旅レポ
ハワイアン航空のコナ直行便でハワイ島を満喫(その4)
ヒロ~マウナケア、マウナロア~コナ空港とハワイ島横断駆け足旅
2017年1月13日 00:00
ハワイ島の観光スポットを体験する旅、前回はキラウエア周辺を巡ったが、その後、キラウエアからクルマで40~50分のところにある街、ヒロに1泊した。コナ空港があるコナ地区はハワイ島の西端で、ヒロはハワイ島の東端にある。ツアー最終日、一行は帰りのコナ発羽田行き便に乗るべくヒロからハワイ島を横断し、コナ空港まで駆け足で目指したので、その模様をお送りしたい。
オールドハワイを感じられる「ヒロ・ダウンタウン」
コナ地区は一大商業地であり、北にリゾート地として有名なワイコロアがあるのに対し、ヒロはどこかのんびりとしたローカルな雰囲気の街。日系人が多いせいか、昔ながらのハワイ的なテイストと昭和なテイストが入り混じり、どこかノスタルジックだ。
また、コナはカラッとした気候でむき出しの溶岩が横たわっているが、ヒロは雨が多く、そのため熱帯雨林系の緑が多いのも特徴。気温はコナに比べて低めである。「世界の13の気候のうち11が体験できる」といわれるハワイ島、コナとヒロの2カ所に行くだけでもその気候の違いに驚かされるはずだ。
そんなヒロ市街で訪れたのが、カメハメハ・アベニュー沿いの北東部にある「ヒロ・ダウンタウン」。レトロ感があるカラフルな建物が並び、オシャレなショップやレストランなどが入っている一角である。
クルマを降りて感じたのが、昔ながらのハワイといった懐かしい雰囲気。ダウンタウンの店が並ぶ反対側を見ると、ヤシの木が並ぶヒロ湾の景色がまぶしい。また、街のところどころにはハワイアンなモチーフのウォールアートも施されているのも見ていて楽しくなる。
ヒロ・ダウンタウンにはギャラリーやスーパーなどバラエティ豊かな店舗が立ち並ぶなか、「パシフィック・ツナミ・ミュージアム」という建物がある。ヒロは1946年と1960年に起きた津波で甚大な被害を受けたことから、このミュージアムは津波と復興の記録を伝える場となっているそうだ。
なお、ハワイアン航空の制服やアメニティをデザインしたヒロ発祥のブランド、シグ・ゼーンのショップもダウンタウンの北側にある。シックで本格的なハワイアン・ウェアが人気のシグ・ゼーン。ダウンタウンに行った際はぜひ立ち寄りたい場所の一つだ。
なお、今回は駆け足旅ということでダウンタウンの北方面のみの散策になってしまったが、南側ではヒロ・ファーマーズマーケットも水・土曜限定ながら開催されており、ヒロならではの果物や野菜、加工食品などに出会える。ショッピングが楽しめるのはもちろん、オールドハワイの雰囲気を感じられるのがヒロ・ダウンタウンの魅力。懐かしいハワイの空気を味わってみたいなら足を向けてみてはいかがだろうか。
レインボー・フォールズで虹は見られるか?
雨が多い土地、ヒロにおける定番スポットの一つが滝。ヒロにはレインボー・フォールズとアカカ・フォールズという有名な滝があるが、続いて訪れたのはレインボー・フォールズの方。
ヒロ・ダウンタウンからクルマで10分ほどのところにあり、ヒロの西を流れるワイルク川の水が流れ落ちるところだ。なお、名前の由来は滝の水流から舞い上がるしぶきに陽光が反射して虹が見えるといわれていることから。
滝の展望台は駐車場のすぐそばにあり、クルマから降りてすぐ見られるようになっている。ジャングルを抜けて落ちる滝の高さ自体は見た感じ15mほど。決して大きくないものの、2本に分かれた急流が合わさって落ちる様は“自然の造形美”という言葉が思い浮かぶ。
また、滝の背後には溶岩流の表面が冷えてできた「ラバ・チューブ(溶岩トンネル)」が広がり、ヒロもまた、火山の島・ハワイ島の一部であると感じさせられた。
またレインボー・フォールズでは滝壺の左脇に巡らされた遊歩道から高台に上って、滝の起点やワイルク川を見下ろすこともできる。滝の水が落ちるダイナミックな瞬間が見られるのはもちろん、ワイルク川べりの生い茂る緑もじっくり眺められ、街から近い場所で雄大な自然が残っていることに驚かされた。
今回、訪れたのが曇天の午後だったが、晴れている午前中に滝へ行くと高い確率で滝壺に虹がかかっているのが見られるそうだ。
「サドル・ロード」を通りつつマウナケアとマウナロアを見る
ヒロ・ダウンタウンとレインボー・フォールズを見たあと、ヒロを離れてコナ空港へ。ヒロまでの行きはコナの北にあるワイコロアから、ハワイ島の南にあるキラウエアを経由して来た。戻りはヒロとコナをつないでハワイ島を横断する「サドル・ロード」を通るルートだ。
しかし「サドル・ロードに乗ったら、あとはコナまでほぼ一直線なので楽勝」と単純に思っていたところ、まさかの展開に。ヒロ側が一部未舗装だったため、急にクルマがガタガタと揺れ始めたのだ。砂利だらけの道を10~15分ほど走って、無事に舗道に乗ったものの揺れにビックリ。舗装されていない道は全体のうちでわずかだが、サドル・ロードを通ってヒロまでクルマで行きたい、もしくはコナまで行きたいという方は2017年1月現在、こういった道もあることを注意しておいた方がよいだろう。
最初の砂利道でちょっと驚いてしまったが、サドル・ロードの魅力はマウナケアとマウナロアの間を走る道路であること。途中、道路からハワイの有名な山を両方鑑賞ができる。また、火山噴火のときに噴き出された石でできた小山「プー(噴石丘)」が並ぶ雄大な風景も見られるのだ。
しばらくすると、北にマウナケア、南にマウナロアが見えてきた。サドル・ロードは途中、ガソリンスタンドもショップもないものの、途中、プーの一つであるプーフルフル近くに駐車できる場所があり、そこでいったんクルマを降りてあらためて両山を眺める。
溶岩台地を登って北を見ると、マウアケアの山頂が雪に覆われていた。マウナケアは「白い山」という意味で、標高4207mという高さから冬場は冠雪するためその名が付いた。実際に見てみると「ハワイに雪!」という驚きと、白く染まった頂の美しさに感激できるはずだ。
南のマウナロアを見るとこちらも冠雪していた。マウナロアは「長い山」という意味で、標高が4169mと高いながらも緩やかな稜線が特徴。マウアケアがポコポコと盛り上がった山頂が白く染まっているのに対し、マウナロアは山のてっぺんを白くなぞったようで、同じ山でも雪の積もり方の違いが楽しめる。ハワイでまさかのホワイトクリスマスだ。
また、プーフルフルそばの溶岩台地には石造りの祭壇が。ガイドさんに聞くと雪の女神ポリアフを祭っているという。思えば以前、「サンセットと天の川は見られるのか? マウナケアの観測ツアーに参加してきた」で紹介したように、マウアケアのオニヅカ・ビジター・インフォメーション・センターそばに石積みで作られた雪の女神ポリアフの祭壇を見たが、まさか山のふもとにも祭壇があったとは。キラウエアでは火山の女神ペレの神話を聞き、マウアケアでは雪の女神ポリアフの祭壇を見て、あらためてハワイの人の信心深さに思いを馳せてしまった。
そうこうしているうちに、飛行機のタイムリミットが近づいているということで、あらためてクルマに乗り込んで移動。マウアケアとマウナロアが雲に隠れて背後に消えたかと思ったらコナの海が見えてきて、プーフルフルから40分ほどでコナ空港に到着。ヒロからコナまで、途中で取った山の鑑賞時間を入れても約2時間の行程もようやく終わりへ。
今回のハワイ島満喫ツアーではコナとヒロというハワイ島の2つの街に宿泊したが、リゾートを楽しむならやはりコナ、キラウエア火山を観光する、または古きよきそしてローカルなハワイを堪能するならヒロだと思った。
ハワイ島は「ビッグ・アイランド」と呼ばれ、四国の半分ほどの大きさがある島。リゾートでのんびりするのも一つの過ごし方だが、観光スポットを見て回る、もしくはアクティビティを楽しむなら、島の広さを踏まえ時間に余裕をもたせたプランニングをしたいところだ。
広大な自然を有するハワイ島。島には独特のゆったりした時間が流れており、オアフ島とはまた違う景色をことができる。もし、まだ見ぬハワイを体感したいと考えるなら、ハワイ島に足を向けてみるのも一つの選択だ。