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中部国際空港、2016年度の事業方針を発表
新ターミナルビルや商業施設の整備に着手
(2016/4/1 14:48)
- 2016年3月31日 発表
中部国際空港(セントレア)は、3月31日に記者会見を行ない、2016年度におけるセントレアグループの主な取り組みを発表した。
冒頭、中部国際空港 代表取締役副社長の各務正人氏は「首都圏空港発着枠のさらなる拡大や空港コンセッションの実施など、空港間競争の一層の高まりが予想される」としつつ、訪日外国人旅行客を中心に航空需要は着実に増加しており、「中長期的な拡大基調に変化はない」とした。また、5月26日~27日にG7伊勢志摩サミットが開催されるが、中部国際空港は「サミットの関係機関との確実な連携や安全・安心な空港運営に万全を期し、国際拠点空港としての役割を果たしていく」と述べた。
2016年度の主要施策として紹介されたのは以下の7つ。
(1)安全・安心の確保
大規模自然災害を想定して防災訓練などの強化や早期復旧に向けた対策の検討、ボディスキャナなどの保安検査機器の新規導入による航空保安対策のさらなる強化、サイバー攻撃などセキュリティ脅威への即時対応体制の構築などが挙げられた。
(2)航空ネットワークの拡大
近隣アジアおよび東南アジア路線のさらなる充実、フルサービスエアラインとLCC双方をターゲットとしたエアポートセールス戦略の強化のほか、中部北陸9県の自治体や観光関係団体、観光事業者などが協働で実施している「昇竜道プロジェクト」への協力など、地域一帯となった需要喚起活動の推進などが含まれる。
(3)施設機能・サービスの向上
施設機能・サービスの向上で目玉となっているのは、将来の量的拡大を見据えたLCC向け新ターミナルビル事業への着手だ。また空港アクセスの充実や手ぶら観光サービスの拡充など、多様なニーズへの対応も掲げられている。
(4)商業事業の拡大
商業事業拡大では、後述するボーイング 787ドリームライナー飛行試験機(ZA001号機)の展示を核とした、新たな商業施設の整備に着手するとしている。そしてスカイタウンの一層の賑わい創出に向けた施策の実施、制限エリア内店舗の拡張と再編による顧客満足度の向上と売上規模の拡大などが盛り込まれた。
(5)地域連携・環境経営の推進
地元企業や経済界、自治体などとの連携強化、空港を核とした地域振興策の推進、そして水素社会の実現に向けた構想検討を行なうとしている。
(6)経営基盤の強化
人材育成と事業・業務・財務基盤強化の2つを軸とする、経営基盤の強化に向けた取り組みも進めるとした。具体的には、10年後の空港のあるべき姿を具現化するための要因の確保と体制・人材育成制度の向上、経営管理機能の強化や事業評価手法の展開、調達コストの抑制、有利子負債の着実な圧縮などが挙げられている。
(7)2本目滑走路整備に向けた取り組み推進
以前から構想されている、2本目滑走路の整備について「航空需要の拡大や航空ネットワークの充実を目指した取り組みを地域一丸となって推進し、2本目滑走路の整備に向けた取り組みや検討を一層強化していく」とした。
これらの取り組みにより、2016年度の旅客数は、国際線は560万人以上、国内線が590万人以上とする目標が語られた。なお2015年度の実績は集計中とのことだが、国際線で480~490万人、国内線は550万人程度としており、いずれも大きく伸びると予測している。
2016年度の主要施策のなかで取り上げられた新ターミナルビルは、2019年度上期の供用開始を目指して整備が行なわれることになった。場所は空港島南側の臨時駐車場エリアとなる。
Spring Japan(春秋航空日本)の新規就航やジェットスター・ジャパン、V Air、タイガーエア台湾の桃園線(台北)の開設など、中部国際空港ではLCCによる新規就航が相次いでいる。新ターミナルビルは、これらLCCの需要拡大に対応するもので、2016年度は整備規模や平面計画などの施設検討に着手することになる。
また2017年度下期の供用開始を目標として、新たな複合商業施設を整備することも公表された。ここでは中部地域で機体の35%が開発されたという、中型旅客機のボーイング 787型機の飛行試験機を屋内展示する予定。このほか飲食や物販店、若年層の航空への興味喚起などを目的とした教育目的のコンテンツも併設するとしている。各務氏は「セントレアの現在のターミナルビルは、ちょうちん横町など和のテイストで運営しているが、新しい複合商業施設はシアトルを中心とした米国の雰囲気のなかで楽しんでもらえる空間にする」と話した。