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大政奉還をした大広間で記念撮影できる元離宮二条城の「一日城主」体験

修復にかかる経費を募金すると城主に

2015年5月29日~30日実施

一日城主になると、15代将軍徳川慶喜が大政奉還をした大広間で記念撮影ができる

 京都市にある「元離宮二条城」は5月29日~30日に、普段の見学ルートでは入ることができない「大広間」や「黒書院」に入ることができる体験プログラム「一日城主」を実施した。

 5月29日と30日の2日間で行われた「一日城主」は、「世界遺産・二条城一口城主募金」の特典として実施されたもので、2014年10月~2015年3月に募金をした119人のの中から選ばれた10組14名が参加した。

 二条城は、慶長8年(1603年)に徳川将軍家康が京都御所の守護と将軍上洛のときの宿泊所として造営。3代将軍家光により伏見城の遺構を移すなどして寛永3年(1626年)に完成した。

 現在、二条城では重要文化財に指定される「本丸御殿」が耐震調査の結果により2007年より公開を休止している。公開再開に向けて本格的な補強工事が必要といい、2011年度からは約20年間で100億円をかけて、城内すべての歴史的建造物を中心に修理や整備を行なう修理事業を進めている。

 取材日も「東大手門」が修復作業中であったが、修復にかかる経費を充当するため、二条城では「世界遺産・二条城一口城主募金」を実施。「一日城主」の募集は、半年に1回実施しているもので、期間中に100万円以上の寄付をした人全員と1万円以上の寄付者のうち抽選で選ばれたペア10組を「一日城主」として招いている。

 14時にスタートした「一日城主」のプログラムでは、二条城の学芸員による解説を聞きながら二の丸御殿の見学や大広間一の間へ入室しての見学も実施。二の丸御殿の見学後は、二の丸庭園の脇にある清流園香雲亭でお茶菓子などが振る舞われ、庭園を観賞しながらのお茶会を楽しんだ。

 一般来場者の入場受付が終了になった16時を迎えると「一日城主」プログラムもクライマックス、普段は体験できない「帳台の間」から「大広間一の間」へ入室、大広間一の間では記念撮影も行われた。

 参加者の1人に話を聞くと「京都は年1回は訪れていますが、こういった素晴らしい事業があることを知って、ただ見ているだけでなく“なにか力になれないか”と応募してみました」と募金への動機を話した。

 二条城の魅力について聞くと「徳川家を象徴するような装飾やダイナミックな部分などが素晴らしいところですね」と、一日城主を体験してみた感想として「スペシャルな部分が多くて、とても貴重な体験をさせていただきました」と感想を話した。

 二条城の修復事業について、元離宮二条城事務所の奥田慎也氏は「現在は“『唐門』の修復が完成して、東大手門の本格修復に着手しています。その後、二の丸御殿の修復へと続いていきますが、2年後の2017年3月頃には、元の姿に戻った東大手門をお見せできるようになると思います」と話した。

 普段の見学ルートでは体験することができない、二条城の魅力を知ることができる「一日城主」は、半年後の秋にも開催予定となっている。

修復が完了した「唐門」
一日城主のために用意された着物を羽織って、一日城主が二の丸御殿を巡る
一日城主が二の丸御殿を見学中(一般来場者が見学中のため撮影は不可)
二の丸御殿を見学後、二の丸庭園を観覧
二の丸庭園
庭園についての解説がされた
庭園にある池の水を抜いたところ、その昔建築物があったことが明らかになった
池へとつながる構造体が存在したという
土台となる石
清流園香雲亭でお茶菓子などが振る舞われた
庭園を眺めながらのお茶会
振る舞われたお茶菓子
一般来場者の入城時間終了後の城内
普段は撮影や入室禁止となる大広間一の間
修復作業などをおこなう模写室
ふすまや壁に描かれた絵を修復する作業場を公開(こちらも撮影不可)
「世界遺産・二条城一口城主募金」で10万円以上の募金をした人の名前が掲示される。2015年4月末現在の募金総額は2億8041万2503円
修復中の「東大手門」完成は2017年3月頃の予定
入城受付は16時で終了、「一日城主」になると16時以降の城内を体験できる

編集部:椿山和雄