旅レポ

いで湯に浸かって文学と歴史に触れる! 兵庫県豊岡市で1泊2日の旅♪(その1)

空からのアクセスで近畿屈指の温泉地・城崎温泉へGo!

 生まれと育ちは長野、今は東京在住という私にとって、関西エリアの温泉地は気になってはいてもなかなか行く機会がありません。城崎温泉もその一つで、西日本を代表する人気の温泉地でありながら志賀直哉の小説「城の崎にて」が頭に浮かぶくらいのイメージしかなかったのですが、今回その城崎温泉に1泊するプレスツアーに参加することができました。

「で、城崎温泉ってどこにあるの?」とあらためて地図を見てみると兵庫県北部にある豊岡市、なんと日本海側ではありませんかっ!(スミマセン、本当にそのくらい縁のないエリアだったのです)。「で、どうやって行くの? 大阪か神戸まで新幹線だよね?」と行程表を見ると“飛行機”と書いてあってこれまたびっくり!

伊丹空港(大阪)からコウノトリ但馬空港まではたった40分のフライト

 実は豊岡市にはコウノトリ但馬空港という空港があって、大阪の伊丹空港との間をJAL(日本航空)グループのJAC(日本エアコミューター)が朝夕2往復で結んでいます。そのフライト時間わずか40分! 羽田(東京)からは伊丹空港乗り継ぎで最短約2時間で到着しちゃうのです。今回は羽田を朝8時30分の便に乗ったのですが、お昼には余裕で城崎温泉で海鮮丼をほおばっていましたよ。

利用した便(行き)

JAL107便:羽田(08時30分)発~伊丹(09時40分)着
JAC2321便:伊丹(10時05分)発~但馬(10時45分)着

 飛行機利用をしてみて便利だなと思ったのは、羽田でコウノトリ但馬空港までのチェックインが可能だということ。預け入れ手荷物がある場合も伊丹でいったん受け取ってまた預けて、という面倒なことをしなくてもオッケー! 羽田で預けた荷物を但馬で受け取ることができます。新幹線から在来線への乗り換えで、最低1、2回は荷物を持って歩くことになる鉄道ではこうはいきませんよね。

 ちなみに伊丹の到着時は「コウノトリ但馬への乗り継ぎの方はこちら」としっかりアナウンスがあるので安心。ターミナル内の移動もそれほど遠くなくスムーズに乗り継ぎができました。

横3列シートというかわいいサイズの飛行機
日本海側は寒波襲来中ということで行く先には厚い雲が……
あっという間に着くのにお菓子が配られました
眼下に見えてきた豊岡市の町並み
コウノトリ但馬空港に到着
飛行機を降りたらそこは雪国だった

 折しも日本列島の日本海側に大寒波が襲来中だったこの日。羽田はもちろん大阪もピーカンの青空だったのに、到着した豊岡市は時折あられまで降る真冬の寒空。でもこれが豊岡の冬の気候なのだそう。しかもさっきまで吹雪いていたと思ったらあっという間に晴れ間が見えて……とコロコロ天気が変わるのが特徴なのだそうです。

開湯1300年の名湯・城崎温泉をぶらりお散歩

川沿いに柳の木という風情ある城崎温泉街

 ということでやってきました城崎温泉! 空港からは約10km、車で30分ほどで到着します。第一印象はとっても旅情を誘う温泉街だということ。柳並木の川沿いに立ち並ぶ温泉宿やお土産物屋さんのたたずまいが、しっとり落ち着いていてすごくいい雰囲気なのです。落ち着いているといっても、通りはとてもにぎやかで観光客でいっぱい。ちょっぴり新鮮なこの感覚はなぜだろう? と思っていたら、分かりました! 城崎温泉のお宿のほとんどは3階建ての木造建築で、高い建物がほとんどないのです。

 さらに城崎温泉の大きな特徴の一つが、充実した7つの外湯があること。城崎温泉のお宿はお客さんを“囲うこと”をせず、昔から「お宿は客間、町の通りは廊下」として訪れたお客さんを町全体でもてなしてきたのだそう。お宿に着いたら「さぁ浴衣に着替えて外湯巡りに行ってらっしゃいませ」という接客スタイル、それが城崎温泉流! なので通りは下駄に浴衣姿でそぞろ歩きを楽しむ人たちがたくさんいるのです。

温泉街のほぼ中心にある「一の湯」
重厚な造りの「御所の湯」は一番新しい外湯だそう

 というと気になるのが外湯のお値段ですが、「御所の湯」は800円、「まんだら湯」や「地蔵湯」は600円と場所によって料金が違います。営業時間も定休日もそれぞれ違うようなので、事前にチェックしておくのがベター。

 ちなみに「ゆめぱ」という1日入り放題の超オトクな外湯めぐり券(大人1200円)があるので、気になる外湯をハシゴなんていうのもできちゃいます。とにかく外湯に入ってこその城崎温泉なのです!(そういう私は今回時間がなくてお宿の温泉のみだったので絶対にまた行きたい、というか行きますっ!)。ただし、城崎温泉は42℃とちょっぴり温度が高めなので、のぼせない程度に湯浴みを楽しみましょう。

城崎温泉駅前
駅前にある足湯
カエル???
駅前から北にのびる賑やかな通り
大谿川(おおたにがわ)沿いにお宿が立ち並びます
いくつも架かっている橋がこれまた風情あるのです

日本海側の冬のグルメはなんといってもカニ!

冬はカニのシーズンです

 冬の日本海グルメといえばカニ料理! そう、めちゃくちゃ寒いけれど、城崎温泉のシーズンとしては、まさに今が“オンシーズン”なのです。泊まるお宿でも夕食にさまざまな海の幸がふるまわれるはずですが、どうせならランチも贅沢に海鮮三昧といきたいところ。たくさんの食事処があるなかで、今回は「おけしょう鮮魚の海中苑 駅前店」へ。こちらのお店は1階が鮮魚売り場、2階が食事処となっている人気のお店です。

こんなオブジェを掲げたお店も
城崎温泉駅前の顔ハメもこのとおりカニ押し!
『おけしょう鮮魚の海中苑』の1階には海の幸がずらり
2階は御食事処。この日のランチはこちらで
新鮮な海の幸が満載の海鮮丼をいただきました
町の通りにはこのような落ち着けるカフェもありました

ロープウェイに乗って城崎温泉街を一望

冬の城崎温泉街はこんな感じです

 城崎温泉に行ったらぜひ訪れてほしいのが、町の西側にある標高231mの大師山山頂へとのびる「城崎温泉ロープウェイ」。約7分の空中散歩で城崎温泉を一望できる展望台まで上がれちゃいます。晴れていれば日本海まで見渡せる絶景ですよ。ちなみにハイキングコースもあるようなので足に自信のある方はどうぞ。

ロープウェイで大師山の山頂へ
往復で大人900円。20分毎に運行
山頂に近づくにつれて雲行きが怪しくなりました
展望デッキについたら猛吹雪
山頂の「みはらしカフェ茶屋」に入ったらあっという間に晴れてきた

 この城崎温泉ロープウェイ、途中に「温泉寺駅」という中間駅があって、そこには城崎温泉守護の寺と言われる、その名も「温泉寺(おんせんじ)」があります。738年に道智上人が開創したとされる歴史ある古刹で、本堂は国の重要文化財に指定されています。

 十一面観音立像の御本尊の御開帳は33年毎とのことですが、なんと次の御開帳は来年2018年4月23日からだそう! これはこれは、行かずにはいられませんね。

帰りは中間駅の温泉寺へ立ち寄り
ロープウェイ乗り場の近くには城崎温泉の元湯があります
城崎温泉の泉源
温泉たまご場! こ、これは見逃せません!
3個300円。こうして11、12分ほど待つと……
半熟の温泉卵ができあがり。専用のハサミで殻の上の部分を割ります
冷えた身体に熱々の温泉卵がしみる~

 志賀直哉をはじめ、島崎藤村、吉田兼好など多くの文人墨客に愛された城崎温泉。町のいたるところに文学碑が建てられているので、それらをめぐる文学散歩もおすすめです。さて次回は、そんな文学の街としての顔をはじめ、知る人ぞ知る鞄産業や、最近アツいアート拠点としての顔など、さまざまな豊岡市の魅力をレポートします! お楽しみに~♪

ゆきぴゅー

長野生まれの長野育ち。2001年に上京し、デジカメライター兼カメラマンのお弟子さんとして怒涛の日々を送るかたわら、絵日記でポンチ絵を描き始める。独立後はイラストレーターとライターを足して2で割った“イラストライター”として、雑誌やWeb連載のほか、企業広告などのイメージキャラクター制作なども手がける。