旅レポ

グランピングと天体観測を組み合わせた、森と星空のナイトツアーをツインリンクもてぎで体験

 栃木県芳賀郡茂木町にあるツインリンクもてぎといえば、国内で最も人気のある自動車レース「SUPER GT」や、オートバイの世界選手権「モトGP」が開催される国際格式サーキット。レースを見ない人には無縁の場所と思われているようだが、実は山間部という立地を生かしたアウトドアレジャー施設が充実している施設でもある。

 そんなツインリンクもてぎが冬休みのシーズンに向けて「森と星空のナイトツアー宿泊プラン」を企画。今回はプレス向けにツアー体験会が行なわれたのでその模様をレポートする。

立地をフル活用した天体観測、「森と星空のナイトツアー宿泊プラン」

 まずはプランの特徴を紹介しよう。ツアーの実施期間は12月22日~2017年1月8日(1月1日と2日は除く)で、宿泊は森と星空のキャンプヴィレッジ内グランピングサイト、もしくはキャンプヴィレッジに隣接するホテルツインリンクとなる。このツアーでは星空を見ることが最大の目的なのツアー専用のバスに乗ってツインリンクもてぎ内を移動。星空がきれいに見える場所にて天体観測を行なう。

 観察時はキャンプヴィレッジが用意する天体望遠鏡を使う本格的な星の観測が体験できる。星空についての知識がない人でも楽しめるようキャンプヴィレッジのスタッフによる解説もある。

 また、12月22日から24日の3日間は、天体望遠鏡の製造、販売もする総合光学機器メーカー「Vixen(ビクセン)」から星空のソムリエと呼ばれる星空案内人が、専門家ならではの知識をもとに見る、知る、感動するという新しい星空の世界を案内してくれるスペシャルデーとなっている。

 さらに、このツアーでは新しい試みとして夜のツインリンクもてぎ国際レーシングコースをバスに乗って走行するメニューが組み込まれている。主要コーナーなどがライトアップされた夜のレーシングコースを走行することは、体験会の案内を行なったツインリンクもてぎのスタッフでさえ「初めて」というくらいなので、これは貴重な体験になるだろう。

 ただし、これらの内容は天気に恵まれることが大前提なので、天候によってはこれらのナイトツアーが中止になることもあるので、そこは承知しておいていただきたい。取材日は晴天に恵まれていて、夜も天候は安定していた。今回紹介する夜空の様子はそういった状況で見たものとなる。

株式会社モビリティランドの宮崎氏
株式会社モビリティランドの高橋氏

 ツインリンクもてぎを運営するモビリティランド 広報宣伝催事課の宮崎氏によれば、今年の春にリニューアルオープンした森と星空のキャンプヴィレッジは利用者から好評を得ていて、とくにグランピングの人気が高いとのこと。

 これまでは冬期の営業を行なっていなかったキャンプヴィレッジだが、このグランピングをきっかけに冬場も営業していくことになったとという。そこでハード面だけではなく、自然豊かなもてぎの特徴を活かした楽しみ方として、星空に焦点を当てたプログラムを用意したとという経緯が語られた。

株式会社ビクセンの古賀氏。星のソムリエの資格の資格を持っている星空のスペシャリスト
株式会社ビクセンの三上氏。星座をモチーフにした宙ジュエリーの企画者でもある

 続いて紹介されたのは総合光学機器メーカー「Vixen(ビクセン)」の古賀氏と三上氏。挨拶に立った古賀氏からは、ビクセンは天体望遠鏡、顕微鏡、双眼鏡などの光学機器を扱うメーカーであること。社名のイメージから海外のメーカーと思われることが多いが、埼玉県に本社がある日本のメーカーという説明があった。

 古賀氏は「星のソムリエ」の資格を持つ星空の専門家だが、そんな古賀氏でも夜のサーキットで星空を観望することは初めてということから「夜のサーキットという特別な景色を楽しみ、そのあと、望遠鏡が待っている観望ポイントで星空を眺める体験は、このツインリンクもてぎならではのことです。これはただ単に空が綺麗なところで星を見たという以上の感動が味わえると思います」「このツアーで見られる星空に期待しています」とのことだった。

 とくにツインリンクもてぎは四方を山に囲まれたすり鉢状の地形になっているので街明かりが遮られる環境。それだけに古賀氏の予想では「どこで観ても星空がキレイなのではないか」ということだった。

サーキットを一周

 ツアーには、夜の国際レーシングコースをバスで走行するメニューも含まれている。バスはピットロードからスタートし、コースを一周したあとホームストレートで停車。コースに降りて記念撮影もできる。バスにはツインリンクもてぎのスタッフが同乗、解説しながら走行する。

夜の国際レーシングコースをスタッフの解説付きで走行する。コースを一周したあとホームストレートで停車し、降りて記念撮影もできる
1コーナーの光景。体験ツアーの前の週にスーパーGT最終戦が開催されていたので路面にはブレーキング時についたブラックマークが残っていた。続いて2コーナーから3コーナーへ向かストレート。空の黒さと照明に照らされたアスファルト、グリーンの色が印象的
第5コーナーの進入。これを抜けるともてぎの特徴である立体交差部。これは2カ所ありここはファーストアンダーブリッジ
ヘアピンの進入。このあとにこのコース内でいちばん長いダウンヒルストレートがあるのでヘアピンを上手く曲がることは重要なポイント。そして急激な下り坂になっているダウンヒルストレート。バスに乗っていると下り坂の勾配が急なのがよく分かる。ブレーキングが難しく、レースにおける重要な追い抜きポイントとのこと、と解説があった
ダウンヒルストレート後の90度コーナーを抜けるとセカンドアンダーブリッジ。抜けるとシケインがありホームストレートとなる
夜のサーキット走行後、ホテルやキャンプヴィレッジから離れていて、あたりに照明が一切ない南コースへ移動。今回はここが星空の観望ポイントになる。古賀氏はビクセン製の望遠鏡をセット。写真では明るく見えるが実際の現場は真っ暗である。ビクセンの三上氏は双眼鏡で星を見るときのアドバイスをした
真っ暗な場所なので手元などを確認するには照明が必要だが、天体観測では赤い光を使用する。夜に慣れてくると瞳孔が拡がってくるが、そこに白い光りを灯すとせっかく慣れた夜目が戻ってしまうとのこと。しかし、人間の目は赤い光りに鈍感なので慣れた夜目を戻さず照らすことができる
ツアーは19時頃まで行なう。夜は更けてくるほど空気が澄んでくるということで、ツアー終了後の22時頃にもう一度南コースへ行って撮影。時間が遅いので月が出てきてオリオン座も見えた
さらに深夜の1時過ぎにも場内の道へ出て空を観た。夜が更けると空気中の湿気が降りてくるので空がキレイになる。この日はスーパームーンから数日しか経っていなかったので月が明るく、肉眼で見ると星は少なめだが、カメラにはこれだけ写る。シャッタースピードは15秒~20秒くらい。地球の自転があるので、写真の外周は星が少し流れるように写る。天体写真は凝り始めると非常に面白そうだ
こちらが森と星空のキャンプヴィレッジ。グランピングのほかにテントを張ったりキャンピングカーが付けられたりするサイトもある
人気のグランピングのテント。グランピングとはホテル並みの豪華な設備を持つテントを使ったキャンプ。森と星空のキャンプヴィレッジには10サイトある
テント内の光景。キャンプの雰囲気を味わいながらホテルの部屋並みのベッドで寝るというスタイルは独特の魅力。かなりの人気になっているとのことで、予約は早めがよさそうだ
一区画は10m×10m。コットン製グランピングテント、ベッド、ソファー、テーブル、電気ポット、冷蔵庫、セラミックファンヒーターなど完備
グランピングテントにあるその他の設備
キャンプヴィレッジにある炊事場。家庭用と同じようなシンクに広い調理台がある。建物の裏はトイレになっている
キャンプヴィレッジのフロントデスクの建物にもシャワールームがあるが、ホテルツインリンクの温泉「のぞみの湯」の入浴もプランに含まれている
このプラン以外でもキャンプヴィレッジ内でビクセン製天体望遠鏡を使った天体観測が可能
夕食および朝食はホテルツインリンク内のレストラン「マルシェラン」となる
ホテルツインリンク。ホテルからは場内を循環する無料バスが出ているので、チェックアウト後はこれに乗って場内の行きたいところへ移動できる。
ホテルツインリンクのゲストルーム。ツインルームになっている
ゲストルームの設備はTV、冷蔵庫など十分。部屋ごとにパスワードがある高速インターネットも完備。アメニティはルームウエア、スリッパ、バスタオル、フェイスタオル、歯ブラシ、カミソリ、ヘアブラシ、コットンセット、綿棒、シャンプー、リンス、ボディソープなど
ホンダの創業者である本田宗一郎氏の著書もある
【1日5室/サイト限定】 2016 森と星空のナイトツアープラン

期間:2016年12月22日~2017年1月8日
金額:ホテル宿泊(1名料金。1室2名から利用)大人1万2000円~(子供、幼児等の設定あり)、セットアップサイト(グランピングサイト)宿泊(大人2名、子供1名、幼児1名の4名の例)3万8400円~
特典:ナイトツアー体験、パスポート1日券、ツインリンクもてぎ入場・駐車場無料(2日間)、のぞみの湯 入浴無料など
販売数:5室限定/日(1室2名~4名)
食事:夕食/森のレストラン・マルシェラン 地場産食材を使ったビュッフェまたはセットメニュー、朝食/森のレストラン・マルシェラン
予約方法:ツインリンクもてぎ予約センター TEL0285-64-0489(9時~17時30分)/ツインリンクもてぎ オンライン予約

バーベキューのプランも用意

 今回のプランのようなナイトツアーはないが、森と星空のキャンプヴィレッジの宿泊プランには「BBQらくらくプラン」がある。ホテルツインリンク内にある「森のレストラン マルシェラン」のシェフが厳選した食材を使ったバーベキューが楽しめ、面倒な片付けも不要だ。

 Tボーンステーキ、サーロインステーキ、骨付き豚ロース、骨付きソーセージ、チーズフォンデュなどが味わえる。デザートには焼きマシュマロをチョコとクラッカーで挟む「スモア」もある。

「森のレストラン マルシェラン」のシェフが厳選した食材を使ったBBQ。

ツインリンクもてぎはレジャースポットが豊富

 ツインリンクもてぎにはそのほかのレジャースポットも豊富に揃っている。

ツインリンクもてぎには自然を生かしたレジャースポットとして「ハローウッズ」もある。園内には雑木林、針葉樹林、広葉樹林があってハイキングコースも整備されている
木を使った工作教室もある。ワイヤーを伝って森の中を抜けるジップラインも2種類設置されている
ホンダ車の博物館であるホンダコレクションホール。歴代の2輪、4輪の展示だけでなく、ホンダが誇る2足歩行ロボット、アシモも歴代モデル展示される。また、最新型にアシモによるショーもある
レーシングコースはレースがない日は2輪、4輪のレース車、スポーツ車による練習走行がある。色々な車種が見られるのでこれも楽しいはず

深田昌之