旅レポ

「LCC」&「民宿」で旅が広がる! 台湾初体験(その1)

バニラエアに乗ってお気軽台湾旅へ

バニラエアのエアバス A320型機

 日本人に人気の海外旅行先は? なんて質問があれば、間違いなく5本の指に入るのが台湾だ。旅行ということであれば面倒なビザや申請は必要ないし、飛行機に乗っている時間だって羽田から沖縄に行くのとそれほど違わない。言葉のカベはあるものの、日本語を理解してくれる人は多いし、漢字圏だからなんとなく意味が通じる、なんてトコロもメリットと言えるかも。

 そんなコマゴマとした予備知識のような役に立たない情報(?)はあったものの、海外とはまったくといってよいほど無縁の筆者。余談ではあるけれど、T編集長から「作ってね!」と“笑顔”でお願いをされるまで、20年近くパスポートを持っていなかったほど海外とは無縁の生活を送っていた。と、過去形で書いたものの、実は今でも入出国のページは見開き分しかスタンプが押されていないんだけど。

 それはさておき。そんな筆者でも台湾には興味があった。小籠包にルーローハンといったグルメに夜市、九份や有里山なんて観光名所の数々。そこに輪を掛けたのが「Watch」系列って仕事環境だ。PC関連には台湾のメーカーが多いこともあって、“台湾渡航歴は数知れない”なんてフタツ名が付くライターさんがゴロゴロ。時々仕事でご一緒させていただいた際に、「いいですよ~、台湾」なんて話を聞いては航空会社のページとにらめっこ、なんて日々が続いていた。

 そんなある日。編集部から「台湾に行きませんか!」と電話が掛かってきた。これは「渡りに船」。いや、ギャラももらえるんだから「カモネギ」かと、即答で仕事を引き受けたのだった。「美味しい話には裏がある」なんて声が遠くから聞こえたような、聞こえないような気がしないでもないけれど、とりあえず「あ~、あ~、きこえなーい」と耳をふさいでみたりなんかして。

 で、具体的に話を聞いてみると「バニラエアに乗って台湾に行き、民宿に泊まってレポートする」って企画らしい。エアラインの方は取材でも何度かお世話になっていて特に引っかかる点はないものの、「民宿」って……、何? 日本統治時代の古い温泉宿があるなんて記事を見たような気がするから、「10畳ぐらいの和室に取材陣が雑魚寝?」とか、「あーあれだ、アジの開きに納豆の朝食が出るんだ」とか、「いやいや、温泉があって卓球台があって、“台湾取材杯”をかけて浴衣で勝負するんだ」とか、ひとりQ&Aをしてみるものの当然ながら答えは出ない。ま、アテンドしてくれる人がいるようだし、あまりキチンと下調べしてしまってもオドロキがなくなってしまうし、なんて言い訳を考えつつ(本当に)何もしないで、出発日が来るのを待っていた。

快適な空旅で台北へ

 出発日に指定されていたのは10月のとある日。前日にちょっと調べてみると、バニラエアは東京~台北線を、なんと1日4往復も運航している。そのうえ、リーズナブルな「シンプルバニラ」だと片道6750円(記事作成時の最安運賃)、諸税や手数料を含んでも8890円から。東京からだと名古屋へ行くより安く、そして新幹線で大阪に行くぐらいの時間で台湾まで行けてしまうワケだ。近いじゃん!

バニラエア 東京~台北線

JW101便:成田(09時00分)発~桃園(12時15分)着
JW103便:成田(12時50分)発~桃園(16時05分)着
JW105便:成田(17時40分)発~桃園(20時55分)着
JW107便:成田(22時00分)発~桃園(翌01時15分)着
※2017年1月時点のダイヤ

 バニラエアの国際線に搭乗する場合は「出発時刻の2時間前~50分前まで」にチェックインを済ませておくことが必要になる。それから手荷物があるなら預ける手続き、続けて保安検査と、そんな諸々の手続きや若干のトラブルがあった際の安全、交通機関の遅延まで見込むと、1時間半~2時間前ぐらいには空港に着くスケジュールが望ましい。成田空港までの公共交通機関は鉄道、バスと選べるけれど、いわゆる「LCCバス(東京シャトルやTHEアクセス成田)」なら、ネットで事前予約をしておけば東京発で900円からと格安だ。

 さて、今回の旅で指定されたのはJW101便。朝出発して昼頃に台北に着くので、一日たっぷりムダなく使える便利なフライトだ。出発時間は9時ちょうどだから、7時に着いていれば余裕って感じ。が、しかし。神奈川に住んでいる筆者の場合、交通公共機関利用だと間に合わないため、自家用車を使うことにした。成田空港の駐車場は30分単位で3.5時間以上24時間までは1540円~2040円の定額。早朝や深夜の利用には割引サービスもあるから、上手く使えばそれほど高額にはならない。満車のリスクもあるけれど、遠方から成田空港を目指すなら一つの手だ。

成田空港第3ターミナルのカウンター
笑顔のスタッフにお出迎えされてチェックイン
搭乗時刻になりゲートから機内へ

 駐車場にクルマを放り込み、500mと少しばかり歩いて(無料の巡回バスでもいいけど)第3ターミナルへ。一番奥にあるバニラエアのカウンターでチェックイン、そして出国審査を済ませてしまえば、あとは特にすることもなく搭乗時刻を待つだけとなる。

取材時は8時50分発でした

 出国審査で混雑することもなく、日本国内って安心感もあるので国内線に乗るのとそれほど変わらない。軽く免税店を冷やかしつつ出発ゲートに向かい、搭乗時刻になったらゲートでチケットとパスポートを見せて飛行機に乗り込む。成田空港の第3ターミナルはボーディングブリッジではなくタラップを使うタイプで、これから飛行機に乗るぞ! って雰囲気があって個人的には好きなのだけれど、通路がずっとカバーされているため、まわりの風景が見られないのがちょっとばかり残念。ま、雨や風を防ぐことができるので、快適ではあるのだけど。

機内へは蛇腹状の通路を通って行く
タラップを上って機内へ。ずっと屋根があるので雨が降っていても大丈夫

いよいよ機内へ

 バニラエアが使用している機材はエアバス A320型機の180席仕様。6アブレスト30列の配置はLCCでは標準的なもの。足もとに余裕がある最前列と非常口座席(利用条件あり)の2列は「リラックスシート」として、台湾線の場合は1200円の座席指定料を支払うことで選択することが可能となっている。実際、両方に座ってみたところ、幅は変わらないものの足を延ばせるリラックスシートの広さは別格で、値段分の価値は十分にあると言える。とはいえ、通常の席がダメかと言えば、3時間ぐらいなら全然問題なし、って感じだ。空席とお財布の状況に応じて選びたい。

エアバス A320型機は通路を挟んで片側3席の6アブレスト
シートは革張りで高級感がある
身長172㎝の筆者が座ってみたところ。ヒザの前にはまだ余裕あり
テーブルはスライド可能
リラックスシート。膝の前がとても広~い
非常口座席はちょうど主翼の横。真っ青な空が目に沁みます

機内食をしっかりオーダー

 成田空港を飛び立ってしばらく経つと、機内では飲食の有料サービスやオリジナルグッズが始まる。朝食がまだだったのでメニューを開いて物色。まわってきたCA(客室乗務員)さんに「チキンライスとハンバーグのトマトソースがけ」「ピザカツレツサンド」、それにデザートとして「バニラエア特製 バニラくり~むあんぱん」をオーダー。もちろん日本語でOKだ。それにしても「食べ過ぎだよ」と言う声がまわりから聞こえてきそうな内容になってしまったけれども、「朝食はしっかり摂る」のがポリシーだから、これでいいのだ。「ピザ」と「ハンバーグ」でトマトがかぶってしまった、なんて悩みは些細なことだ。
※機内食メニューは取材時点(2016年10月)のもの。

しばらくするとCAさんが機内販売の準備を開始
飲食の注文やオリジナルグッズの販売に回ってくる
メニュー。上から順に持ってきて、ってワケではないけど3品を注文
しばらくすると座席まで届けてくれた
テーブルに乗せるとこんな感じ
大人から子供まで大好きなメニュー、チキンライスとハンバーグのトマトソースがけ(750円)。少し甘めの優しい味わい。アツアツなのがうれしい
ピザソースとカツのコラボが楽しめるピザカツレツサンド(650円)と一番人気というバニラエア特製 バニラくり~むあんぱん(350円)
バニラくり~むあんぱんの中身はクリームとつぶあんがたっぷり

 美味しい朝食を頂いてウトウトしたり、まったりしたりと、優雅に時間を過ごしていると、まもなく到着のアナウンス。雲の上は快晴で、この日は気流も穏やか(たぶん)だったこともあり、ほとんど揺れらしい揺れを感じることもなく、とても快適に過ごすことができた。3時間ちょっとなんて、あっという間だ。一方、機上から見えるようになってきた台湾の山なみには雲が多くかかっており、残念ながらあまりすっきりとしない天気のようだ。

台湾に近づくと入国カードが配られます
雲が切れて青い海が。だが、右のほうに見える台湾には厚い雲が……
ここからは台湾高速鉄道の桃園駅へタクシーで移動

 が、台湾桃園国際空港に着いてみれば、快晴とは言えないまでも上々のコンディション。日本との時差はマイナス1時間なので昼前に着いたことになる。じゃあ、ちょっくら空港のそばで飲茶でも、と言いたいところだけれども、この日は移動も含めて取材予定が山積み。タクシーに乗り込み、一路、台湾高速鉄道の桃園駅へ向かったのだった。(次回に続く)

安田 剛