吹き」をする。続いて、グラスの底に「ポンテ」と呼ばれる竿を付けて、飲み口のところを成型して完成だ。

 完成といっても、高温状態のガラスをそのまま持って帰るわけにはいかない。3日後に受け取りに再訪するか、難しい場合は発送(各自払い)してもらうことになる。

琉球ガラス村のガラス工房。4名一組のチームで製作しているという
オリジナルグラス作り体験で作れるグラス
まずは「型吹き」についてレクチャーを受ける
型にはめたガラスに向かって息を吹き込む
型に合うようにグラスを膨らませる
型吹きが終わったガラス。ちなみにこちらが底面側
続いて口の成型。まずは完成済みのグラスを使ったレクチャー
いざ実践。力の入れ具合が難しそう
完成
このあとゆっくりと熱を冷ますための「徐冷窯」に入れられる
JALうたばす特典として、琉球ガラス村でもお土産として「ガラスの箸置き」がプレゼントされた。光に透かすと模様もあってきれい

 このほか、琉球ガラス村内にはショッピングセンターやアウトレットショップ、レストラン、ガラスギャラリーなどがある。今回はオリジナルグラス作り体験を見学したあと、ショッピングセンターのなかをぐるぐる巡ったのだが、正直飽きない。

 色も形もさまざまな美しいガラス製品が多数販売されており、見ているだけでも本当に楽しい。また、四季をイメージした棚や、同じ技法のガラスを集めた棚などディスプレイも工夫されているし、一本モノのコーナーもあって見応え十分。買いもしないのに時間ぎりぎりまで見てまわってしまったのだった。

 そしてもう1つの見どころはショッピングセンターや通路の壁だ。色とりどりのガラスのタイルが貼ってあるのだが、実はこれ、社員が総出で貼ったのだそう。2001年9月のアメリカ同時多発テロ後に旅行需要が大きく衰退したが、そのテロの手法の影響もあって、特に飛行機での来訪者が多い沖縄の観光業には大きなダメージがあったという。要するにお客さんがいなくなってしまったというわけだ。そこで、平和への祈りも込めて外壁へのタイル貼りを実施。1年をかけて完成させた。使った枚数を尋ねると、「数えるのを途中でやめた」そうで「1万枚以上」との漠然とした回答。こんなところも、エピソードに花を添えているように感じてほっこりした。

ショッピングセンター入り口のステンドグラス
ショッピングセンター内はさまざまな分類でディスプレイされている
四季をイメージしたディスプレイ
琉球ガラス村を運営する琉球ガラス工芸協業組合では、ガラスの“赤”にはこだわりがあるそう
新年限定の「鏡酒」
桜の花の模様がかわいい「桜花グラス」など
沖縄といえば美ら海水族館のジンベエザメも有名
一品モノのコーナー。末吉清一氏作の「銀河」シリーズは特に人気が高いそうだ
施設の外壁には社員総出で作業したというガラスのタイルが敷き詰められている

ファーマーズマーケットいとまん うまんちゅ市場

 さて、次はいよいよJALうたばす「首里・南部めぐり号」の最後の目的地となる。それが「ファーマーズマーケットいとまん うまんちゅ市場」だ。JAおきなわが運営する農産物の直売所のほか、糸満市物産センターも併設されている。

 ここでの滞在時間は20分ほどと長くないのだが、地元食材や新鮮な海産物を使ったものなど、屋台感覚で食べられるさまざまなローカルフードが販売されている。もちろん海ぶどうやゴーヤなど、沖縄らしい食材も手頃な価格で販売されているので購入して発送してもよさそうだ。国内旅行ならではの楽しみでもある。

 記者はここで、B級グルメ的なものをいくつか購入。その1つは、うたばすガイドさんがお勧めしていた「ばくだん」で、カマボコのなかにおにぎりが入っているというもの。それほど大きくはないのだが、ボリューム感があってお腹を満たせる。

 このほか、沖縄の茶菓子という「ナントゥー餅」や「黒糖わらび餅」などを堪能した。

糸満市産の農作物などが並ぶ「ファーマーズマーケットいとまん うまんちゅ市場」
ファーマーズマーケットの裏手には糸満市物産センター。海産物が販売されているほか、店頭で調理したものの食べ歩きもできる
JALうたばすガイドさんに紹介された「ばくだん」
かまぼこの中にご飯、さらにその中に梅や味噌などの“おにぎりの具”が入っておりボリューム感満点
沖縄ではわりと定番らしいのだが食べたことがなかった「ナントゥー餅」。甘みの利いた味噌の味が
沖縄と言えば黒糖でしょう、ということで「黒糖わらび餅」も

そして空港へ

 その後は那覇空港へ。ファーマーズマーケットいとまん うまんちゅ市場から那覇空港はわりと近く、混み具合にもよるだろうが20分ほどで到着。もちろん那覇空港のチェックインカウンター階で降ろしてもらえる。このあとは飛行機に乗って東京に帰るだけなので、本当に最後の最後まで沖縄の旅を楽しめたのである。

 今回体験した「首里・南部めぐり号」はJALうたばすのなかでも、もっとも走行距離が短いツアーとなるが、それだけに各スポット間の移動距離も少なめで、中身が詰まった観光ができた。個人的に沖縄の観光という視点ではリゾート地や“やんばる”など有名なスポットが多い那覇市より北方面の情報を収集することが多かったのだが、南部に目を向けるよい機会にもなった。

 他方、これを自分の運転で……と考えてみたのだが、1日でこれだけ巡ったらヘトヘトになってしまいそうである。ただ乗っているだけで主要な観光地を巡れて、しかもそのまま空港まで送ってもらえて1000円という料金はかなり魅力だ。

 JALうたばすの料金に加えて、各スポットでの入場料や食事代、場合によってはお土産代を含めても1人4000~5000円もあればお釣りが来るだろう。これで密度の濃い1日を過ごせるのだからコスパは高いと思う。

 より移動距離の長い北部や中部のツアーは、“乗っているだけ”というラクさがより引き立つだろうし、三線弾き語りやWi-Fiインターネットなどバス車中の快適さもより魅力を感じられるのだろう。

 バスツアーということで、スケジュールに沿って運行されるので時間の自由度に制限があるのは仕方ないが、団体旅行と違って滞在地でどのように時間を過ごすかは自分次第なので、自由を求める個人旅行が好きな人にもお勧めできるツアーだ。

編集部:多和田新也